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未経過固定資産税相当額を未払金として分割承継法人に承継する場合

『国税速報』平成31年3月18日号

租税債務は分割により分割承継法人に移転させることができないことから、分割契約書において未経過固定資産税相当額の精算のため分割法人と分割承継法人との間に債権債務の関係を発生させる場合には、その実態は「創設債務」とみなされる可能性があります。すなわち、分割により分割法人を債権者、分割承継法人を債務者とする債権債務の関係が発生することになり、分割対価資産として創設債権が交付されたとみなされる可能性があります。この場合には、金銭等不交付要件に抵触し、分割が税制非適格とされる可能性があります。

【疑問相談】法人税

「未経過固定資産税相当額を未払金として分割承継法人に承継する場合」

Question:
当社(内国法人P社)は、事業上の理由により、適法かつ適正な条件に基づき、当社の100%子会社である内国法人S社に対し、当社が行うA事業を吸収分割することになりました(以下「本件分割」)。

分割契約書においては以下のとおり定めます。

第x条

本件分割の効力発生時点までP社がS社の発行済株式(自己株式を除く)の全てを保有しているため、S社は、本件分割に際し、P社に対して一切の対価の交付を行わない。

第y条

本件分割によりP社からS社に承継する資産に賦課される公租公課その他の費用については、日割計算により、効力発生日の前日までの期間に対応する部分はP社の負担とし、本効力発生日以降の期間に対応する部分はS社の負担とする。なお、固定資産税の起算日は1月1日とする。

当社は分割契約書第y条の条項に基づき、移転不動産に係る未経過固定資産税相当額を未払金としてS社に承継することを検討しています。同時に当社では未収金を計上することを検討しています。

当社はS社株式を継続保有する見込みですが、本件分割は税制適格要件を充足しますか。

Answer:
添付PDFをご覧ください。

 

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