最新動向/市場予測

企業リスクに影響を与える昨今の事象について

2024年10月4日

政治、経済、社会情勢などの企業活動に影響を与える事象に関して、北米、中南米、欧州、中東、アフリカ、アジア・オセアニアの各地域ごとに、最新状況を踏まえ考察します。

エグゼクティブサマリー

  • 米国大統領選挙は約一か月後に迫っているが、両候補の支持率は、全米でも、勝敗を左右するとされる激戦州でもほぼ同じとなっており、全く予想がつかない状況にある。
  • 中東ではイスラエルがレバノンのヒズボラの指導者を殺害したことに対し、イランがイスラエルを攻撃、イスラエルも報復を表明するなど、戦闘の拡大・激化が憂慮される。

 

1. 北米

【政治】

2024年米大統領選挙
  • 共和党が7月15日の党大会でトランプ前大統領を、民主党は8月5日にハリス副大統領を大統領候補者として正式に指名した。
  • トランプ前大統領は現在4件の刑事訴追を受けている。2024年4月25日、米連邦最高裁判所において、前大統領が主張する大統領免責特権についての口頭弁論が開かれた。
  • 5月30日、ニューヨーク州地裁の陪審員は、2016年の大統領選挙前に不倫相手の女優への支払いを法的経費として記録した罪で、トランプ氏に有罪の評決を下した。量刑は9月に言い渡される予定である。元大統領が刑事事件で有罪の評決を受けるのは米国史上初である。
  • 米連邦最高裁は7月1日、トランプ氏が主張していた免責特権を部分的に認める判断を下した。これにより11月の選挙より前に公判が開かれないことがほぼ確実となった。
  • トランプ前大統領が機密文書を持ち出したとして起訴された事件でフロリダ州連邦地裁は7月15日、訴えを棄却する決定を下した。
  • ハリス氏は8月6日、副大統領候補に中西部ミネソタ州のティム・ウォルズ知事を指名した。
  • 8月19日から22日にかけて民主党大会がシカゴで開催され、大きな盛り上がりを見せ閉幕した。また8月23日、無所属で出馬していたロバート・ケネディ・ジュニア氏が選挙戦から撤退し、トランプ氏を支持すると表明した。
  • 9月10日、ハリス氏とトランプ氏による初のテレビ討論会が実施され、両氏は争点となる経済や移民、人工妊娠中絶について激しい非難合戦を展開した。討論会後の調査によれば概ねハリス氏が勝利したとするものが多かった。世論調査の支持率は相変わらず拮抗しており、中西部など激戦州でのハリス氏のリードは0.2%とする調査結果もあり、結果は全く分からない状況にある。
  • 10月1日、副大統領候補によるテレビ討論会が実施され、移民や人工妊娠中絶、気候変動などを巡り激しい論戦が展開された。討論会後の世論調査では、トランプ陣営のバンス上院議員の方がハリス陣営のウォルズ・ミネソタ州知事よりも若干良かったとするものがあった。しかし大統領選挙に影響を与えるようなことはなかったとの見方が大勢を占めた。

 

2. 欧州

【政治】

ドイツ州議会選挙で極右政党が初の第一党
  • 9月1日に旧東ドイツのチューリンゲン州とザクセン州で行われた州議会選挙で、移民や難民に対して排他的な主張を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が両州で第一党となった。ナチスへの反省から極右勢力に警戒感の強いドイツにおいて、主要な選挙で極右政党が第一党となるのは初である。ドイツでは近年経済が低迷し失業率も上昇、他の欧州諸国同様極右勢力が増大する土壌が形成されつつあると言える。
オーストリア議会選挙
  • 9月29日に投開票が行われたオーストリア議会選挙は、極右で親ロ的な自由党が第一党となった。自由党は1956年にナチス親衛隊の元幹部が結成した政党で、2021年に党首となったキクル氏はナチス的な用語を頻繁に使うなど、ヒトラーを思わせる言動が目立つ。自由党の第一党への躍進は欧州にも大きな衝撃を与えており、連立交渉は長い時間を要するものと見られる。近年の欧州における選挙では、経済の低迷等から、極右政党の台頭が顕著である。

 

3. 中東

【政治】

イスラエルによるヒズボラ指導者殺害事件
  • 9月30日にイスラエルは、27日のレバノンへの空爆でヒズボラの指導者ハッサン・ナスララ師を殺害したと発表した。ナスララ師は長くヒズボラの指導者を務め、中東地域ではカリスマ的人気を博していた。これに対しては後ろ盾のイランもイスラエルへの報復を宣言し、10月1日、イランはイスラエルに対して100発以上の弾道ミサイル等を発射した。そしてまたこれに対し、イスラエルはイランへの報復を表明し、10月1日にレバノン南部への地上侵攻にも踏み切るなど、報復の連鎖で、戦闘が中東全体に波及することが危惧される。

以上

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