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Crunch time XIII-決断の時13

CFOのための戦略的データ管理ガイド

データ管理のツールや技法は急速に進化し、それらを活用することで、CFOが抱える面倒な課題を、より短期間で解決することができるようになっています。データ管理方法の見直しは、あなたが思っているよりも劇的な効果をもたらす可能性があります。

ノイズを除外する

日々、企業では多くのデータが生成され、経理・財務部門は新しいインサイトを得ることができ、事業に対する自身の価値を高めるチャンスを無限に得ているように見えます。しかし、それが簡単なことであれば、誰もが実践しているはずです。問題は、さまざまなソースから日々生成されるデータの量に圧倒されてしまうことです。

大量のデータから有益なインサイトを得るために企業は、データを収集、処理、統制することが求められ、また、その情報に基づいて行動するための実用的な方法を必要としています。例をあげると、会社全体として、または経理・財務部門としてのデータレイクの設置や報告業務の効率化、データ管理やアナリティクスのスキルセットの高度化などを通じて、自社のデータ管理基盤を強化している企業が多くあります。

これらの取り組みは多くの場合、クラウドベースのERPへの移行により促進されています。しかし、多くのデータ問題についてはより簡単でターゲットを絞った解決方法で対処することができます。本書ではそのような方法に焦点を当てていきます。

Crunch time XIII-決断の時13〔PDF,3.8MB〕

より多くの価値を引き出す方法

AIと機械学習といったテクノロジーにより、通常、人間の知能を必要とする作業が自動的に行われ、絶大なメリットが経理・財務部門もたらされます。これらのテクノロジーは、従来時間のかかるデータクレンジングや、プロファイリングプロセスの自動化に使用することができ、同時に出力データの精度や信頼性を高めてくれます。

機械学習によって向上した分類とクレンジングのアルゴリズムは、人間のアナリストがデータの集合体に対して何をしているかを観察することで学習し、その過程において大量のデータ処理・分類・改善を行います。また、これらのアルゴリズムはデータの紐づけとマッピング提案を行い、データベース間のデータ連結とアナリティクスを促進し、新たなファイナンスの観点でのインサイトを導き出します。

つまりAIと機械学習は処理コストを削減する機会だけでなく、経理・財務部門がより付加価値の高い作業を行うための時間を与えてくれます。これらは人間が行っていた作業を機械で代用することの最大のメリットです。

 

 

おわりに

企業規模を問わず、どのような企業であっても、期待される成果は、良質なデータによって達成されます。人工知能、機械学習、自然言語処理、ロボティック・プロセス・オートメーション、その他のテクノロジーを使用した新たなツールによって、かつてないほど早く、そしてより一層データ管理を自動化し、データ品質を改善することが可能になっています。

メリットを享受するために大金を費やす必要はありません。また、何年もリソースを拘束する必要もありません。その代わりに、優先順位を決定し、選択肢を模索し、小さなステップを踏み出し、時間をかけて積み上げていきましょう。少し行動してみると、新たな可能性があることに驚くかもしれません。

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