Canadian tax alert: LNG租税措置アップデート

LNG租税措置アップデート

2014年10月21日、ブリテッィシュ・コロンビア (以下、BC) 州財務大臣は、2014年2月に発表した液化天然ガス (以下、LNG) 租税措置のアップデートとして、LNG所得税法のドラフト法案を公表した。

2014年度BC予算では、BC州内の天然ガス液化設備における事業活動から得られる収益に適用される二階層の所得税が立案された。一段階目の課税 (以下、Tier1 tax) は、LNG生産収入が控除可能な操業コストを超過した(純利益 (net proceeds) が発生した) ときに 課税され、二段階目の課税(以下、Tier2 tax) から控除される。Tier2 taxは、事業者の設備投資勘定が純利益 (net proceeds) によって全て回収されたときに課税される。

当初の枠組みでは、以下を含むいくつかの論点が明確にされていなかったが、ドラフト法案において、回答と追加的な情報が提示された。

  • 設備投資勘定に含まれる、または設備投資勘定から除かれるコストは何か?
  • 設備投資勘定が増加することはあるか?
  • 資金調達コストは控除可能か?
  • 独立企業間ではない取引や協定において生じる天然ガスのコスト、LNG価格、レンタル料、加工費をどのように決定するか?

法案ドラフトのハイライト

  • 草案通りに成立すれば、本法案は2017年1月1日以降に開始する課税年度から施行され、LNGに起因 (LNG source) する所得が生じた納税者に適用される。LNG sourceは、特定のLNG施設において行われる液化事業 (liquefaction activities) 、もしくはそれに関連するものとして定義されている。予想通り、液化事業には、LNG施設での天然ガス液化事業における様々な権利や取り決めに関連した活動をその範囲に含めるため、広い定義づけがなされている。これには、LNG施設におけるLNGや天然ガスの購入、保有、販売、LNG事業から派生する所得を得る権利、LNG施設の保有およびオペレーション、LNGプラントの建設、管理、オペレーション及びメンテナンスをサポートする事業が含まれる。
  • 本法案においては、2014年2月18日に公表された通り、二階層の税制が維持された。Tier1 taxの税率は当初提案された1.5%が維持された一方、Tier2 taxの税率は7%から3.5%に低減された。ただし、2037年には5%への引き上げが予定されている。
  • Tier1 taxは、LNGに起因する収入が控除可能な操業コスト及び投資積立額を超過(純利益 (net operating income) が発生)したときに課税され、Tier2 taxから控除される。Tier2 taxは、LNG事業に関与する者が、純利益 (net operating income) によって設備投資及び累積純損失 (net operating loss) を全て回収したときに課税される。
  • 政府はまた、2017年1月1日以降に開始する課税年度から適用される新たな天然ガス税額控除制度を取り入れたBC所得税法の修正案を発表した。この追加的控除により、BC州に恒久的施設を持つ納税者のBC州法人税率は、現在の11%から8%程度にまで引き下げられる。控除額は、課税年度において取得した、もしくは取得したと想定される天然ガスの適格コストの0.5%で計算される。

上記重要論点に対する回答:

  • 設備投資勘定は、LNG施設における液化事業に使用される控除可能な有形無形の資本コスト (インセンティブを控除且つ以前に取得原価から控除したヘッジコスト及び金融コストを加算後) を含んでいる。設備投資勘定に含められるLNG施設の構成要素には、液化プロセスに投入される天然ガスを輸送、受入、測定するシステム、ガス精製及び液化システム、貯蔵タンク、海洋ローディングシステム、発電設備のような他のサポート設備が含まれる。原料パイプライン、原料支線(Spur)パイプラインの上流部分に取り付けられている資産、LNGを船積みするためのローディング、もしくは再ガス化のためのLNG輸送以外に使用される、LNGプラントからLNGを輸送するためのパイプラインは除外される。
  • 設備投資勘定を増額させる代わりに、納税者は、純利益 (net operating income) の計算において投資積立額を控除することができる。この積立額は、該当年度の平均調整後設備投資勘定の4分の3に対する所定のパーセンテージ(現時点では未公表)に応じて計算される。なお調整後設備投資勘定は、原則としてLNG施設の有形固定資産の取得原価のみを含むものとする。
  • 一般的に、投資家は、自己資本や債務による資金調達を通じてカナダへの投資資金を賄い、それらはカナダ所得税ルールに従うこととなる。負債利息は通常多額になるが、本法案において全ての資金調達コストは、ヘッジコストと同様に、関連当事者間であろうと第三者間であろうと、控除されないことが確かめられた。
  • 法案ドラフトは、関連当事者間での取引や協定が、独立した第三者間で行われる条件でなされているものと通常はみなす、とする特定条項を含んでいる。その上で、特定の閾値を超過する移転価格調整がなされている場合や関連当事者間における取引価格をサポートする文書が同時に作成されていない場合、罰則が課されることがあるとされている。
  • 対象となる液化事業が、独立した第三者でない者との間における天然ガスの購入及び/またはLNGの販売に関与しない場合、本法案ではその購入及び販売に対して、カナダ所得税法で適用されLNG事業にも適合された移転価格ルールに則して決定された価格であるとみなすこととしている。

さらに…

  • 本LNG税法案は、かなりの部分においてカナダ所得税法を参照している。事実、疑念がある場合には、本LNG税法案の規定は連邦税の類似した規定に整合する形で適用もしくは解釈するものとする広義の規定が設けられている。本法案はまた、カナダ所得税法における租税回避防止ルールの多くを反映している。
  • LNG税を目的とする純利益 (net income) の計算は、一般的に法人所得税計算と類似の方法となるが、一方で重要な特定の例外項目も多数存在する。そうしたことから、それぞれの目的に応じて、利益額を別個に決定することが必要
    なる。
  • 法人所得税目的とは異なり、納税者はLNG施設ごとにLNG純利益 (net income) の計算、納税額の確定、個別の納税申告が必要となる。
  • 納税者は、LNGプラントへの注入時点における第三者からの天然ガス取得コストを評価する特定ルールに従う必要がある。このルールによれば、原則としてLNG施設までの天然ガス輸送コスト、及びSpectra Station 2における天然ガス市場価格に基づく基準価格を反映するよう、天然ガスの実際購入価格を調整することとなる。
  • LNG事業者は、本LNG法案が施行される前に生じた資本支出及び純損益 (operating net income or losses) を、法案施行後に発生したものとして取り扱うことを選択することができる。
  • パートナーシップ制によるLNG事業の場合、あたかもパートナーシップが別個の法人であるかのように純利益 (net income) をパートナーシップレベルで計算するが、LNG税は、パートナーシップにおける損益の比例持分に応じて、これによる分配が合理的であると仮定して、パートナー個々が納税義務を負うこととなる。
  • 信託形式によるLNG事業の場合、純利益 (net income) は信託レベルで計算され、信託が税を負担することとなる。
  • 法人所得税はLNG税計算において控除されず、また逆も同様である。

本内容は、デロイトによって作成されたCanadian tax alert (British Columbia releases the Liquefied Natural Gas (LNG) Income Tax Act & Greenhouse Gas Industrial Reporting and Control Act) の抄訳版です。

 

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