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サステナブルファイナンスの進展に向けた金融機関のリスクと機会

~脱炭素社会の実現を主体的にリードする金融機関の役割~

SDGs達成に向けたサステナブルファイナンスの展望について、リスク / 機会 / 今後の展望の3つの視点から取り上げ、新たな金融サービスの発展について考察します。

パリ協定の遵守、気温上昇の抑制に向けて日米欧が2050年、中国が2060年に温室効果ガス(Greenhouse Gas: GHG)のネットゼロ排出を達成するとの目標を公表し、大きな社会の趨勢が定まりつつあります。

また、2020年12月には金融庁にサステナブルファイナンス有識者会議が設置され、活発な議論が展開されています。

各国がグローバル規模で同じ目標に向かうことにより、脱炭素化、気候変動対策を軸に環境・社会課題の解決に向けた競争が生じ、今後も企業による気候変動対策の動きが加速すると見られます。

このように、持続可能性(サステナビリティ)を意識した企業行動や投融資が注目される中、ESG(Environment, Social, Governance)への配慮とともに、持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)達成に向けたサステナブルファイナンスが金融機関で関心を高めています。

サステナビリティ・ESG課題への取組には、社内のCSR・サステナビリティ推進室・経営企画・財務企画・リスク管理・審査・運用・IRなどの各部署とともに、社外の規制監督当局・投資家・取引先・地域社会・格付会社・NGO・学識経験者などとの協働が求められます。また、サステナビリティ・ESGへの取組に関しては、国際的な動向をモニタリングし、継続的に情報収集をし、国際的な目線に留意しつつ、自社の取組に積極的に取り入れていく姿勢が必要です。

広範なスコープで超長期的な視点が求められるサステナビリティ・ESG課題への取組を通じた環境・社会価値の創造は、ステークホルダー資本主義の実現に向けて多様な価値観への対応を求められる企業が、自社の企業価値や持続的な成長力の源泉を見つめ直す際の一つの道筋になることが期待されます。本稿では、サステナブルファイナンスの進展に向けた金融機関のリスクと機会、そして今後の展望について解説します。

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クライメート(気候変動)&サステナビリティ

デロイト トーマツは、 気候変動、カーボンニュートラル、サーキュラーエコノミー、ネガティブエミッション等の分野で社会の声を取り込み、企業価値を向上するための戦略からマネジメントサイクル全般にわたる活動を支援することで、企業ひいては社会に持続的価値を提供していきます。

プロフェッショナル

森 滋彦/Shigehiko Mori
有限責任監査法人トーマツ ディレクター

矢吹 正太郎/Shotaro Yabuki
有限責任監査法人トーマツ シニアマネジャー

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