Posted: Aug 20, 2019 3 min. read

今後存続する企業は「人間を中心」とした「ソーシャル・エンタープライズ」に

デロイトでは人事や人材活用を取り巻くトレンドを観測する「グローバル・ヒューマン・キャピタル・トレンド」調査を毎年発表している。2019年の調査には、日本を含む世界119か国、約10,000人の人事部門責任者、管理職に回答頂いた。今年の結果からは、企業の人事施策において「人間を中心に据えた組織改革」というパラダイムシフトが進んでいることが見て取れる。調査結果をもとに、会社と個人の関係性が変わりつつある現状を紹介したい。

まず、今年の傾向としては、「企業の在り方」そのものが変化しているという点がよりいっそう浮き彫りとなった。自社の成長だけではなく、環境や周りのステークホルダーにも目を向け、社会的影響を重視していこうという流れである。今後はこのような「ソーシャル・エンタープライズ」であることが企業の成長やイノベーションにますます直結していくことになろう。

同時に、会社における「個人の在り方」も転換期を迎えていることが調査から読み取れる。社員の人間としての志や目標が企業の成長や変革に欠かせないものとして考えられるようになっている。よって、企業の観点から社員を捉えた「エンプロイー・エクスペリエンス」からさらに進んで、個人を重視した「ヒューマン・エクスペリエンス」へと注目点がシフトしつつある。一方、個人の視点に立つと、従来のような「会社に所属する社員」ではなく「社会に生きる個人」としての意識が高まりつつある。個人としてやりたいことや目標がまず前提としてあり、その実現やそれに向けて成長できる器として会社を捉えるようになっているのである。会社に強制されることなく、自ら積極的に志の実現に向けて学び、成長していく姿が浮かび上がる。

このような中で企業に求められるのは、個人を社会的存在としてとらえ、そのヒューマン・キャピタルとしての価値を高めることであり、個人として社会に役立つことを通して会社の成長に寄与する人材を育てることである。テクノロジーの進化によって仕事の質は「スーパージョブ」へと変化し、代替的労働力もいっそう増加することが予想される。一方で、企業は人材の社内育成にも関心を持っており、個人としてのニーズや志に対応した報酬や学習機会の提供が求められる。テクノロジーを取り入れながら、社内外のヒューマン・キャピタルを一体的に管理し、社内の仕事を再設計していくことが必要となる。企業としての社会における目的や意義といったものを経営の中心に据え、仕事に人間的な要素を取り戻してくことが企業の今後の目指すべき姿であろう。詳しくは、ぜひレポートをご覧いただきたい。

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小野 隆/Takashi Ono

小野 隆/Takashi Ono

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デロイト トーマツ コンサルティング 合同会社 執行役員 HR Transformation領域の事業責任者 人事・総務領域の機能・組織・業務・人材の変革について、HRテクノロジー、デジタルHR、BPR、RPA、チェンジマネジメント等の観点から支援している。 グループ組織再編・M&Aにおけるグループ人材マネジメント、人事PMI、SSC設立等において豊富な経験を持つ。 人材流動化研究会(Talent