ニュースリリース

デロイト トーマツ「Digital Consumer Trends 2022」(日本版)を発表

COVID-19対策が進み、「巣ごもり」と「巣立ち」が混じる状況下の日本のデジタル消費行動の変化を分析。デバイスの利用を中心にエンタティメントサービスや5Gなどのテーマも含んだ洞察を提供。

2022年12月21日

デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO 木村研一、以下 デロイト トーマツ)は、デロイトのテクノロジー・メディア・テレコムインダストリーが全世界22ヶ国・地域、計38,150人、16歳から75歳を対象に実施した調査をもとに、日本独自の考察を加えた「Digital Consumer Trends 2022」(日本版)を発表します。
 

【主な調査結果】

  • スマートフォン普及は飽和状態、スマートウォッチ/ヘルスケアバンド所有者の90%は健康指標をモニタリングし、デジタル健康意識が高まっている
  • 用途に応じたデバイスの選択に変化があり、動画視聴はテレビデバイスに回帰
  • 日本の消費者のスマートフォンにおけるサステナビリティとサーキュラーエコノミー(資源循環)意識は欧州より低く、中古市場はまだ芽生えの段階
  • SVOD(有料動画配信サービス)利用の成長鈍化、広告の受容度は全体は横ばいだが18-24歳の層で広告を見ないよう料金を払う意向が高まる。
  • 屋内でのインターネット利用はCOVID-19前の約2倍に、国内消費者の5Gサービスに対する関心は高いとは言えない

なお、調査結果の詳細は、以下よりご覧いただけます。
 

調査レポート 
『Digital Consumer Trends 2022』日本版



 

「Digital Consumer Trends 2022」(日本版)のサマリー

スマートフォン普及は飽和状態、スマートウォッチ/ヘルスケアバンド所有者の90%は健康指標をモニタリングし、デジタル健康意識が高まっている

  • 日本国内のスマートフォンの保有率は88%で前年までの伸びが鈍化し飽和に近づいている。比較的新しいデバイスのスマートウォッチ/ヘルスケアバンド(15%)や音声アシスタントスピーカー(8%)は逓増している。UKやオランダのスマートウォッチ/ヘルスケアバンドの保有率は20%、音声アシスタントスピーカーの保有率は15%を超え、日本よりも早く成長している一方で、海外ではデバイスによって保有率に減少傾向がみられる。
  •  消費者に浸透するデバイスだが、付き合い方を見直すきっかけとなるような傾向が見られた。国内消費者の33%は「デバイスに費やす時間を減らしたい」と考えており、42%は「デバイスの使用が理由で予定よりも夜更かしをする傾向がある」と回答。特に18‐24歳の62%は「夜更かし」すると回答しており、国内平均と比べ20ポイント高い。
  • スマートフォン等のデバイス保有者の46%、特にスマートウォッチ/ヘルスケアバンド保有者の90%はなんらかの健康の指標をモニタリングしている。昨年の調査結果に続き、最も多い計測項目は、歩数(71%)と心拍数(54%)。エクササイズや水分量といったアクティビティは、より手軽に記録できるスマートウォッチ/ヘルスケアバンド保有者と非保有者に顕著な差が出た。また、回答者の54%はウェアラブルデバイスで収集した自身の健康関連データを医師に提供してよいとしている。この傾向は若年層になるにつれて高い。
     

図1:保有しているデバイスの種類と保有率(前年比/各国別)

N=日本 2021(2,000)、2022(2,000)、 UK 2021(4,015)、 2022(4,011)ベルギー2021(2,000)、2022(2,000)オランダ 2021(2,000)、 2022(2,000)、ドイツ2021(2,000)、2022   (2,000)
*1スマートウォッチ:Apple Watch、Samsung Galaxy Watch, Huawei Watchなど
*2ヘルスケアバンド:Fitbit、Garmin、ドコモ・ヘルスケア ムーヴバンドなど
*3据え置き型ゲーム機:PS5/PS4、X-Box Series X/Series S/360 Nintendo Switchなど、 Nintendo Switch Lite は除く
*4音声アシスタント搭載スピーカー:Amazon Echo、Google Home、Google Nestスマートスピーカーなど
*5:例:PlayStation VR、HTC ViVe、Meta Oculus Quest、Google Cardboardなどのユーザー自身が厚紙や段ボールを使って工作する方式は除く

出所:Digital Consumer Trends 2021、2022

 

図2:デバイスでモニターしている健康関連の指標
(日本/スマートウォッチ・ヘルスケアバンド所有者とスマートフォン等デバイス所有者の比較、2021-2022)

N=日本2021 TOTAL(1,751)、スマートウォッチ/ヘルスケアバンド所有者(182)
N=日本2022 TOTAL(1,757)、スマートウォッチ/ヘルスケアバンド所有者(176)
注:スマートフォン、スマートウォッチ、もしくはヘルスケアバンドを所有している18-75歳の回答者

出所:Digital Consumer Trends 2021、2022

 

用途に応じたデバイスの選択に変化があり、動画視聴はテレビデバイスに回帰

  • 日本では、18-24歳を除く全世代で、映画やテレビ番組の視聴や見逃し配信サービスの利用で最もよく利用するデバイスについて、2020年※2までのスマートフォンでの視聴から、今年はテレビデバイスによる視聴に変化している。デジタルコンテンツは、自宅にいる時間はゆったりとした居心地のよい空間でテレビデバイスで視聴したい消費者の嗜好が推察できる。
  • 「購買行動(ショッピングサイト閲覧、オンライン購入)」において、2020年※3までは44歳以下がスマホ利用中心であったが、今回の調査結果では、45-54歳においてもスマートフォンを利用するとの回答となっており、スマートフォン利用率の年齢層が広がっていることが伺える。総じてスマホ偏重傾向にあるが、25-34歳においては「据え置き型ゲーム機」の利用が多い結果となった。
  • 「VRヘッドセット保有率」は前年に引き続き「3%」と変化がなかった。しかし、「毎日利用しているデバイス」についての回答は、前年の「22%」から「30%」に増加している。メタバースにおける空間体験という観点においては、VRヘッドセット保有者の利用率は向上する傾向がみられた。しかし、「メタバースを知っている」と答えた層は32%に留まり、半数以上がメタバースについて「何も知らない(36%)」または「聞いたことがない(18%)」と回答しており、まだ途上段階といえる。
     

図3:用途に応じて利用するデバイス(日本/年代別)

 

N=日本 2022(863) 
*母数が少ない項目 注:スマートフォンを保有する18-75歳の回答者

出所:Digital Consumer Trends 2021,2022

 

日本の消費者のスマートフォンにおけるサステナビリティとサーキュラーエコノミー(資源循環)意識は欧州より低く、中古市場はまだ芽生えの段階

  • 所有率が最も高いスマートフォンにおいて「自社製品のカーボンフットプリントを企業が共有するべきか」の質問に、日本の消費者の25%が「同意する」と回答。一方、欧州諸国の消費者の回答は約57%で、日本と比べて非常に高い。また、「価格が高くても、カーボンフットプリントが低い機器を購入するか」の質問に日本の消費者は12%は「強く同意する(2%)」、「どちらかといえばそう思う(10%)」と回答したが、欧州諸国では約28%が購入意向を示している。(「強く同意する(7%)」、「どちらかといえばそう思う(21%)」)
  • 日本の消費者のうち「中古品を保有している」と回答した人は5%、欧州諸国では約14%となり大きく差が開いている。欧州ではiPhoneやAndroidなど携帯端末の中古品・整備品専門のマーケットプレイスが存在して、一定の割合で普及。一方日本においては、各種規制も影響し、中古品市場はまだ途上段階にあるようだ。
  • 消費者が新しいスマートフォンを購入する理由は「寿命が長い(37%)」が最も多く、欧州においても同様に高い割合(24%)であった。その他「中古/整備品の携帯電話への信頼度不足(26%)」、「新しい携帯電話がエキサイティングである(20%)」ことが挙げられる。
     

図4:カーボンフットプリントへのユーザー意識(各国別)

N=日本 2022(2,000)、UK 2022(4,011)、ベルギー 2022(2,000)、オランダ2022(2,000)、ドイツ2022(2,000)
注:オランダを除き18-75歳の回答者、オランダのみ18-70歳の回答者

出所:Digital Consumer Trends 2022
 

図5:中古スマートフォンの保有率(各国別)

N=日本 2022(1,837)、UK 2022(3,827)、ベルギー 2022(1,934)、オランダ2022(1,945)、ドイツ2022(1,902)
注:オランダを除き18-75歳の回答者、オランダのみ18-70歳の回答者

出所:Digital Consumer Trends 2022

 

SVOD(有料動画配信サービス)利用の成長鈍化、広告の受容度は全体は横ばいだが18-24歳の層で広告を見ないよう料金を払う意向が高まる

  • 2021年まで国内SVODの利用は増加傾向にあり、特にコロナ禍の巣ごもり需要を背景にして36%に伸長した。しかし2022年のSVOD利用率は38%となり伸びは鈍化した。この停滞の要因は若年層に顕著に表れている。25歳以降の年代(55-64歳を除く)の利用率は今年も伸びているが、18-24歳の若年層では9ポイント低下しており全体の利用率を停滞させる要因となっている。
  • 解約する理由には「一時的に/シーズン中に必要だった」(18%)、「私や家族が観たいものが何もなかった」(14%)、「私や家族が観たかったコンテンツを全て見た」(10%)が多く、コンテンツへの興味が継続と解約に影響している。一方で、再契約の理由として「お気に入りの番組の新シーズンがリリースされた」(27%)という回答も。
  • 「広告を視聴する形式での動画視聴の利用意向」は22%あり、広告を受け入れる姿勢は昨年(21%)よりほぼ横ばいであった。しかし、広告を見ないようサブスクリプション料金を払う意向のある消費者は特に若年層に増加しており、18-24歳の消費者においては昨年の20%から28%に伸びている。

 

図6:SVODの年代別利用率(日本)

N=日本 2022(2,000)注:18-75歳の回答者、18-24歳(185)、25-34歳(305)、35-44歳(395)、45-54歳(361)、55-64歳(347)、65-75歳(408)
N=日本 2021(2,000)注:18-75歳の回答者、18-24歳(188)、25-34歳(303)、35-44歳(398)、45-54歳(361)、55-64歳(346)、65-75歳(405)

出所:Digital Consumer Trends 日本版

 

屋内でのインターネット利用はCOVID-19前の約2倍に。国内消費者の5Gサービスに対する関心は高いとは言えない

  • 屋内での固定系ブロードバンドサービスの総トラフィック量はCOVID-19前と比べて倍増し、モバイル通信の総トラフィックが約1.3倍伸びており、自宅などの屋内でのデジタルコンテンツ利用が進んでいることが見受けられる 。
  • 消費者向けの5Gサービス開始から2年以上が経過し、5G端末を所有している消費者は30%に達した。「現在は5G端末を持っていないが、次は5G対応端末が欲しい」消費者は20%いる一方で、「5G対応端末を持っておらず、次の端末が5Gに対応しているかどうかは気にしない」消費者は40%もおり、5Gサービスに対する関心が高いとは言い切れない。
     

図7:5Gの利用状況と乗り換えに対する意欲

N=日本 2022(1,837) 注:携帯電話またはスマートフォンを保有する18-75歳の回答者

出所:Digital Consumer Trends 日本版

 

「Digital Consumer Trends 2022」調査概要

調査形式:

オンラインアンケート(PC、スマートフォン等)
デロイトが設計した調査項目をもとに外部調査会社にて実施

実施対象国:

22ヶ国・地域(データの公開を行っていない国が一部ある、表記のグラフは日本と市場の規模や環境等が比較しやすい国を選定)

全調査人数:

38,150人

調査期間:

2022年6月から2022年9月(国により異なる)
日本国内は第7波のピークであったが屋内外のイベントも再開され緩和傾向もあった2022年8月に2,000人を対象に実施。


※本レポートで使用したデータにおける主要な留意点は以下の通り:

  • UK・オランダ・オーストラリア・日本については各国の年齢・性別・地域・社会経済状況を反映したデータとなっている
  • 対象サンプルの年齢は、UKは16~75歳、日本を含むその他の国は18~75歳である
  • 本調査はウェイトバック集計後の数値で表記しており、合計しても100%にならない場合がある

お詫びと訂正
2024年1月31日
一部文章及び図表に変更があったため、以下の通り修正をいたしました

※1 図表「図3:用途に応じて利用するデバイス(日本/年代別)」内の年号を以下の通り変更
(正)2020年
(誤)2021年
※2
(正)2020年
(誤)昨年
※3
(正)2020年
(誤)前年

報道関係者からの問い合わせ先

デロイト トーマツ グループ 広報担当 井村、菊池
Tel: 03-6213-3210 Email: press-release@tohmatsu.co.jp

デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約30都市以上に1万5千名を超える専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

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