気候変動に伴うTCFD提言への金融機関の対応について ブックマークが追加されました
ナレッジ
気候変動に伴うTCFD提言への金融機関の対応について
TCFD提言における自社ポートフォリオへの影響分析、開示をどのように実施していくか
持続可能性を意識した企業行動や投融資が注目されるなか、ESGの配慮とともに、SDGs 17ゴール達成に向けたサステナブルなファイナンスが金融機関で関心を高めています。TCFD提言に基づく各金融機関は、自社のポートフォリオに応じて、NDC、BAUそして2℃以下のシナリオ分析を実施した上で、事業へのインパクト(座礁資産化リスク)を評価し、炭素関連資産情報を開示することを推奨されています。
ESG、SDGs、TCFD等サステナビリティ対応の全体像について
持続可能性を意識した企業行動や投融資が注目されるなか、ESG(Environment, Social,Governance)への配慮とともに、SDGs(Sustainable Development Goals)達成に向けたサステナブルなファイナンスが金融機関で関心を高めています。
ESGとSDGs、そしてTCFDとの関連をここで整理します。ESGは、中長期的な観点から投資家が企業価値をESGへの取組み状況で評価する手段に対し、SDGsは国際協調・連携の観点から国連が定めた社会課題解決に向けた2030年までの17の目標となります。そしてTCFD(Task Force on Climate-related financial disclosure)は、ESG投資家にとってはEnvironment領域の「気候変動に係る評価要素」であり、SDGsにおいては「ゴール7エネルギー」と「ゴール13気候変動」の目標に該当します。
デロイト トーマツ グループでは、SDGs、ESG、TCFD等サステナビリティ対応全般に広範なサービスを提供しております。
【サステナビリティ対応の全体像とサービスメニュー例】
(注)デロイト トーマツ グループでは、幅広い業界にアドバイザリーサービスを提供しており、業界横断的な対応、貴業界での対応を踏まえ、貴社が検討すべき取組みに係るアドバイザリーサービスを提供いたします。
TCFDとは
TCFD(Task force on Climate-related Financial Disclosures)とは、気候変動をテーマとして企業のガバナンスとリスクマネジメントの高度化とその開示を求めるイニシアティブであり、G20の要請を受け、FSB(金融安定理事会)により設立されたタスクフォースです。2017年6月に最終報告書を公表し、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標の4項目の観点から取組みの高度化と開示を推奨しています。従来の開示ルール内容と整合性を図りつつ金融の安定性という観点からもルールを策定しており、TCFD提言への賛同企業が増加する中、金融機関においても企業の気候変動度合いを投融資判断の評価要素に組み入れはじめています。
【TCFDとは】
金融機関として重視すべきリスクの特徴
気候変動リスクは、主に物理的リスクと移行リスクがあります。物理的リスクは、台風や豪雨等気候変動によりもたらされる建物の損傷や災害による休業などのリスクです。移行リスクは、例えば、石炭火力発電から再生可能エネルギーへの移行や電気自動車利用推進等による脱炭素社会へ産業構造全般が移行(変化)することに伴うリスクです。
金融機関による気候変動リスクへの対応は、業態により注視すべきリスクが異なります。
年金基金や保険会社、資産運用会社等のアセットオーナーは、運用・保有する有価証券に着目した対応となります。これは移行リスク、物理的リスクの双方の観点で評価することになります。銀行は、貸出ポートフォリオの信用リスクに与える影響が主なリスクとなります。これは、脱炭素経済への移行により影響を受けるセクター・産業と同時に技術革新等で機会を得るセクター・産業を評価することになります。保険会社は、保険引受に係る移行リスク、物理的リスク、さらには賠償責任リスク等が主なリスクになります。
【金融機関として重視すべきリスクの特徴】
金融機関に対する気候変動対応サービスの提供
気候変動対応における各企業の現状やニーズは多様です。TCFD開示に向けたアドバイスの他、シナリオ分析や定性・定量両面からの事業インパクト分析、更には移行リスク、物理的リスクの分析に基づく具体的な対応策からガバナンス体制構築まで、デロイト トーマツ グループでは専門的な知見やグローバルな規制・実務の情報に基づき、お客様の多様なニーズに対応できるアドバイザリーをご提供しています。
【金融機関に対する気候変動対応サービスの提供】
その他の記事
TCFD関連・シナリオ分析サービス
気候変動リスク・機会を、経営戦略に生かす“一歩目”
保険セクターにおける気候関連情報の開示の現状
Case study: Climate disclosure in the insurance sector