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調査レポート
成長のための気候変動対策
新たな選択:今後のオーストラリアの経済、そして6,800億豪ドルに相当する経済力は、気候変動対策にかかっている
経済・金融の予測やモデリング、政策やプログラムの評価など、マクロ・ミクロ経済に関するサービスを提供するDeloitte Access Economicsは、気候変動に対策を講じない場合のオーストラリアへの影響をモデル化することで、オーストラリアの経済、そして6,800億豪ドルの経済力が気候変動対策に依存していることを明らかにしました。
オーストラリアにおける気候変動対策による影響を調査
Deloitte Access Economicsは、何十年にもわたって政策提言を行ってきましたが、今回は気候変動問題とエコノミクスをテーマとして調査を実施しました。
気候変動問題は、排出量(およびそれに伴う温暖化)を抑制することで永遠に経済が成長できるという前提にあります。これは科学的に見て不可能ですが、現状はこの前提が経済分析の基準であり、気候変動を解決するためのあらゆる行動の評価の基礎となっています。
Deloitte Access Economicsは、気候変動対策を講じないこと、または誤って講じることが経済にダメージを与えるという経済の新しい見方を構築しました。気候変動は、もはやシナリオではなく、経済の基礎として織り込むべき項目なのです。
本調査のサマリーは以下の通りです。
本ページはDeloitte Access Economics(オーストラリア)のレポート、
「A new choice - Australia's climate for growth」
を元に作成しています。
調査結果サマリー
- 現在、オーストラリア人雇用者の30%以上、国民所得の30%以上が、気候変動や計画外の産業構造の転換による経済的混乱やリスクにさらされている産業に従事している
- 気候変動対策を講じなかった場合、2070年までに経済規模が6%縮小し、現在価値に換算してGDPが3兆4,000億豪ドル減少する。また88万人の雇用が減少することになる
- 一方、2050年までにネット・ゼロ(CO2排出量を正味ゼロ)を達成し、地球の平均気温の上昇を1.5℃に抑えられた場合、現在価値にして6,800億豪ドルの経済効果をもたらし、2070年には2.6%の経済成長と25万人以上の雇用をもたらす
上記結果を踏まえると、経済成長のために気候変動対策を講じるという「新たな選択」をすることは必要である。
気候変動問題による影響は、地域や業界全体に均等に広がるわけではないが、全ての人が影響を受ける。対策を何も講じないという選択は、全ての企業、産業、そして地域社会にとって多額の費用や代償を必要とする。一方、適切に対策を打った場合、その便益は大きい。対策によりもたらされる経済的便益を知ることは、ビジネスにとって、また脱炭素化を進めていくにあたっても重要である。
本レポートは、レジリエントな成長と経済の変革を同時に成し遂げるための政策・規制の検討材料を提供する。気候変動問題を考慮していない議論は、もはや国民、経済、意思決定者にとって適切ではない。オーストラリアは、サステナブルな未来を構築し、次世代を守るため、新たな選択をする必要がある。
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