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経営や社会へのインパクトを重視した環境活動の変革
「環境と経営の一体化」と柔軟な経営戦略の構築に向けて
COP21での「パリ協定」以降、「TCFD」や「Climate Action 100+」など、様々な気候変動イニシアチブが立ち上がっています。また、「SDGs」「サーキュラーエコノミー」「自然資本」「公益資本主義」など、これまでの経済活動に異を唱える新概念が注目を集めています。こうした社会の変化に応えるため、企業には「環境と経営の一体化」が求められています。
環境活動を通じた経営インパクト、社会インパクトを最大化するため、企業の環境活動全般を包括的に見直すことが必要です。さらに、将来の不確実性に対してサステナブルかつレジリエントな経営を実現すべく、柔軟な経営戦略の構築が不可欠となります。デロイト トーマツ グループでは、こうした企業の環境活動と経営の変革を促す、幅広いサービスを提供しています。
目次
- 社会の変化:企業の環境活動に対する要求の高まり
- 世界経済は公益性を重んじる社会へとシフト
- 企業に求められること:「環境と経営の一体化」
- アプローチ:包括的な環境活動の整備
- さらなる高度化に向けて:サステナブルかつレジリエントな経営戦略
社会の変化:企業の環境活動に対する要求の高まり
2015年末のCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)にて「パリ協定」が合意され、「世界の平均気温上昇を2℃未満に抑えること(1.5℃に抑えることがリスク削減に大きく貢献することにも言及)」が世界的なコンセンサスとなり、以降様々な気候変動関連イニシアチブが立ち上がっています。
最近のCOPと気候変動イニシアチブ
例えば「TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)」は、気候変動に対して柔軟かつ強靭な経営の実践と開示を求める最終報告書を2017年6月に公表しました。
また2017年末に立ち上がった「Climate Action 100+」は、温室効果ガス(GHG)排出が多い企業の具体名を挙げ、気候変動に関わる取り組みや情報開示を求めてモニタリングしていくことを宣言しています。
世界経済は公益性を重んじる社会へとシフト
気候変動だけでなく、昨今では様々な新概念が登場しています。国連の「SDGs」では、気候変動に加えて貧困問題や生物多様性、エネルギーなど、持続可能な社会をつくるために世界が一致して取り組むべきテーマが網羅されています。「サーキュラーエコノミー(CE)」は、資源あたりの経済性を最大化する循環型社会の概念として、欧州を中心に、政策検討や企業の賛同が相次いでいます。その他、「自然資本」や「公益資本主義」なども注目を集めています。
こうした概念は、これまでの経済活動に異を唱える点で共通しています。企業経営においても、公益性を重んじる成熟社会へのシフトに対応して、事業の成長と公共性を両立する経営スタイルへの転換が求められています。
これまでの経済活動に異を唱える概念の台頭
企業に求められること:「環境と経営の一体化」
こうした社会変化に応えるため、企業は今まで以上に環境問題に対して真剣に取り組まなくてはなりません。デロイト トーマツ グループでは、「環境と経営の一体化」というコンセプトを唱えています。これまでの一般的な経営においては、環境活動は「コスト」として認識され、企業の経済活動とは分離して取り扱われてきましたが、これからは、環境活動を「投資」として捉え、企業の経済活動の中に組み込んでいくことが求められます。
経営ビジョンと環境ビジョンを一体化させ、トップがコミットメントを宣言する。経営戦略の立案において、環境視点を組み込んでいく。経営活動と環境活動が一体的にマネージされるガバナンス体制とPDCAサイクルを確立する。こうした「環境と経営の一体化」を推進していくことにより、環境活動が経営と社会に与えるインパクトが最大化され、企業のサステナビリティ向上が実現すると考えられます。
「環境と経営の一体化」コンセプト
アプローチ:包括的な環境活動の整備
「環境と経営の一体化」を実現するためには、以下のように環境活動全体を包括的に見直す必要があります。
- 経営戦略と整合した環境戦略策定
- 社会課題の体系的な整理と重要な課題に対する着実な対応
- ステークホルダーの要請に応じた様式での環境情報開示
- 経営インパクトを最大化するためのグリーンファイナンス活用やルール形成活動
- これらを支えるための、ガバナンス体制をはじめとする社内外の仕掛けの整備
包括的な環境活動の整備が、実効性ある「環境と経営の一体化」へ、さらには経営インパクト、社会インパクトの最大化実現へとつながります。
デロイト トーマツ グループでは、企業の環境活動全体の課題抽出から、個別テーマの企業活動への組み込みまで、豊富な経験をもとに支援することが可能です。
環境活動の包括的な整備
さらなる高度化に向けて:サステナブルかつレジリエントな経営戦略
環境と経営の一体化がなされたとして、次なる課題は、「どこまでの投資を許容するか?」です。不確実性の高い将来社会に向けて、事業との兼ね合いを見ながら環境への投資を行うことは、非常に難しい意思決定となります。
TCFDでは、「気候変動にかかるシナリオ分析」が推奨されています。これは、不確実性の高い将来の気候変動について複数のシナリオを立て、それぞれのシナリオにおけるリスクと機会が経営に対してどの程度のインパクトを与えるかを理解し、その上で経営戦略を立てる、というものです。こうした考察を行うことにより、気候変動の不確実性の影響を受けにくい経営が可能となります。
また昨今注目を集めている「内部カーボンプライシング」も、低炭素化に向けた社会の動向を踏まえながら、中長期的な視野での脱炭素投資の意思決定に有効です。これは、企業独自に炭素に価格をつけ、社内の事業やプロジェクトについて、将来にわたる気候変動の影響を勘案した上での、財務的な影響の見積りをするものです。
今日の企業には、不確実性の高い将来に向けて、環境と経営を一体化させながら、事業戦略や意思決定を柔軟に行っていくことが求められています。柔軟な事業戦略と意思決定が、サステナブルかつレジリエントな経営の実践を可能にします。
デロイト トーマツ グループでは、サステナブルかつレジリエントな経営の実践に向けた施策についても、豊富な経験を蓄積しております。