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2021年アジア太平洋金融規制見通し

2021 Asia Pacific Financial Services Regulatory Outlook

「Asia Pacific Regulatory Outlook(アジア太平洋金融規制見通し)」は、デロイトのアジア太平洋規制戦略センター (ACRS)が、毎年初にアジア太平洋地域(AP)の金融規制動向と見通しに係る考察をお送りするものです。

回復期の金融機関の役割~レジリエンスとサスティナビリティ

世界は引続きCOVID-19という共通の深刻な試練に直面しています。パンデミックの経済への影響と、公衆衛生のパンデミックへの対応は、依然として地域や国により様々です。パンデミックの悪影響抑制のため、金融規制当局と金融機関は当然に経済的・実務的な安定性を優先、政府は前例のない金融緩和と財政支援を実施してきました。

2021年初時点において、アジア・太平洋地域は北米や欧州に比べ特異な立ち位置にあります。COVID-19パンデミックは未だ収束に至っていません。しかし、感染拡大と致死率は他地域に比べれば良好にコントロールされており、ワクチン接種プログラムもアジア太平洋地域の多くの国で開始されています。

2021年においてもパンデミック影響が昨年同様に続く中、今後1年間の金融機関のビジネス環境を形成する他の多くの要因がアジア・太平洋地域にあります。これらの要因には、マクロ経済環境(低金利や財政支援)、地政学的緊張と国家主義的感情の高まり、加速するテクノロジー普及、コスト上昇圧力、そしてこれらの要因の人材モデルへの影響などがあります。アジア・太平洋地域は潜在的に、他の地域より早期に例外的な支援策から脱却して経済が再開する見込みです。従ってなおのこと「次に何が起きるか?」に留意することが重要です。

2021年アジア太平洋金融規制見通し」(PDF)では、これらの要因をすべて勘案したうえで、我々が今年のアジア・太平洋地域の金融サービスセクターにとって重要と考える9つのトピックを「深堀り」しています。

  • 財務的、システミックなレジリエンス
  • 回復における金融機関の役割
  • 非財務リスク管理の包括的アプローチ
  • ビジネスモデル変革
  • オペレーショナル・レジリエンス
  • デジタルリスク
  • サイバーセキュリティ
  • 金融犯罪
  • 気候変動

2021年の規制見通しのこれらのテーマの多くが、レジリエンスとサスティナビリティに関わるものであることは恐らく驚くには当たらないでしょう。これらは金融機関が変化する状勢に機動的に対応する能力、市場イベントを最低の混乱で乗り切りビジネスモデルの長期的な持続性を目指して事業活動を行う能力にかかわるものです。我々は、新たなテクノロジー採用や差し迫る気候変動の脅威に伴う今後の新たな困難も勘案しています。これらのテーマにつき、我々は金融機関が社会の重要なアクターとして果たすべき役割にかかる問いも投げかけています。社会からの高い期待、金融機関が業務を行うための社会的ライセンスの維持と強化の必要性は、今日において以前にも増して重要です。

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