「金融機関向けIFRSニュース 2022年9月」(2022年10月掲載) ブックマークが追加されました
ナレッジ
「金融機関向けIFRSニュース 2022年9月」(2022年10月掲載)
銀行・証券・保険・リース・クレジットカード
デロイトが発信する IFRS関連の総合ナレッジサイト「IAS Plus」等より、特に金融機関(銀行、証券、保険やリース・クレジットカード会社等)に関連性の高いグローバルな最新動向を日本語で集約しご紹介しております。
「金融機関向けIFRSニュース 2022年9月」
デロイトが発信するIAS Plusの情報等のうち、特に金融機関に関連性の高い情報(IFRS関連に加え、日本基準やUSGAAP関連であっても関心が高そうな情報を含む)を日本語で集約し、金融機関等の皆様に向けて週次でニュース配信しております。以下は、配信した週次ニュースを月次単位で集約した記事一覧・概要(一部抜粋)となります。実際の詳細な週次ニュース配信のご要望等ございましたら、右上のお問合せからお問合せください。なお、公式の翻訳ではありませんので、参考情報としてご活用ください。時制は、各記事の掲載時点のものとなります。本文中の団体・組織名の略称については、リンク先の<凡例(PDF))>をご参照ください。
<今月のハイライト>
◆金融商品
■ デロイトによる『IFRS第9号「金融商品」 — 2022年第2四半期決算のアップデート』の掲載
デロイト英国事務所は、2022年第2四半期決算における英国の銀行の損失評価引当金の動向及び今後の見通しについて考察する記事を掲載しました。当記事では、2022年第2四半期の状況は第1四半期と概ね変わらないものの、経済の見通しが悪くなり不確実性が増していることに着目しており、例えば、モデル外調整の内容については、COVID-19関連のモデル外調整が減る一方、インフレ関連のモデル外調整が増加していると指摘しています。
◆リース
□ IASBがセール・アンド・リースバック取引についての要求事項の修正を公表したことを受け、デロイトは『iGAAP in Focus ─ IASBは、セール・アンド・リースバック取引のリース負債における事後測定要件を追加するIFRS第16号の修正を提案する』を掲載し、修正内容を解説しています。今回の修正では、売手である借手に対し、リースバック取引から生じるリース負債をその保持している使用権に関連する利得又は損失の金額を認識しない方法で事後測定することを要求しています。新しい要求事項は、売手である借手が、リースの部分的又は完全な終了に関連するいかなる利得又は損失も純損益に認識することを妨げないとしています。なお、この修正は、2024年1月1日以後開始する事業年度に適用され、早期適用は認められます。
◆会議
■ IFRSサステナビリティ開示基準の公開草案に対するコメントを踏まえた議論が開始
2022年9月20日から23日にかけて開催されたISSB会議では、公開草案IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」とIFRS S2号「気候関連開示」のそれぞれの基準案について、それぞれ700前後の団体及び個人からコメントが寄せられ、ISSBがコメントについての分析を実施し、今後最終化に向けた再審議を行う予定であるとされています。会議では、直接の結論を下さず、再審議の計画やスケーラビリティ(Scarability:企業の負荷軽減のためのメカニズム)について、暫定決定事項がありました。
<今月の配信記事一覧>
<記事概要>
金融商品
【DTT】
- (2022年9月20日)
『IFRS第9号「金融商品」 - 2022年第2四半期決算のアップデート:下落したものは必ず再び上昇するのか?』が掲載されました。
デロイト英国事務所の金融業界の専門家による当記事では、2022年第2四半期決算における英国の銀行の損失評価引当金の動向及び今後の見通しについて考察しています。この考察は前回の2022年第1四半期に係る考察記事(2022年5月24日)に続くもので、分析対象は前回同様に、Barclays、HSBC、Lloyds、NatWest、及びSantander UKです。当記事において、デロイト英国事務所は、2022年第2四半期の状況は第1四半期と概ね変わらないものの、経済の見通しが悪くなり不確実性が増していることに着目しています。ただし現状では、信用状況のファンダメンタルズを見直すほどではなく、予想信用損失(Expected Credit Losses:ECL)のカバレッジ(ECL/資産)を見直す程度だろうと考えています。
リース
【DTT】
- (2022年9月27日)
『iGAAP in Focus ─ IASBは、セール・アンド・リースバック取引のリース負債における事後測定要件を追加するIFRS第16号の修正を提案する』が掲載されました。
当ニュースレター(全4ページ)は、2022年9月にIASBが公表した「セール・アンド・リースバック取引におけるリース負債(IFRS第16号「リース」の修正)」について解説しています。
【IASB】
- (2022年9月22日)
IASBがセール・アンド・リースバック取引についての要求事項の修正を公表
IASBは、2022年9月22日に「セール・アンド・リースバックにおけるリース負債」(IFRS第16号「リース」の修正)を公表しました。本修正では、売手である借手が、IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の要求事項を満たし、売却として会計処理されるセール・アンド・リースバック取引に、どのように事後測定の要求事項を適用するかが明確にされています。
全般
【DTT】
- (2022年9月30日)
「IFRS in your pocket 2022」が発行されました。
デロイトは、IFRS関係者にとっての理想的なガイドとなるよう、IASBの基準設定アジェンダのプロジェクトの詳細に沿ってIFRS基準と解釈のプロジェクトの詳細等について、包括的な要約をまとめ、発行しています(全147ページ)。本ペーパーは、2022年9月30日までの動向を反映し、今年は、ISSBの分析も含めています。
会議
【IASB】
- (2022年9月30日)
2022年9月のIASB会議の議事メモ(DTT作成)が掲載されました。
2022年9月20日から22日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました(トピックに暫定決定事項がある場合は「(暫定決定事項あり)」と記載するとともに一部の内容を記載しています)。- のれんと減損
(暫定決定事項あり)
・開示目的、企業結合に関する情報、「戦略的に重要な」企業結合、情報開示の免除に係る複数の論点で暫定決定がありましたが、「追加の検討を行わない代替案」については、企業結合の年度において定性的情報のみを開示することを企業に要求しないこと、及び全ての企業が情報を開示することを要求される指標を定めないことを暫定的に決定しました。 - IFRS第9号「金融商品」の適用後レビュー — 分類及び測定
(暫定決定事項あり)
・ 購入又は組成した信用減損金融資産に関する論点については、今後行うIFRS第9号の減損の要求事項の適用後レビューに対するフィードバックを分析する際に検討することを暫定的に決定しました。 - 資本の特徴を有する金融商品
(暫定決定事項あり)
・IAS第32号「金融商品:表示」第23項が、異なる種類の企業自身の資本性金融商品の変動数で決済することが要求されている企業自身の資本性金融商品を償還する義務に適用されること等を明確化すること(IAS第32号の修正)を暫定的に決定しました。 - 基本財務諸表
(暫定決定事項あり)
・「通例でない収益及び費用」についての具体的な要求事項を進めないことや、全ての企業は、持分法を使用して会計処理する関連会社及び共同支配企業からの収益及び費用を投資区分に分類すること等を暫定的に決定しました。 - IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用後レビュー
(暫定決定事項なし) - 金融資産の契約上のキャッシュ・フロー特性(IFRS第9号「金融商品」の修正)
(暫定決定事項あり)
・金融資産の契約上のキャッシュ・フロー特性の評価に関するIFRS第9号「金融商品」の「全般的な要求事項」について、金融資産の契約上のキャッシュ・フローが「元本及び元本残高に対する利息の支払のみ」であるためには、基本的な融資の取決めは、借手との関連がないリスク又は要因から生じるキャッシュ・フローの変動可能性を生じさせないこと等を明確化するようにIFRS第9号を修正することを暫定的に決定しました。
- のれんと減損
【ISSB】
- (2022年9月30日)
2022年9月のISSB会議の議事メモ(DTT作成)が掲載されました。
2022年9月20日から23日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました(トピックに暫定決定事項がある場合は「(暫定決定事項あり)」と記載するとともに一部の内容を記載しています)。なお、本アジェンダに関して、結論を下すような事項はありませんでした。- サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項―コメントの要約
(暫定決定事項なし) - 気候関連開示―コメントの要約
(暫定決定事項なし)
- サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項及び気候関連開示―再審議の計画
(暫定決定事項あり)
・「S1基準案」、「S2基準案」、「S1基準案・S2基準案共通」のテーマごとに、再審議の対象となるトピックを暫定的に決定しました。 - サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項及び気候関連の開示―スケーラビリティ
(暫定決定事項あり)
・ ISSBは、S1基準案及びS2基準案の適用における企業の負荷を軽減するため、開示要求についてスケーラビリティを考慮することができるメカニズムを識別すべきであることを暫定的に決定しました。また、具体的なスケーラビリティ(Scarability:企業の負荷軽減のためのメカニズム)の課題に対応するためにどのメカニズムが適切であるかを評価するための要因を暫定的に決定しました。 - 気候関連開示―ファイナンス及びファシリテーションに係る排出
(暫定決定事項なし) - IASBからの情報共有
(暫定決定事項なし)
- サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項―コメントの要約
【IFRS IC】
- (2022年9月19日)
2022年9月のIFRS解釈指針委員会の議事メモ(DTT作成)が掲載されました。
2022年9月13日に開催された当会議では、以下のコメント・レター分析を含むトピックが議論されました(詳細はIFRIC Updateをご覧ください)。
<審議会の検討を求めるアジェンダ決定>
・IFRS第17号「保険契約」及びIAS第21号「外国為替レート変動の影響」:多通貨保険契約グループ
・特別買収目的会社(SPAC):取得時のワラントの会計処理
・IFRS第9号「金融商品」及びIFRS第16号「リース」:貸手のリース料免除
【IASB/FASB】
- (2022年9月16日)
2022年9月に開催されるIASBとFASBの合同教育会議のアジェンダが公表されました。
2022年9月30日に開催される当会議では、以下を含むトピックを議論する予定です。- のれんと減損
- アジェンダ協議(ESG関連開示の論点含む)
ワーク・プラン
【IASB/ISSB】
- (2022年9月26日)
IASB及びISSBがワーク・プランを更新しました ─ 変更点の分析(2022年9月の会議)
2022年9月のIASB会議及びISSB会議の結果を受けて、ワーク・プランが変更されました。
コンバージェンス
【ASBJ】
- (2022年9月6日)
第486回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
ASBJは、2022年9月6日に開催された第486回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。- 金融資産の減損に関する会計基準の開発
- (2022年9月21日)
第487回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
ASBJは、2022年9月21日に開催された第487回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。- 金融資産の減損に関する会計基準の開発
- リースに関する会計基準の開発
- (2022年9月7日)
現在開発中の会計基準に関する今後の計画が改訂されました。
ASBJは、日本基準及び修正国際基準(IFRSと企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の開発に関する検討状況、及び今後の計画の改訂を公表しました。
<主な改訂点>
・金融商品取引法上の「電子記録移転権利」又は資金決済法上の「暗号資産」に該当するICOトークンの発行・保有等に係る会計上の取扱い
その他
【DTT】
- (2022年9月1日)
ISSBの追加のボード・メンバーに日本の小森氏が指名されました。
IFRS財団の評議員会は、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のボード・メンバーに3名の追加メンバーを指名しました。このうち1名は、日本の小森博司氏が選定されました(任期は2022年9月1日から3年間)。小森氏は、日本の年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に、シニア・ディレクター、スチュワードシップ及びESG部門長として勤務し、投資家のエンゲージメント及び国際的なサステナビリティのイニシアチブの参加に従事しました。