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COVID-19影響下でのフォワードルッキング引当

転載:月刊銀行実務2021.12

COVID-19による経済的影響の長期化により、将来発生すると予測する損失を前倒しで処理する金融機関が増え始めている。本稿では、いわゆるこのフォワードルッキング引当について、当局及び会計基準開発の動向、将来情報を反映した債務者区分など実務対応を解説しています。

新型コロナウイルス感染症(以下、「COVID-19」)による影響が本邦においても長期化しているが、2021年11月に入り新規感染者数の推移は落ち着きを見せており、本稿執筆時点で緊急事態宣言も解除されている状況にある。ただし、感染影響の経済活動及び企業経営への波及は今後も継続することが見込まれ、また、感染第6波の懸念も引き続き存在している。信用調査会社等から公表されている倒産件数やデフォルト率等の推移を分析する限りでは、信用リスクが現時点で顕在化している状況にはないが、感染影響が長期化するなかで業績や財務状況が悪化している債務者に対する条件緩和等の支援が今後増加していく可能性があり、また、COVID-19対応の資金繰り支援を通じて増加した融資残高に内包される信用リスクへの対処として、自己査定及び償却・引当に係る創意工夫を検討している金融機関は少なくないものと推察される。

また、金融庁が2019年12月に金融検査マニュアルを廃止すると共にディスカッションペーパー「検査マニュアル廃止後の融資に関する検査・監督の考え方と進め方」(以下、「融資DP」)を公表して以降、2021年3月期までに将来予測情報を反映した貸倒引当金(以下、「フォワードルッキング引当」)の算定方法を導入した金融機関はまだ一部に留まっているが、多くの金融機関が具体的な検討又は情報収集を行っているものと推察される。

本稿では、COVID-19の感染影響が長期化するなかで、監督当局や会計基準開発の動向を踏まえ、足元におけるフォワードルッキング引当の対応ポイントを解説する。

  • COVID-19影響長期化による対応
  • フォワードルッキング引当の動向
  • フォワードルッキング引当の対応ポイント
  • おわりに

記事の全文は「COVID-19影響下でのフォワードルッキング引当(PDF)」をダウンロードください。

 

 

執筆者:公認会計士 薮原康雅
大手金融機関の財務諸表監査、IFRS導入支援業務に従事するほか、雑誌寄稿やセミナー講師実績多数。

 

※「月刊銀行実務」が記事の利用を許諾しています。
※本稿の意見に関する部分は筆者の私見であり、所属する法人の公式見解ではありません。

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