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新型コロナウイルス感染症の感染拡大による宿泊関連業への影響と今後の予測

タイプ別宿泊施設の回復予想と、投資家ニーズの変化について

本レポートは、2020年7月までのホテル事業者の調査約700施設、倒産情報約50件、約200件の自治体、約400件の報道記事、外部調査機関等約25団体から発行された資料等を基に、ホテル事業者・投資家向けに、実際に起こった影響と、回復予測をまとめています。

宿泊施設が2020年3月~に受けた影響を調査

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大に伴う、急激な観光・宿泊需要の減退により、特に2020年4月から宿泊関連業は深刻な打撃を受けています。

分析データからは、宿泊施設の業態や地域によって影響度合いが異なることがうかがえました。

特に、政府や自治体主導の、旅行需要を喚起する補助策によって、高単価の施設を中心に予約が埋まり出している結果も見えてきました。

本調査のサマリーは以下の通りです。

 

調査結果サマリー

第1波感染蔓延期(2020年3月・4月)

全国的な休館措置の拡大により、東日本大震災を超えるインパクトが発生

COVID-19の影響により、3月から宿泊業を始めとする各業態の営業自粛や、個人にも不要不急の外出自粛要請が本格的に始まった。感染者数の増加と相関して、宿泊施設の稼働率は大きく下落し、ほとんどの宿泊施設が壊滅的な打撃を受けた。しかしながら、その影響が比較的軽微で済んだ宿泊施設もあった。その違いについて、本調査では詳しく記述している。

その他にも、本調査では、各施設が打ち出したCOVID-19対策プランなども網羅し、現場目線から行われた対策の動きにもフォーカスしている。

 

第1波収束期(2020年5月・6月)

新しい生活様式を意識した滞在モデルの作成と、回復への期待感が生まれる

政府から新しい生活様式が発表され、宿泊業界でも安全な滞在提案を喚起すべく、ガイドラインが設定された。すると、自治体独自の補助策を打ち出すところが出たり、施設独自の滞在プランが出たり、旅行需要の回復期をにらんだ動きが目立つようになった。

また、投資家サイドのニーズに変化が出てきたのもこの頃である。COVID-19の感染者数も落ち着きを見せ始めるなど、需要回復を期待させる材料が出てきたことにより、中~長期的な保有を検討する投資家が、宿泊施設の投資検討を再開する動きを見せた。

もちろん、打撃を受けた宿泊施設を、安価に取得しようという動きも多くある。国内ファンド、海外ファンド、国内デベロッパー、海外デベロッパー、他プレーヤーの実際の声を基に、宿泊施設への投資意欲についてもコメントした。

 

第2波感染拡大期(2020年7月以降)

宿泊キャンペーンが起爆剤となったとして、宿泊需要はどのように回復するのか

政府だけでなく、自治体が独自に行う宿泊補助キャンペーンも合わせると、日本全国で約160件もの宿泊事業の補助策が実施されている。どの自治体も、宿泊需要を回復させようと必死だ。一方で、感染者数の再拡大を機に、自治体施設や海水浴場をOPENしない、などの安全策を取る自治体も増加しており、日本全国的に足並みが揃って回復をするのか、疑問が残る点もある。

また、7月後半からの感染再拡大を受け、宿泊施設の場所や業態、価格帯によって、宿泊需要の回復速度は異なるだろう、という予測が見えてきた。

宿泊需要の回復傾向については、後日リリース予定の別資料でも詳しく触れる予定だが、本資料でもポストコロナを見据えた、宿泊施設の新たな姿に関する提言を行っているので、是非ご覧いただきたい。

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