「金融機関向けIFRSニュース 2023年10月」(2023年11月掲載) ブックマークが追加されました
ナレッジ
「金融機関向けIFRSニュース 2023年10月」(2023年11月掲載)
銀行・証券・保険・リース・クレジットカード
デロイトが発信する IFRS関連の総合ナレッジサイト「IAS Plus」等より、特に金融機関(銀行、証券、保険やリース・クレジットカード会社等)に関連性の高いグローバルな最新動向を日本語で集約しご紹介しております。
「金融機関向けIFRSニュース 2023年10月」
デロイトが発信するIAS Plusの情報等のうち、特に金融機関に関連性の高い情報(IFRS関連に加え、日本基準やUSGAAP関連であっても関心が高そうな情報を含む)を日本語で集約し、金融機関等の皆様に向けて週次でニュース配信しております。以下は、配信した週次ニュースを月次単位(記事日付の属する月基準)で集約した記事一覧・概要(一部抜粋)となります。実際の詳細な週次ニュース配信のご要望等ございましたら、右上のお問合せからお問合せください。なお、公式の翻訳ではありませんので、参考情報としてご活用ください。時制は、各記事の掲載時点のものとなります。本文中の団体・組織名の略称については、リンク先の<凡例(PDF))>をご参照ください。
<今月のハイライト>
◆サステナビリティ
■ TNFDによる自然関連リスク管理と開示への最終提言を解説するニュースレターの掲載
デロイトによるTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)の自然関連リスク管理と開示への最終提言を解説するニュースレターが掲載されました。同最終提言では、企業が自然関連の影響、依存関係、リスクと機会を測定、管理、開示を開始する支援を目的としており、TCFDで用いられた4つの柱(ガバナンス・戦略・リスクと影響の管理・指標と目標)で構成され、それぞれの柱の中で4つの概念的ビルディング・ブロック(自然関連の依存・影響・リスク・機会)に基づく推奨される開示一式を含んでいます。なお、TNFDに関しての意見募集は、バリューチェーンへの提案されたアプローチ(コメント期限:2023年11月30日)及びセクター開示指標(コメント期限:2024年2月29日)を対象に実施されております。
◆会議
■ 基本財務諸表に関する新基準IFRS第18号「「財務諸表における表示及び開示」の整理論点が審議
2023年10月25日から26日に開催されたIASB会議では、基本財務諸表プロジェクトを踏まえた新たなIFRS会計基準(原題 IFRS 18 Presentation and Disclosure in Financial Statements、ASBJ仮訳IFRS 第 18 号「財務諸表における表示及び開示」)を文案作成する上での論点についての議論がされました。同会議では、財政状態計算書における流動・非流動の順序の明確化や、適用開始期間の直前の事業年度よりも前の期間についてIFRS 第18号の遡及適用を免除する経過措置を設けない等の暫定決定がされました。IFRS第18号に関する議論は、今後の会議でも検討される予定です。
<今月の配信記事一覧>
<記事概要>
サステナビリティ
【Deloitte】
- (2023年10月26日)
『iGAAP in Focus — Sustainability reporting:TNFDは自然関連リスク管理と開示への最終提言を公表しました。』が掲載されました。
デロイトによるTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)の自然関連リスク管理と開示への最終提言を解説するニュースレター(全10ページ)が掲載されました。
同提言は、企業が自然関連の影響、依存関係、リスクと機会を測定、管理、開示を開始する支援を目的としており、TCFDで用いられた4つの柱(ガバナンス・戦略・リスクと影響の管理・指標と目標)で構成され、それぞれの柱の中で4つの概念的ビルディング・ブロック(自然関連の依存・影響・リスク・機会)に基づく推奨される開示一式を含んでおります。
同提言は、自然関連の課題を評価及び管理し、自然関連の開示を提供する目的でLEAP(Locate(発見)、Evaluate(診断)、Assess(評価)、Prepare(準備)の頭文字から成ります)アプローチと呼ばれるアプローチによる提言を行っております。LEAPアプローチとは、企業が自然関連リスク管理にどのように取り組むかに関する統合的評価アプローチです。
また、TNFDは、バリューチェーンへの提案されたアプローチ(コメント期限:2023年11月30日)及びセクター開示指標(コメント期限:2024年2月29日)に関する協議目的で公開草案をリリースしていることに加えて、高い自然影響と高い依存セクターのレンジに関するセクター・ガイダンスをCOP28に間に合うように現在作成しております。COP28とは、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議のことであり、2023年11月30日から12月12日までの日程で、アラブ首長国連邦にて開催が予定されています。
【FSB】
- (2023年10月12日)
気候関連情報開示に関する年次進捗報告書が公表されました。
金融安定理事会(FSB)は、気候関連情報開示に関する年次進捗報告書を公表しました。この報告書は、2023年10月11日から12日にかけて開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議に提出されました。
報告書の中で、FSBは、サステナビリティ開示のためのグローバルな枠組みとして機能し、実施されれば世界中の異なる企業による開示が共通の基準で行われることを可能にするISSB基準の公表を歓迎しています。FSBは、本基準の適時かつ広範な利用を促進するため、ISSB、証券監督者国際機構(IOSCO)及びその他の関係機関と協力していく予定です。気候関連情報開示の世界的な比較可能性を達成するためには、ISSB基準と法域の情報開示の枠組みとの相互運用可能性が必要となります。報告書はまた、持続可能性の開示のための世界的な保証、倫理及び独立性の枠組みの開発に関する進展を奨励すると言及しています。
今年の進捗報告書は、例年と同様に、2023年TCFD状況報告書の結果を強調しています。進捗報告書とともに公表されたTCFD状況報告書によりますと、TCFDに沿った情報を開示している上場企業の割合は増加し続けていますが、さらなる進展が必要であることが述べられております。ISSBの最初の基準が公表されたことで、TCFDの作業は完了し、FSBはISSBに対し、IFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」及びIFRS S2号「気候関連開示」の適用を支援するために、2024年現在の企業の気候関連財務情報開示の状況に関するモニタリングの責任を果たすよう要請しました。
全般
【Deloitte】
- (2023年10月11日)
『iGAAP in Focus — 財務報告: Closing out — 報告の重点領域』が掲載されました。
当ニュースレター(日本語翻訳、全18ページ)では、現在のマクロ経済及び地政学的環境を考慮して関連する可能性のある財務報告の問題を明示しています。iGAAP in Focus「Closing Out(2023年9月30日更新版)」では、現在の経済的および地政学的環境を考慮してまた、規制上の焦点となる分野や会計基準の最近の変更も強調しており、以下を含むトピックについて言及されています。- 不確実性と財務報告
- 財務諸表における気候関連リスク
- サステナビリティ報告の動向
- 通貨と超インフレ
- その他の報告に関する検討事項(IFRS第17号「保険契約」の適用含む)
会議
【IASB】
- (2023年10月31日)
2023年10月のIASB会議の議事メモが掲載されました。
2023年10月25日から26日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。- 動的リスク管理
(暫定決定事項なし) - 金融商品の分類及び測定の修正
(暫定決定事項なし) - 基本財務諸表
(暫定決定事項あり)- IASBは、新しいIFRS会計基準(原題:IFRS 18 Presentation and Disclosure in Financial Statements)に関する課題・論点について議論しました。
- IASBは、売上原価を含む営業費用を機能別に分類している場合に限り、純損益計算書において機能別に分類された他の費用とは別に売上原価の項目を表示することを暫定決定しました。
- 財政状態計算書について、以下について使用する特性の明確化を暫定決定しました。
- 資産及び負債を流動性又は非流動性のいずれかに分類する期間、存続期間・回収及び決済の時期の特性、並びに資産及び負債を流動性の順に分類する流動性の特性
- 資産と負債を別々の項目に集約する性質と機能の特性
- 適用開始期間の直前の事業年度よりも前の期間について IFRS第18号の遡及適用を免除する経過措置は設けないことを暫定決定しました。
- IASBは、さらに開示項目に関して、1つ以上の機能項目を提示する企業は、営業区分の各項目にのみ含まれる特定の性質に基づく費用の金額を単一注記で開示する要求について暫定決定しました。
- 動的リスク管理
【ISSB】
- (2023年10月30日)
2023年10月のISSB会議の議事メモが掲載されました。
2023年10月24日から25日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックを議論されました。
【IASB/FASB】
- (2023年10月5日)
2023年9月のIASBとFASBの合同エデュケーション会議の要約(デロイト作成)が掲載されました。
2023年9月29日に開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。- 基本財務諸表 ― 経営者が定義した業績指標
(暫定決定事項なし) - 国際的な税制改革 ― 第2の柱モデルルール
(暫定決定事項なし) - 企業結合 ― 開示、のれん及び減損
(暫定決定事項なし) - 金融商品の分類及び測定:ESG連動金融商品
(暫定決定事項なし) - 電力購入契約
(暫定決定事項なし) - 財務諸表における気候関連リスク
(暫定決定事項なし)
- 基本財務諸表 ― 経営者が定義した業績指標
【IFRS AC】
- (2023年10月31日)
2023年11月のIFRS諮問会議(IFRS Advisory Council)のアジェンダが公表されました。
2023年11月7日から8日にかけて開催される当会議では、以下を含むトピックを議論する予定です。なおIFRS諮問会議は、IFRS財団評議員会、IASB及びISSBに対して戦略的な事項等についてアドバイスすることを目的としています。- IASB活動のアップデート
- ISSB活動のアップデート
- 基本財務諸表
- ISSB基準の導入戦略
ワーク・プラン
【IASB/ISSB】
- (2023年10月30日)
IASB及びISSBがワーク・プランを更新しました ─ 変更点の分析(2023年10月の会議等)
2023年10月のIASB会議及びISSB会議の結果を受けて、ワーク・プランが変更されました。
コンバージェンス
【ASBJ】
- (2023年10月6日)
現在開発中の会計基準に関する今後の計画が改訂されました。
ASBJが、日本基準及び修正国際基準(IFRSと企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の開発に関する検討状況、及び今後の計画の改訂を公表しました。
<主な改訂点>- パーシャルスピンオフの会計処理
- 四半期報告書制度の見直しへの対応
- (2023年10月5日)
第511回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
ASBJは、2023年10月5日に開催された第511回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。また、審議は動画(YouTube)公開されました。- 2023年9月開催会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)の報告
- 金融資産の減損に関する会計基準の開発
- 金融商品のクラス別の期首残高から期末残高への調整表に関する再提案
- ステップ2を採用する金融機関における開示(注記事項)に関する振返り
- グローバル・ミニマム課税に関する法人税法の改正への対応
- 「日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」に寄せられたコメントへの対応
- 四半期報告書制度の見直しへの対応
- 公開草案「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応
- 企業会計基準適用指針公開草案「自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準の適用指針(案)」等【公表議決】(パーシャルスピンオフ関連)
- IASB情報要請『IFRS第9号「金融商品」の適用後レビュー ― 減損』に対するコメント
- (2023年10月19日)
第512回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
ASBJは、2023年10月19日に開催された第512回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。また、審議は動画(YouTube)公開されました。- 公開草案「資金決済法における特定の電子決済手段の会計処理及び開示に関する当面の取扱い(案)」等に寄せられたコメントへの対応
- グローバル・ミニマム課税に関する法人税法の改正への対応
- 「日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管に関する意見の募集」に寄せられたコメントへの対応
- 四半期報告書制度の見直しへの対応
- 公開草案「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応
- 2023年9月開催会計基準アドバイザリー・フォーラム(ASAF)の報告