「金融機関向けIFRSニュース 2023年12月」(2024年1月掲載) ブックマークが追加されました
ナレッジ
「金融機関向けIFRSニュース 2023年12月」(2024年1月掲載)
銀行・証券・保険・リース・クレジットカード
デロイトが発信する IFRS関連の総合ナレッジサイト「IAS Plus」等より、特に金融機関(銀行、証券、保険やリース・クレジットカード会社等)に関連性の高いグローバルな最新動向を日本語で集約しご紹介しております。
「金融機関向けIFRSニュース 2023年12月」
デロイトが発信するIAS Plusの情報等のうち、特に金融機関に関連性の高い情報(IFRS関連に加え、日本基準やUSGAAP関連であっても関心が高そうな情報を含む)を日本語で集約し、金融機関等の皆様に向けて週次でニュース配信しております。以下は、配信した週次ニュースを月次単位(記事日付の属する月基準)で集約した記事一覧・概要(一部抜粋)となります。実際の詳細な週次ニュース配信のご要望等ございましたら、右上のお問合せからお問合せください。なお、公式の翻訳ではありませんので、参考情報としてご活用ください。時制は、各記事の掲載時点のものとなります。本文中の団体・組織名の略称については、リンク先の<凡例(PDF))>をご参照ください。
<今月のハイライト>
◆サステナビリティ
■ IFRS財団によるIFRS S2号「気候関連開示」に関する教育的資料の公表
IFRS財団は、企業がIFRS S2号「気候関連開示」を適用する際、気候関連のリスクと機会の自然及び社会的側面の考慮に役立てることを目的に利用可能な教育的資料を公表しました。基準の要求事項ではないものの、企業のIFRS S2号の適用に役立つ3つの例示が含まれています。
■ ISSBによるSASBスタンダードの的を絞った修正の公表
ISSBは、SASBスタンダードの国際的な適用可能性を向上させるためのSASBスタンダードの修正を公表しました。本修正は、SASBスタンダードの国際的な適用可能性を向上させ、作成者が用いる一般に認められた会計原則(GAAP)に依存しないものにすることを目的とし、業界、トピック、または指標を大幅に変更することなく、SASBスタンダードの法域固有の参照や定義が削除され、置き換えられています。本修正は、ISSBがSASBスタンダードを引き継いだ際、基準の構造や意図を大幅に変更することなく修正する方法論について協議していたものです。
◆コンバージェンス
■ ASBJによる金融商品の減損に関する会計基準の開発についてステップ4の審議が進行
ASBJは第517回企業会計基準委員会で、金融資産の減損に関する会計基準の開発について、ステップ2※からステップ4※の審議に移行しました。ステップ4を採用することが見込まれる金融機関の代表者(一般社団法人全国地方銀行協会/一般社団法人第二地方銀行協会)より、信用リスクの管理手法との整合性や実務上の負担等に対する見解等が説明され、審議が進んでいます。なお、主な論点としては以下の3つが取り上げられています。
(1)債権単位での信用リスクの著しい増大(SICR)の判定
(2)複数シナリオの考慮を含めた結果の確率加重
(3)実効金利法に関連する論点(含む、金融商品の測定に関する論点)
※ステップ2:国際的な比較可能性を確保することを重視し、国際的な会計基準と遜色がないと認められる会計基準、すなわち、IFRS第9号「金融商品」を適用した場合と同じ実務及び結果となると認められる会計基準を目指す
※ステップ4:IFRS第9号を出発点として、適切な引当⽔準を確保したうえで実務負担に配慮した会計基準を⽬指す
<今月の配信記事一覧>
<記事概要>
金融商品
【Deloitte】
- (2023年12月4日)
デロイトによる『iGAAP in Focus —財務報告:IASBの公開草案「資本の特徴を有する金融商品」』が掲載されました。
当ニュースレター(全9ページ)では、IASBが2023年11月に公表した公開草案(IASB/ED/2023/5)「資本の特徴を有する金融商品」(IAS第32号「金融商品:表示」、IFRS第7号「金融商品:開示」及びIAS第1号「財務諸表の表示」の修正案)の概要を解説しています。公開草案の概要は以下です。なお公開草案に対するコメント期間は、2024年3月29日です。
<公開草案の概要>- 金融商品の分類における関連性のある法令の影響(金融商品に適用される法律上または規制上の要求等)
- 発行者自身の資本性金融商品で決済される、または決済される可能性のあるデリバティブを分類するための「固定対固定」の条件
- 企業が自身の資本性金融商品を購入する義務を含む金融商品を分類する要求事項
- 条件付決済条項を有する金融商品を分類する要求事項
- 株主の裁量が金融商品の分類に与える影響
- 金融商品(またはその構成部分)が当初認識後に金融負債または資本として分類変更される状況
- 発効日(IASBは、公開後に、本修正案の発効日を決定する。IASBは、企業に本修正案を遡及的に適用することを要求しています。早期適用は認められます。)
トーマツによる当ニュースレターの日本語訳はこちら(トーマツのウェブサイト)
サステナビリティ
【ISSB】
- (2023年12月1日)
IFRS財団は、IFRS S1号及びIFRS S2号の導入をサポートするためのIFRSサステナビリティ・ナレッジ・ハブを立ち上げました。
IFRS財団は、IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」及びIFRS S2号「気候関連開示」の導入を支援するために、IFRSサステナビリティ・ナレッジ・ハブを立ち上げました。本ナレッジ・ハブは、IFRS S1号及びIFRS S2号が2024年1月1日以後開始する年次報告期間に発効する前に、新基準の能力を開発するプログラムのツールです。
本ナレッジ・ハブでは、IFRS財団及び第三者機関の教育資料の両方が利用可能であり、後者は第三者機関によって開発された100以上のリソースで構成されています。また、本ナレッジ・ハブは、IFRS S1号及びIFRS S2号の開示を準備する企業を支援するように設計されていますが、監査人、投資家、規制当局、及び新しい基準の理解を進めようとしているその他のステークホルダーのリポジトリ(情報を蓄積するデータ・ベース)にもなります。
- (2023年12月19日)
SASBスタンダードの国際的な適用可能性を向上させるための的を絞った修正が公表されました。
ISSBは、SASBスタンダードの国際的な適用可能性を向上させるためのSASBスタンダードの修正を公表しました。本修正は、SASBスタンダードの国際的に適用可能性を向上させ、作成者が用いる一般に認められた会計原則(GAAP)に依存しないものにすることを目的とし、業界、トピック、または指標を大幅に加えることなく、SASBスタンダードの法域固有の参照や定義が削除され、置き換えられています。本修正には、また、ISSBがSASBスタンダードを引き継いだ際、一部の基準には特定の法域の法律や規制に関する言及が含まれており、国際的に適用不可能であること、地域的なバイアスをもたらすこと、適用コストを増加させること、及び結果として開示の比較可能性と意思決定有用性を低下させる可能性のあることが判明したため、修正の方法論について協議していたものです。
【IFRS Foundation】
- (2023年12月14日)
IFRS財団は、IFRS S2号「気候関連開示」に関する教育的資料を公表しました。
IFRS財団は、企業がIFRS S2号「気候関連開示」を適用する際に、気候関連のリスクと機会の自然及び社会的側面を考慮するのに役立てることを目的に、IFRS S2号に関する教育的資料(全5ページ)を公表しました。この資料は、基準のどの要求事項にも影響しませんが、企業がIFRS S2号を適用するのに役立つように開発されており、企業が気候関連開示の自然的側面と社会的側面にどのようにアプローチするかを説明するのに役立つ3つの例示(例1:気候関連のリスク(自然の側面)に関する分解された情報の開示、例2:気候関連の機会(自然の側面)への企業の対応に関する情報の開示、例3:気候関連のリスクへの企業の対応に関する情報開示(社会的側面)に関する事実パターンとIFRS S2号の適用方法)が含まれています。
SSBJによる教育的資料の日本語訳はこちら(SSBJのウェブサイト)
【SSBJ】
- (2023年12月25日)
「現在開発中のサステナビリティ開示基準に関する今後の計画」が改訂されました。
SSBJは、開発中(開発予定を含む)のサステナビリティ開示基準の開発に関する検討状況、及び今後の計画の改訂を公表しました。
<主な改訂点>- Ⅰ.本開発計画の策定における基本的な考え方
- 2.IFRSサステナビリティ開示基準に相当する、当委員会が開発する基準の範囲
- Ⅱ.基準開発プロジェクト
- 2.日本版S2プロジェクト
- 日本版S1プロジェクトの論点リスト(2023年12月25日時点)別紙1
- 日本版S2プロジェクトの論点リスト(2023年12月25日時点)別紙2
- Ⅰ.本開発計画の策定における基本的な考え方
全般
【Deloitte】
- (2023年12月15日)
『iGAAP in Focus —財務報告: Closing out — 報告の重点領域』が掲載されました。
当ニュースレター(全19ページ、2023年12月更新版)では、2023年12月現在の経済的及び地政学的環境を考慮して関連する可能性のある財務報告の問題を明示しています。また、規制の焦点となる分野や会計基準の最近の変更にも焦点を当てており、主に以下のトピックについて言及されています。- 不確実性と財務報告
- 財務諸表における気候関連リスク
- サステナビリティ報告の動向
- 通貨と超インフレ
- 2023年の新しい会計要求事項(IFRS第17号「保険契約」の適用含む)
- 今後の会計の要求事項(流動負債と非流動負債の分類を含む)
- その他の報告に関する考慮事項
- 期中財務報告
トーマツによる当ニュースレターの日本語訳やこちら(トーマツのウェブサイト)
会議
【IASB】
- (2023年12月20日)
2023年12月のIASB会議の議事メモ(デロイト作成)が掲載されました。
2023年12月12日から14日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。- 電力購入契約
(暫定決定事項あり)- 当会議において、電力購入契約に関連する会計上の問題に対処する方法に関する調査結果が発表されました。IASBは、ステークホルダーから寄せられた調査結果やその他の意見に基づき、IASBは、下記の事項を暫定決定した。
IFRS第9号「金融商品」を修正する狭い範囲の基準設定に取り組み、本プロジェクトの次のマイルストーンは公開草案とする。
IFRS第9号における「自己使用」及びヘッジ会計の要求事項を修正することを含む、この基準設定に対するアプローチ を探求する。
- 当会議において、電力購入契約に関連する会計上の問題に対処する方法に関する調査結果が発表されました。IASBは、ステークホルダーから寄せられた調査結果やその他の意見に基づき、IASBは、下記の事項を暫定決定した。
- ワーク・プラン
(決定事項あり)- IASBは、IFRS第16号「リース」の適用後レビューを2024年第2四半期に開始すること、及び電力購入契約に関する作業完了後にIFRS第9号「金融商品」のヘッジ会計の要求事項の適用後レビューをいつ開始するかを検討することを決定しました。
- 引当金 ― 的を絞った改善
(決定事項あり)- IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の修正案の作成を継続し、次のプロジェクトのマイルストーンとして、利害関係者のコメントを得るための公開草案の公表とすることを決定しました。
- 財務諸表における気候関連及びその他の不確実性
(暫定決定事項なし)
- 電力購入契約
【ISSB】
- (2023年12月19日)
2023年12月のISSB会議の議事メモ(デロイト作成)が掲載されました。
2023年12月13日から14日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。- SASBスタンダードの国際的な適用可能性-SASBスタンダードの修正の批准
(暫定決定事項あり)- ISSBは、SASBスタンダードに対する修正を承認すること、SASBスタンダード・タクソノミに対して関連する更新を暫定決定しました。
- 次のステップとして、ISSBは、2023年末までに、修正されたSASBスタンダードを公表する見込みです。
- アジェンダの優先度に関するISSBの協議 ― フィードバックの概要
(暫定決定事項なし) - IFRSサステナビリティ開示タクソノミ ― IFRSサステナビリティ開示タクソノミ案の変更点
(暫定決定事項なし)
- SASBスタンダードの国際的な適用可能性-SASBスタンダードの修正の批准
【IFRS IC】
- (2023年12月5日)
2023年11月のIFRS解釈指針委員会の議事メモ(デロイト作成)が掲載されました。
2023年11月28日から29日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。- 気候関連コミットメント(IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」)
(委員会の暫定的なアジェンダ決定あり)- 委員会は、温室効果ガス排出量の削減または相殺する企業のコミットメントがIAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」に規定される推定的義務に該当するかどうか等(1. 現在の温室効果ガス排出量を20X9年までに少なくとも60%削減、2. 20x9年以降に残存する排出量をカーボン・クレジット市場から購入し、それを償却することにより相殺する等)の要望書を受け取りました。
- スタッフは、温室効果ガス排出を削減または相殺するという企業のコミットメントに関する企業の声明によりIAS第37号10項の推定的義務に該当するか否かは、当該コミットメントの表明についての事実とそれを取り巻く状況によるとして、要望書の事実パターンの当該企業コミットメントの表明のみでは、現在の義務及び将来に可能性ある資源の流出の基準に該当しないと分析しました。
- 委員会は、IFRS会計基準における諸原則及び要求事項が、温室効果ガス排出量を削減又は相殺するというコミットメントの履行コストについて引当金を認識するか否か、及び引当金を認識する場合、当該コストは当該引当金の認識時に費用又は資産のいずれとして認識するのかについて、適切な基礎を提供すると結論付けました。また、基準設定プロジェクトを作業計画に追加しないことを決定し、暫定的なアジェンダ決定を公表することを決定しました。なお、コメント期限は2024年2月5日です。
- 財務諸表における気候関連及びその他の不確実性
(暫定決定事項なし) - 報告セグメントに係る収益及び費用の開示(IFRS第8号「事業セグメント」)
(委員会の暫定的なアジェンダ決定)- 委員会は、IFRS第8号第23項の開示要求事項についてどのように適用するかという要望書を受け取りました。
- 委員会は、IFRS会計基準の原則及び要求事項は、企業がIFRS第8号第23項の開示要求事項を適用するための十分な根拠を提供するとし、基準設定プロジェクトを作業計画に追加せず、暫定的なアジェンダ決定として公表することを決定しました。なお、コメント期限は2024年2月5日です。
- 個別財務諸表における親会社と子会社との合併(IAS第27号「個別財務諸表」)
(審議会の検討を求めるアジェンダ決定)- 2023年6月のIFRIC Updateにおいて、企業が子会社(事業を含む)との合併についてIAS第27号「個別財務諸表」を適用して作成する個別財務諸表においてどのように会計処理するか等についての暫定的なアジェンダ決定によせられたフィードバックを検討し、審議会の検討を求めるアジェンダ決定がされました。このため、今後は2024年1月のIASB会議で審議される予定です。また、IASBが反対しなければ、IFRIC Update(2023年11月の補遺として2024年1月に公表される予定です)。
- 引当金 ― 的を絞った改善
(暫定決定事項なし) - 電力購入契約
(暫定決定事項なし)
- 気候関連コミットメント(IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」)
ワーク・プラン
【IASB/ISSB】
- (2023年12月18日)
IASB及びISSBがワーク・プランを更新しました ─ 変更点の分析(2023年12月の会議等)
2023年12月のIASB会議及びISSB会議の結果を受けて、ワーク・プランが変更されました。
コンバージェンス
【ASBJ】
- (2023年12月15日)
現在開発中の会計基準に関する今後の計画が改訂されました。(2023年12月15日公表分)
ASBJが、日本基準及び修正国際基準(IFRSと企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の開発に関する検討状況、及び今後の計画の改訂を公表しました。
<主な改訂点>- パーシャルスピンオフの会計処理
- 四半期報告書制度の見直しへの対応
- 上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に係る会計上の取扱い(新規論点として、項目等が追記されました。)
- (2023年12月28日)
現在開発中の会計基準に関する今後の計画が改訂されました。(2023年12月28日公表分)
ASBJが、日本基準及び修正国際基準(IFRSと企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の開発に関する検討状況、及び今後の計画の改訂を公表しました。
<主な改訂点>- パーシャルスピンオフの会計処理
- 上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に係る会計上の取扱い
- (2023年12月13日)
第516回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
ASBJは、2023年12月13日に開催された第516回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。また、審議は動画(YouTube)公開されました。
<審議事項の一部>- 企業会計基準公開草案「中間財務諸表に関する会計基準(案)」等【公表議決】
- 2023年12月開催会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)の報告
- 企業会計基準諮問会議からのテーマ提言への対応
- 公開草案「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応
- (2023年12月27日)
第517回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
ASBJは、2023年12月27日に開催された第517回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。また、審議は動画(YouTube)公開されました。
<審議事項の一部>- 金融資産の減損に関する会計基準の開発
- ステップ4を採用することが見込まれる金融機関の代表者より説明頂いたステップ2及びステップ3で議論した論点に関する信用リスクの管理手法との整合性や実務上の負担等に対する主な意見及び当日の質疑応答の内容に関して、報告が行われている。対象機関は以下の通りである。
(1)一般社団法人全国地方銀行協会
(2)一般社団法人第二地方銀行協会
- ステップ4を採用することが見込まれる金融機関の代表者より説明頂いたステップ2及びステップ3で議論した論点に関する信用リスクの管理手法との整合性や実務上の負担等に対する主な意見及び当日の質疑応答の内容に関して、報告が行われている。対象機関は以下の通りである。
- 上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に係る会計上の取扱い
- 公開草案「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応
- 金融資産の減損に関する会計基準の開発