「金融機関向けIFRSニュース 2024年6月」(2024年7月掲載) ブックマークが追加されました
ナレッジ
「金融機関向けIFRSニュース 2024年6月」(2024年7月掲載)
銀行・証券・保険・リース・クレジットカード
Deloitteが発信する IFRS関連の総合ナレッジサイト「IAS Plus」等より、特に金融機関(銀行、証券、保険やリース・クレジットカード会社等)に関連性の高いグローバルな最新動向を日本語で集約しご紹介しております。
「金融機関向けIFRSニュース 2024年6月」
Deloitteが発信するIAS Plusの情報等のうち、特に金融機関に関連性の高い情報(IFRS関連に加え、日本基準やUSGAAP関連であっても関心が高そうな情報を含む)を日本語で集約し、金融機関等の皆様に向けて週次でニュース配信しております。以下は、配信した週次ニュースを月次単位(記事日付の属する月基準)で集約した記事一覧・概要(一部抜粋)となります。実際の詳細な週次ニュース配信のご要望等ございましたら、右上のお問合せからお問合せください。なお、公式の翻訳ではありませんので、参考情報としてご活用ください。時制は、各記事の掲載時点のものとなります。本文中の団体・組織名の略称については、リンク先の<凡例(PDF))>をご参照ください。
<今月のハイライト>
◆コンバージェンス
■ ASBJによる金融商品の減損に関する会計基準の開発についてステップ5の審議が進行
ASBJは、金融資産の減損に関する会計基準の開発について、金融機関の代表者へステップ4※に関する意見聴取を実施するまでの間、ステップ5※の検討に着手しました。第528回の企業会計基準委員会では、一般事業会社における貸倒引当金の対象となる金融資産等(営業資産、契約資産及びリース債権)の取り扱いについて、性質等で分類したグループごとに4つの検討の方向性(①IFRS第9号「金融商品」の単純化したアプローチの取り入れ、②単純化したアプローチの対象とするか、③現行の取扱いの踏襲、④ステップ4の検討後に改めて検討)が議論されています。
※ステップ4:IFRS第9号を出発点として、適切な引当⽔準を確保した上で実務負担に配慮した会計基準を⽬指すもの
※ステップ5:一般事業会社に関する検討
◆サステナビリティ
■ EFRAGとTNFDによるESRSとTNFDの情報開示と指標の対応を示す対応表の公表
EFRAGと自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は共同で、欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)が要求する開示項目及び指標と、TNFDが推奨する情報開示及び指標の対応を示す対応表を公表しました。本資料では、「概念と定義」「マテリアリティへのアプローチ」「LEAPアプローチ」「報告の4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)」「推奨される開示と評価指標」の項目について、ESRSとTNFDの対応結果が高水準で対応していることが示されています。
<今月の配信記事一覧>
<記事概要>
金融商品
【Deloitte】
(2024年6月4日)
『iGAAP in Focus — 財務報告:金融商品の分類及び測定の修正』が掲載されました。
当ニュースレター(全8ページ)では、IASBが2024年5月30日に公表したIFRS第9号「金融商品」及びIFRS第7号「金融商品:開示」の分類及び測定の修正」(原題:Amendments to the Classification and Measurement of Financial Instruments(Amendments to IFRS 9 and IFRS 7))の概要を解説しています。
<ニュースレター目次>
- 背景
- IFRS第9号の修正
- IFRS第7号の修正
- 発効日及び経過措置
- さらなる情報
サステナビリティ
【EFRAG】
(2024年6月20日)
EFRAGとTNFDは共同でESRSとTNFDの情報開示と指標の対応を示す対応表を公表しました。
EFRAGとTNFDは共同で、ESRSが要求する情報開示及び指標と、TNFDが推奨する情報開示及び指標の対応関係を示す対応表を資料を公表しました。本資料では、評価結果として、「概念と定義」「マテリアリティへのアプローチ」「LEAPアプローチ」「報告の4つの柱(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)」「推奨される開示と評価指標」の項目について、ESRSとTNFDの対応結果が高水準で対応していることが示されています。
(2024年6月3日)
欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)は3つのESRSの導入ガイダンスを公表しました。
EFRAGは、マテリアリティ評価、バリュー・チェーン、及びESRSのデータポイントに関する導入ガイダンスを公表しました。本ガイダンスは、企業やその他のステークホルダーがESRSを導入する際に、基準の中でより重要な部分に焦点を当てるのに役立つように報告要件を説明しています。
【CDP】
(2024年6月4日)
CDPは新しい情報開示プラットフォームを設立しました。
CDP(気候開示プロジェクト:Carbon Disclosure Project※)は、新しい情報開示プラットフォームを設立しました。新しいプラットフォームは、都市、州、地域に加えて、75,000の企業に開放されており、サステナビリティ関連開示への対応がより容易になります。新しい質問票はIFRS S2号「気候関連開示」に準拠したものとなっており、森林、水、生物多様性及びプラスチックに関する事項も対象としています。また、CDPは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)や欧州持続可能性報告基準(ESRS)など他の主要な基準との整合も進めています。加えてCDPは、リソースとニーズが考慮された中小企業向けの質問票を発表しています。
※CDPは、英国の慈善団体が管理する非政府組織(NGO)であり、投資家、企業、国家、地域、都市が自らの環境影響を管理するためのグローバルな情報開示システムを運営しています。
全般
【Deloitte】
(2024年6月25日)
『iGAAP in Focus — 財務報告: Closing out — 報告の重点領域』が掲載されました。
当ニュースレター(全20ページ、2024年6月更新版)では、2024年6月現在の経済的及び地政学的環境を考慮して関連する可能性のある財務報告の論点を示しています。また、規制や会計基準の最近の変更を含む、以下のトピックについて焦点を当てています。
- 不確実性と財務報告
- 財務諸表における気候関連リスク
- サステナビリティ報告の動向
- 通貨と超インフレ
- 新しい会計の要求事項(2024年1月以降の会計年度より適用の会計方針の開示を含む)
- その他の報告に関する考慮事項
- 期中財務報告
- 付録
会議
【IASB】
(2024年6月25日)
2024年6月IASB会議(FASBとの合同会議含む)の議事メモ(Deloitte作成)が掲載されました。
2024年6月19日から21日にかけて開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。
- IFRS第16号「リース」の適用後レビュー
(暫定決定事項なし) - 動的リスク管理
(暫定決定事項あり)- IASBは、動的リスク管理モデル(DRM)における現在の正味オープン・リスク・ポジション(CNOP)の公正価値や将来の経済的便益の最大額をどのように計算するか、またキャパシティ評価をどのように行うかに関して議論を実施し、以下を暫定決定しました。
- 報告日におけるCNOPの将来の経済的便益の最大額を、当該CNOPの現在価値に基づいて測定することを要求される。
- DRM調整におけるキャパシティ不足額を純損益に認識した企業は、将来の期間におけるそのキャパシティ不足額の巻戻しを、リスク管理の対象期間にわたって定額法又は、他の体系的かつ合理的な基礎で認識することが要求される。
- 企業が過去に純損益に認識したキャパシティ不足額の戻入れは認められない。
- また、DRMモデルにおける表示に関する要求事項について議論を実施し、以下を暫定決定しました。
- 報告期間中に認識されたDRM調整の巻戻しは、純損益計算書の純受取利息小計の中の独立項目として純額で表示する。
- 報告期間中に認識した不一致(指定デリバティブから生じた正味の利得又は損失とDRM調整との間の不一致)は、他のデリバティブの公正価値の変動(利得又は損失)と共に表示する。
- DRM調整は、純額として、報告期間末日の財政状態計算書の独立の科目に純額として表示する。
- なお、IASBは、財務諸表利用者の情報ニーズについて及びDRMモデルの考え得る開示要求の初期的な分析について議論しましたが、暫定決定事項はありませんでした。
- IASBは、動的リスク管理モデル(DRM)における現在の正味オープン・リスク・ポジション(CNOP)の公正価値や将来の経済的便益の最大額をどのように計算するか、またキャパシティ評価をどのように行うかに関して議論を実施し、以下を暫定決定しました。
- 引当金-的を絞った改善
(暫定決定事項あり)- IASBは、本プロジェクトにおける暫定的な決定の結果として生じた3つの論点(IAS第37号「引当金、偶発負債及び偶発資産」の適用範囲を維持すること、IFRS第19号「公的説明責任のない子会社:開示」に引当金の測定に使用した割引率を開示するという要求を含めるが、割引率の算定に用いたアプローチを企業が開示するという要求はIFRS第19号に追加しないこと、IFRS第3号「企業結合」から認識原則に対する例外規定を削除すること)について暫定決定しました。また経過措置として企業が修正案をIAS第8号「会計方針、会計上の見積りの変更及び誤謬」に従って遡及適用することを2つの例外(単純化された遡及的アプローチを認める点及び比較情報の修正再表示は行わない等)とともに提案することを暫定決定しました。またIAS第37号の修正案の修正結果としてIFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」の修正は行わないと提案することを暫定決定しました。
- IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の適用後レビュー(IASB)/ASC Topic 606「顧客との契約から生じる収益」の適用後レビュー(FASB)(FASBとの合同会議アジェンダ)
(暫定決定事項なし) - IFRS第16号の適用後レビュー(IASB)/ ASC Topic 842「リース」の適用後レビュー(FASB)(FASBとの合同会議アジェンダ)
(暫定決定事項なし)
【ISSB】
(2024年6月17日)
2024年6月のISSB会議の議事メモ(Deloitte作成)が掲載されました。
2024年6月12日に開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。
- SASBスタンダードの維持管理
(暫定決定事項なし)
【IFRS IC】
(2024年6月19日)
2024年6月のIFRS解釈指針委員会会議の議事メモ(Deloitte作成)が掲載されました。
2024年6月11日に開催された当会議では、以下を含むトピックが議論されました。
- 報告セグメントに係る収益及び費用の開示(IFRS第8号「事業セグメント」)
(IASBの検討を求めるアジェンダ決定)- 委員会は、2023年11月に公表したセグメント純損益に関連する所定の金額の開示に関する暫定的なアジェンダ決定に対するフィードバックについて検討し、議論を完了しました。
- IASBは、この暫定的なアジェンダ決定を2024年7月のIASB会議で検討し、IASBが当該アジェンダ決定に反対しない場合には、2024年7月のIFRIC Updateにて、今回のIFRIC Updateへの補遺において公表されることになります。
- 評価損益に対する担保差入(Collateralized-to-Market)契約の変動証拠金担保(マージン・コール)に係るキャッシュ・フローの分類(IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」)
(委員会の暫定的なアジェンダ決定)- 委員会は、企業がキャッシュ・フロー計算書においてコモディティを事前に決定された価格で将来の所定の時期に購入又は売却について行われるマージン・コールに関するキャッシュ・フローをどのように表示するか(営業活動にするのか、営業外活動にするのか)に関する要望を受けました。要望書にある担保差入契約におけるマージン・コールに係るキャッシュ・フローのキャッシュ・フロー計算書上での分類について、提案にある担保差入契約は広く普及しているものではないことを確認しており、従って、広がりのある影響を有しないと結論付け、基準設定プロジェクトの作業計画に追加しないことを決定しました。
- 無形資産
(暫定決定事項なし) - 企業結合-開示、のれん及び減損
(暫定決定事項なし)
【TIG】
(2024年5月31日)
2024年6月のIFRS S1号「サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」及びIFRS S2号「気候関連開示」に関する移行支援グループ(TIG:Transition Implementation Group)会議のアジェンダが公表されました。
2024年6月13日に開催される当会議では、以下を含むトピックを議論する予定です。
- バリュー・チェーン内の企業からの情報を用いて見積りを行う場合の前期見積金額の修正
- 子会社の取得又は持分の処分時の比較情報に関する要求事項の適用
ワーク・プラン
【IASB/ISSB】
(2024年6月24日)
IASB及びISSBがワーク・プランを更新しました-変更点の分析(2024年6月の会議等)
2024年6月のIASB会議及びISSB会議の結果を受けて、ワーク・プランが変更されました。
コンバージェンス
【ASBJ】
(2024年6月6日)
現在開発中の会計基準に関する今後の計画が改訂されました。
ASBJは、日本基準及び修正国際基準(IFRS会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)の開発に関する検討状況、及び今後の計画の改訂を公表しました。
<主な改訂点>
- 金融商品に関する会計基準
- 日本公認会計士協会が公表した実務指針等の移管
(2024年6月5日)
第527回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
ASBJは、2024年6月5日に開催された第527回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。また、審議は動画(YouTube)公開されました。
<審議事項の一部>
- IASB公開草案「企業結合-開示、のれん及び減損(IFRS第3号「企業結合」及びIAS第36号「資産の減損」の修正案)」への対応
- IASB公開草案「再生可能電力に係る契約(IFRS第9号「金融商品」及びIFRS第7号「金融商品:開示」の修正案)」への対応
- 上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に係る会計上の取扱い
- 公開草案「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応
- 金融資産の減損に関する会計基準の開発
- 営業債権、契約資産及びリース債権についての取扱い(ステップ5)
- ステップ5を採用する一般事業会社における営業債権、契約資産及びリース債権の取扱いとして、IFRS第9号の損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定する単純化したアプローチに関する定めを取り入れることが考えられる。具体的な取扱いは次のとおり。
- 営業債権、契約資産及びリース債権についての取扱い(ステップ5)
(1)常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定することを要求する金融資産等
①収益認識会計基準等に従って計上された重要な金融要素を含んでいない(又は、収益認識会計基準第58項を適用する)受取手形(その他の通常の取引に基づいて発生した手形債権を除く。)、売掛金及び契約資産
(2)会計方針の選択により、常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定することを認める金融資産等
①収益認識会計基準等に従って計上された重要な金融要素を含む受取手形(その他の通常の取引に基づいて発生した手形債権を除く。)、売掛金及び契約資産
②リース会計基準等に従って計上されたリース債権及びリース投資資産のうち将来のリース料を受領する権利に係る部分
(2024年6月20日)
第528回企業会計基準委員会の概要が公表されました。
ASBJは、2024年6月20日に開催された第528回企業会計基準委員会の審議資料を公表しました。当委員会では、今回、以下を含む事項が審議されました。また、審議は動画(YouTube)公開されました。
<審議事項の一部>
- IASB公開草案「企業結合-開示、のれん及び減損(IFRS第3号「企業結合」及びIAS第36号「資産の減損」の修正案)」への対応
- 金融資産の減損に関する会計基準の開発
- ステップ5に関する検討の方向性
(1)IFRS第9号の単純化したアプローチを取り入れる方向で検討を進める金融資産等
①顧客との契約から生じた債権に係る受取手形、及び電子記録債権
②売掛金
③契約資産
④リース債権及びリース投資資産のうち将来のリース料を収受する権利に係る部分
⑤オペレーティング・リース取引(契約)に係る債権
(2)IFRS第9号の単純化したアプローチの対象とするかどうか検討を行う金融資産
①未収金
(3)金融商品の分類及び測定の見直しに関する議論を行うまでの間は、現行の金融商品会計基準等における取扱いを踏襲する方向で検討を進める金融資産
①敷金
②将来返還される差入預託保証金(建設協力金及び敷金を除く。)
③ゴルフ会員権(預託保証金)
(4)ステップ4の検討後に改めて検討する金融資産
①貸付金
②未収利息
③建設協力金
- 上場企業等が保有するベンチャーキャピタル(VC)ファンドの出資持分に係る会計上の取扱い(企業会計基準諮問会議からのテーマ提言を踏まえ、VCファンドに相当する組合等の構成資産である市場価格のない株式を中心とする範囲に限し、現行の金融商品会計基準等における取扱いの見直しを目的とするプロジェクト)
- 四半期報告制度の見直しに関する対応
- 公開草案「リースに関する会計基準(案)」等に寄せられたコメントへの対応