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IASB、特約条項付の債務の分類に関するIAS第1号の修正を提案  

IAS Plus 2021.11.19

IASBは、企業が報告期間後12か月以内に準拠しなければならない条件がどのように負債の分類に影響するかを明確にする、公開草案「特約条項付の非流動負債」(IAS第1号の修正案)を公表した。コメントの提出期限は、2022年3月21日である。

国際会計基準審議会(IASB)は、企業が報告期間後12か月以内に準拠しなければならない条件がどのように負債の分類に影響するかを明確にする、公開草案「特約条項付の非流動負債」(IAS第1号の修正案)を公表した。コメントの提出期限は、2022年3月21日である。

 

背景

2020年1月、IASBは、IAS第1号「財務諸表の表示」を修正する「負債の流動又は非流動への分類」(デロイト トーマツのWebサイト-※1)を公表した。本修正は、企業が特定の状況において債務及び他の金融負債をどのように流動または非流動に分類するかを明確化した。本修正は、2023年1月1日以後開始する事業年度に発効し、早期適用は認められる。

2020年12月に、IFRS解釈指針委員会は、企業が特定の事実パターンに本修正をどのように適用するかに関する非公式のフィードバック及び質問に対応し、暫定的なアジェンダ決定を公表した。暫定的なアジェンダ決定に対するフィードバックを検討後、フィードバックにより、2020年修正を開発した際にIASBが具体的に検討していない状況に関する情報を提供されたため、委員会はIASBに本事項を委ねた。

この新しい情報に対応して、IASBは、決済を少なくとも 12 か月にわたり延期する企業の権利が企業が報告期間後に条件に準拠することを条件としている負債の(流動または非流動の)分類、表示及び測定に関してIAS第1号を修正することを暫定決定した。

 

主要な提案

公開草案ED/2021/9「特約条項付の非流動負債」(IAS第1号の修正案)主要な提案は、以下のとおりである。

  • 特定の状況において企業がどのように債務及び他の金融負債を流動または非流動に分類するのかについて、「負債の流動又は非流動への分類」により導入された要求事項を修正する。

    IASBは、企業が報告期間後12か月以内に準拠しなければならない条件は、企業が決済を少なくとも12 か月にわたり延期する権利に影響を与えないことを提案する。すなわち、そのような条件は、負債の流動または非流動への分類には影響を与えない。しかし、企業がそのような負債を非流動に分類する場合、負債が12か月以内に支払いを要することとなるリスクを財務諸表の利用者が評価することを可能にする情報を開示することが要求される。また、企業は、財政状態計算書において、決済を少なくとも 12 か月にわたり延期する権利が、企業が報告期間後12か月以内に特定の条件に準拠することを条件としている非流動に分類される負債を区分して表示することとなる。

  • 2020年修正の発効日を2024年1月1日以後に延期する。

本提案に対するコメント提出の期限は、2022年3月21日である。

 

発効日

IASBは公開期間後に発効日を決定する予定であるが、2024年1月1日より前にはならないこととなる。本修正は、IAS第8号に従って遡及的に適用される。早期適用は認められる。

 

代替的見解

本公開草案は、2名のボードメンバーによる代替的見解を含んでいる。両メンバーは、企業が特定条項の対象である非流動負債を区分して表示することを要求するIASBの提案に合意しないため反対した。彼らは、当該条件を財務諸表の注記を通じて伝達することを選好している。

 

さらなる情報
 

IASBのプレス・リリースの日本語訳(ASBJのWebサイト)
公開草案へのアクセス(PDF:215.30KB:結論の根拠を含む、IASBのWebサイト-英語)
本提案の概要についてのスナップショット(PDF:114.37KB:IASBのWebサイト-英語)
IFRS in Focus「IASBは、特約条項付の負債の分類に関するIAS第1号の修正を提案する」(デロイト トーマツのWebサイト)
IAS Plusのプロジェクト・ページIAS第1号ー特定条項付の債務の流動または非流動の分類(IAS Plus-英語版)

 

※1》IFRS in Focus「IASB が、負債の流動又は非流動への分類を明確化するためにIAS第1号を修正」(デロイト トーマツのWebサイト)

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