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Canadian tax alert

2015年度 B.C.州予算案ハイライト

2015年2月17日、ブリティッシュ・コロンビア州 の2015年度予算が公表されました。デロイト税務部門が注目する重要なポイントを分かりやすく日本語で取り纏めました。

2015年2月17日、ブリティッシュ・コロンビア州 (以下、BC州) 財務大臣から、2015年度予算が公表された。“財政ハットトリック”と称された本予算は、3年連続で均衡予算を達成する見込みであり、財務大臣は以下の3つを基本となる柱として強調した。

  • 支出の抑制
  • 将来予測におけるグローバルリスクの慎重な考慮
  • 将来に向けた若年層の育成と公共インフラの拡充への取組み

財務大臣は、継続して支出を抑制する予算を提示しているが、社会資本整備のための支出は継続的に拡大させる点には注目すべきである。BC州の経済成長率は、輸出、小売、住宅市場における伸びと、グローバルな規模での不安定リスクやカナダドルの変動を考慮して、それぞれ2.3% (2015年) 、2.4% (2016年) 、2.3% (2017年) と予測されている。また、2015年度予算における歳入と歳出は、それぞれ464億ドルと458億ドルが見込まれている。一方、債務額については、今後3年間における大規模な公共インフラ投資を反映して、2015年度の659億ドルから2017年度の704億ドルに増加する予測が示されている。

本予算において公表された税制改正は、以下の分野に着目している。

  • 主要な経済セクターの強化および成長促進
  • 家庭および貧困世帯の支援
  • 州売上税 (以下、PST) のテクニカルな変更

主要な経済セクターの継続的な強化と成長促進のための施策

2015年度予算においては、鉱業、ハイテク産業、映画製作事業といったBC州における特定の主要産業を支援することを企図して設けられた多くの税控除を拡大または延長することとしている。

鉱業

  • 鉱業プロジェクトへの資本投資を呼び込むため、BC州フロースルー株式制度 (BC mining flow-through share tax credit) を2015年終了時まで延長する。
  • 鉱業税法 (Mineral Tax Act) における新規鉱山税控除を2019年12月31日まで4年間延長する。

ハイテク産業

  • ビデオゲームを始め、その他のデジタルメディア製品の開発コストを補うため、BC州インタラクティブ・デジタル・メディア税控除(BC interactive digital media tax credit)を2018年8月31日まで延長する。

映画製作事業

  • DAVE (Digital Animation or Visual Effects) 税控除を撮影後の作業にも適用されるよう拡充し、2015年3月1日以降に撮影を開始する映画製作から適用する。

その他

  • 経営者と実習生をサポートするため、BC州トレーニング税控除 (BC training tax credit) を2017年終了時まで延長する。
  • 2015年に小規模事業ベンチャーキャピタル税控除 (Small business venture capital tax credit) を3百万ドル増加させる単年度措置が導入される。この結果、本プログラムによる2015年の税控除は、適格新規事業に対する追加資本拠出の1千万ドルまで認められることとなる。

家庭および貧困世帯の支援のための施策

本予算では、将来世代への投資と貧困世帯への支援に重点的に取り組んでいる。この目的を達成するための税制措置が多く設けられているが、純収入に与える影響は極めて小さい。

BC州減税控除 (BC tax reduction credit) の拡大

  • 2015年からBC州減税控除(低所得者に対する税額控除)の最大控除額とそれを受けることができる所得基準が引き上げられ、合わせて控除額の減額計算(所得基準を上回った所得金額に一定のレートを掛けて算定)に用いられるレートが引き上げられる。本改正により、減税控除額(最大値)が適用される所得額は、州所得税納付前の金額で1万9千ドルとなる。

子供フィットネス用具費控除(Children’s fitness equipment credit)の導入

  • 2015年から子供一人当たり年間250ドルを限度として、条件を満たすフィットネス用具費にかかる控除制度 (還付不能) を新たに導入する。この控除制度は、条件を満たす運動プログラムへの参加費を年間500ドルを限度として控除する既存のフィットネス控除 (BC children’s fitness credit) に追加して導入される。

教育・コーチング税額控除 (BC education coaching tax credit) の導入

  • 2015年から新たに500ドルの教育・コーチング税額控除制度 (還付不能) が導入され、年間最低10時間の課外授業を行う教師および指導補助者が対象となる。本制度は2017年まで適用され、2017年に見直しが行われる予定である。

養育費支給額を所得額から除外

  • 2015年9月1日から子供の養育費支給額を所得額算定に当たって全額除外する。今後は、所得と障害補助金に加えて、支給された養育費を全額収受することが可能となる。

幼児税制優遇制度 (BC early childhood tax benefit) の施行開始

  • 育児費用を補うことを目的として2013年度予算において公表された本制度により、2015年4月1日から条件を満たす家庭に対し、6歳未満の幼児一人当たり年間660ドルを限度として支給される。

学資補助制度 (BC training and education savings grant)の施行開始

  • 本制度も2013年度予算において公表されたものであり、登録学資プラン 口座(Registered education savings plans) を子供に開設した保護者は、2015年8月から加盟金融機関において本補助金の申請が可能となる。2007年1月1日以降に生まれ、条件を満たすBC州居住の子供一人当たり、1回限り1,200ドルの補助金が支給される。本補助金を受け取るために保護者に対して追加の拠出は求められない。

2013年度に導入された2年間の付加税終了

  • 2013年度予算において、15万ドル超の所得者に対し、2014年および2015年の2年間、2.1%の付加税が導入されることなった。2015年度予算において変更または延長はされておらず、2016年には終了するものと見込まれる。将来において他の変更が生じなければ、2016年の最高累進税率は43.7%に戻ることとなる。

PSTのテクニカルな変更

2013年にPSTが再導入されて以降、テクニカルな運用上の不具合が表面化している。2015年度予算においては、こうした問題に対処するため、いくつかの分野において変更を加えている。

他の有形動産を製作するために使用される有形動産

  • 不動産の改修工事を目的として、BC州外へ持ち出される他の有形動産を製作するため、BC州に有形動産が持ち込まれる場合がある。その輸入取引が、2015年2月18日から課税対象となる。この結果、当該動産への課税はBC州内で取得する動産と同じ課税関係になる。なお、有形動産がBC州外にある不動産の改修工事契約を履行する目的でBC州外へ持ち出され、その税務管轄地において売上税が課税され、その還付、控除、払い戻しを受けない場合、有形動産のBC州内での取得もしくはBC州への輸入時に支払ったPSTは還付される。

この変更は、BC州でキッチン棚を作り、BC州外で据え付け工事を行う業者にとって、若干の救済措置となる。この変更前までは、当該工事請負業者は、BC州で購入する原材料にPSTを課税されキッチン棚をBC州外へ持ち出した際に、他の税務管轄内においても輸入品に対するPSTが同様に課税されていたため、二重課税が生じていた。この変更により、マニトバ州やサスカチュアン州など、売上税の還付制度を持たない税務管轄地に当該キッチン棚が持ち出された場合、原材料に課税されたPSTの還付が認められることとなる。しかし、アルバータ州やオンタリオ州など、GSTのみやHSTを採用する州への輸出の場合、還付は受けられない。キッチン棚を持ち出す先の税務管轄地と税制が異なることもあり、この変更は望まれたほどには広く適用されず、本還付制度のルールに遵守して還付を受け取るためには、工事請負業者に多くの文書業務と記録管理が求められることとなる。

登録義務の拡大

  • 2015年9月1日から、通常の業務において下記を行うBC州外に在住の個人に対して、PST徴収のための登録制度が適用される。
  • BC州から有形動産の受注
  • BC州の個人に対して有形動産を販売または提供
  • 販売時にBC州に有形動産の在庫を保有

これらの基準に基づき、2015年9月1日に先立って自主的な登録が受け付けられる。この変更は、BC州への販売時に以前は登録が必要とされなかったカナダ非居住者が主に対象となり、もしカナダ非居住者が在庫をBC州に保有している場合、登録が必要となる。また、本登録義務は、BC州居住者でないカナダ居住者の場合も、BC州での在庫保有、受注、BC州内への出荷があれば、BC州での受注活動がなくとも対象となる。

その他の税制

  • 2016年1月1日から、メディカル・サービス・プランの保険料が4%引き上げられ、単身世帯は一月75ドル、二人世帯は同136ドル、三人以上の世帯は同150ドルとなる。
  • 2015年2月18日から、立ったり座ったりする動作を容易にするための電動椅子を医師の処方箋に従い購入した場合、PST対象外となる。
  • 地方自治体または地方行政区の税制に従い、指定宿泊地において課税される宿泊代にかかる最高税率が2%から3%に引き上げられる。なお、地方自治体または地方行政区は、各地域における税率引き上げに関してBC州政府への申請が必要となる。
  • 2015年度は、住宅所有者助成金 (Home owner grant) が段階的に減額される住宅基準額を110万ドルに据え置く。本年度においては93%の住宅がこの基準額を下回っている。
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