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IASBは、会計上の見積りに関するIAS第8号の修正を最終化  

IAS Plus 2021.02.12

2020年11月30日、IASBは、ディスカッション・ペーパーDP/2020/2「共通支配下の企業結合」を公表した。本ディスカッション・ペーパーに対するコメントは、2021年9月1日まで募集される。

国際会計基準審議会(IASB)は、企業が会計方針と会計上の見積りを区別することに役立つ、「会計上の見積りの定義」(IAS第8号の修正)を公表した。本修正は、2023年1月1日以後に開始する事業年度に発効する。

 

背景

IFRSの要求事項、特にIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」において、財務諸表における異なるタイプの会計上の変更を、企業がどのように表示し開示しなければならないかについての区別が行われる。会計方針の変更は遡及的に適用しなければならないが、会計上の見積りの変更は将来に向かって会計処理される。

企業は時に、会計方針と会計上の見積りを区別することに苦労しており、執行機関は実務の不統一を識別していて、IFRS解釈指針委員会は当該区別を明確化する要望を受け取った。解釈指針委員会は、この要望をIASBに回付した。修正案の公開草案が2017年9月に公表され、今般最終化された。

 

変更点

IAS第8号の変更点は、完全に会計上の見積りに焦点を絞っており、以下の通り明確化している。

  • 会計上の見積りの変更の定義を、会計上の見積りの定義に置き換える。新しい定義において、会計上の見積りは、「財務諸表上の貨幣金額のうち測定の不確実性に晒されているものである。」
  • 企業は、会計方針が、財務諸表における項目を測定の不確実性が含まれるような方法で測定することを要求する場合、会計上の見積りを行う。
  • IASBは、新たな情報または新たな進展から生じる会計上の見積りの変更は、誤謬の訂正ではないことを明確化している。さらに、会計上の見積りを行うために使用するインプットまたは測定技法の変更の影響は、過年度の誤謬の訂正から生じるものではない場合には、会計上の見積りの変更である。
  • 会計上の見積りの変更は、当期の純損益だけに影響を与えることもあれば、当期と将来の期間の純損益の両方に影響を与えることもある。当期に関連する変更の影響は、当期の収益及び費用として認識する。将来の期間への影響があれば、その影響額は将来の期間の収益及び費用として認識する。


発効日

本修正は、2023年1月1日以後に開始する事業年度に、当該期間の期首以後に生じた会計方針の変更及び会計上の見積りの変更に対して発効する。早期適用は認められる。


 

 さらなる情報
下記リンクをクリックしてください:

》IASBのプレスリリース の和訳(ASBJのWebサイト)
「IFRS in Focus -IASB は、会計上の見積りの定義を明確化するためにIAS第8号を修正」(デロイトトーマツのWebサイト)
》IAS Plusのプロジェクト・ページ Changes in accounting policies and estimates(IAS Plus-英語)

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