GDPRに続く、プラットフォーマーやデジタルサービスへの規制動向を注視する ブックマークが追加されました
近年のテクノロジーの激しい進化やそれに基づくビジネスモデルの躍進が引き金となり、欧州を中心に、新しい規制を定める動きが続いている。EU(欧州連合)のGDPR( General Data Protection Regulation: 一般データ保護規則)は、企業にEUを含む欧州経済領域(EEA)域内で取得した個人データを EEA 域外に移転することを原則禁止している。このうち従業員の名簿に関しては、現地採用の外国企業(例えば日本企業)の従業員や外国から派遣されている駐在員も含まれる等、その対象は広範に及んでいる。
さらに、EC(欧州委員会)は、GAFAに代表されるテクノロジーに支えられたプラットフォーマーへの新しいルールを打ち出そうとしている。欧州の政策立案者の中では、現在の規制はデジタル経済のために設計されたものではないため、更新する必要があるという議論が高まりつつあり、EU全体として、デジタルサービスを制約するための新規制に取り組んでいる。それが、GDPRを強化するデータ法(Data Act)、そして、昨年12月15日に発表されたデジタルサービス法(Digital Services Act)とデジタル市場法(Digital Markets Act)である。
現在進められているこれらの規制は、プラットフォーマーやデジタルサービスにおけるビジネスの中枢に関わっているという点で、GDPRよりもクリティカルであるといえるかもしれない。ビジネス活動やビジネスモデルそのものの転換を必要とする企業も出てくるかもしれない。また、これらの規制は米国や日本における規制の動きにも大きなインパクトをもたらしうる。
近年のテクノロジーとそれによるビジネスモデルの進化の時代は、新しいフェーズに入ろうとしている。これらの提案が実際に法律になり、施行されるまでには時間がかかると思われる。しかし、GDPRへの対応が一朝一夕ではできなかったように、各企業においてもその影響範囲とそれによるビジネスのゲームチェンジがどのように起こるかを見定めて、次の戦略を準備しておく必要があるだろう。
【シリーズ】デジタルトラストについて考える
デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員 外資系コンサルティング会社、グローバルインターネット企業を経て現職。 ECや金融における先端技術を活用した新規事業創出、大規模組織マネジメントに従事。世界各国の研究開発を指揮していた経験からDX立案・遂行、ビッグデータ、AI、IoT、5Gのビジネス活用に強みを持つ。CDO直下の1200人規模のDX組織構築・推進の実績を有する。2019年に翻訳AI の開発で日経ディープラーニングビジネス活用アワード 優秀賞を受賞。 東北大学 特任教授。日本ディープラーニング協会 顧問、企業情報化協会 AI&ロボティクス研究会委員長。過去に、情報処理学会アドバイザリーボード、経済産業省技術開発プロジェクト評価委員、CIO育成委員会委員等を歴任。 著書に『クラウド大全』(共著:日経BP社)、『ウェブ大変化 パワーシフトの始まり』(近代セールス社)、『大前研一 AI&フィンテック大全』(共著:プレジデント社)がある。 記事:デロイトデジタル「新しい世界へのマーケティングは、人とAIのコラボレーションによりもたらされる」 関連サービス ・ カスタマー・マーケティング(ナレッジ・サービス一覧はこちら) >> オンラインフォームよりお問い合わせ