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価値創造ストーリー作成にとって重要なこととは?
『WICIシンポジウム2018 SDGsの実践に向け統合報告の知見を活かす』登壇レポート
2018年11月30日に開催された『WICIシンポジウム2018SDGsの実践に向け統合報告の知見を活かす』において、デロイト トーマツの貝沼直之がパネリストとして登壇しました。過日実施した海外投資家へのインタビュー調査からの示唆や、統合報告書作成における価値創造ストーリー作りの経験などについて説明しました。
開催概要
WICIシンポジウム2018 SDGsの実践に向け統合報告の知見を活かす
主催:World Intellectual Capital/Assets Initiative(WICI)
後援:経済産業省 、国際統合報告評議会 (International Integrated Reporting Council‐IIRC)
開催日:2018年11月30日(金)
会場:早稲田大学大隈講堂(大講堂・小講堂)
プログラムURL:http://www.wici-global.com/symposium2018/program.html (外部サイトにリンクします)
海外投資家が評価する統合報告書のポイント
2018年秋、英国のロンドン エディンバラにて投資家へのインタビューを行った際に、「投資家は統合報告書を読むのか」、「ESGをどう考えているのか」をテーマにディスカッションした結果、以下の点が海外投資家の共通認識であるという気付きがありました。
- 日本の統合報告書の質は高く、改善傾向にある。一方で、少し理解が難しい場合がある。
- 日本の統合報告書は図解や写真を使って凝った開示物になっているものの、情報量が多く複雑すぎるほか、文章での説明が不足しているケースがあり、重要な価値創造ストーリーが伝わっていない場合がある。
- 図解の記載も良いが、説明なしの図解の記載をするより、文章による内容説明があったほうがよいと感じている。
- 統合報告書内のデータの使用についても、その開示データがどのような経営戦略の文脈で重要なものであるのかについて知りたいと考えている。
- アウトカム(投資家との対話に必要なKPI、ROEロジックツリー等)と非財務情報との関連性をどう測定するのか等を含め、経営管理、財務・非財務情報の可視化が重要である。
- 経営戦略、ビジネスモデル、そして事業活動と、それに関連するデータなどから構成される価値創造ストーリーが、論理的なプロセスに基づいて、シンプルかつ読み手にわかりやすく説明できているかどうかが重要である。
価値創造ストーリーの構成要素~大手コンビニエンスストアの経験から~
価値創造ストーリーとは、「この会社は事業を通じてどのような形で社会と企業自体に価値を与えているのか?」を論理的にわかりやすく、ストーリーとして、順序・流れを持って説明することです。大手コンビニエンスストア勤務時代に作成した2013年度版統合報告書では、レポート冒頭の10ページにて、自社の価値創造ストーリーを、紙芝居的アプローチで表現し、忙しい読者がサマリーとして読み解けるよう作成しました。
具体的には、図と文章を用い、コンビニ業界における外部環境(メガトレンド)、沿革において、環境変化に対応してきた歴史が創り上げてきた強み、その強みを基軸とした現在の差別化要因、強みの背景である無形資産=人材資本、アウトカム(投資家との対話に必要なKPI、ROEロジックツリー等)を記載しました 。いわゆる価値創造プロセス図だけを記載するのではなく、10ページすべて含めた内容を「価値創造ストーリー」とし、詳細情報についてはレポートの後段のページやWEBに記載しました。
この記載スタイルについては、海外投資家からも好ましいと賛同を得ており、
統合報告書では、上記のような価値創造ストーリーを通じて、いかに自社の独自性・差別化要因を出していくかが重要です。差別化要因とは、企業の強み・らしさであり、それを伝えることが投資家に役立つ情報開示となります。
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