ナレッジ

税効果会計シリーズ(6) 開示

(月刊誌『会計情報』2018年6月号)

税効果会計シリーズでは、税効果会計に関する会計処理及び開示の基本的な内容をQ&Aで連載している。本号では、税効果会計に関する表示及び注記事項について解説する。

著者:公認会計士 砺波 晋作

はじめに
税効果会計シリーズでは、税効果会計に関する会計処理及び開示の基本的な内容をQ&Aで連載している。

企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成30年2月16日に以下の会計基準等を公表した。

▶ 企業会計基準第28号「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(以下「税効果会計基準一部改正」という。)

▶ 企業会計基準適用指針第28号「税効果会計に係る会計基準の適用指針」(以下「税効果適用指針」という。)

税効果会計基準一部改正では、繰延税金資産及び繰延税金負債に関する表示の国際的な会計基準との整合性等を踏まえ、貸借対照表における表示方法が改正されている。また、財務諸表利用者が税効果会計に関連する注記事項を利用する目的やその分析内容、実際に利用している情報を踏まえ、注記事項について所要の改正が行われている。本号では、当該改正内容を踏まえ、税効果会計に関する表示及び注記事項について解説する。

Q1 繰延税金資産及び繰延税金負債の表示

繰延税金資産及び繰延税金負債はどのように表示されるか。

A
▶ 繰延税金資産は投資その他の資産の区分に表示し、繰延税金負債は固定負債の区分に表示する(税効果会計基準一部改正第2項に定める税効果会計基準 第三 1.参照)。

▶ 同一納税主体の繰延税金資産と繰延税金負債は双方を相殺して表示し、異なる納税主体の繰延税金資産と繰延税金負債は双方を相殺せずに表示する(税効果会計基準一部改正第2項に定める税効果会計基準 第三 2.参照)。

▶ 土地再評価差額金に係る繰延税金資産又は繰延税金負債がある場合には、他の繰延税金資産又は繰延税金負債とは区別して、貸借対照表の投資その他の資産又は固定負債の区分に、再評価に係る繰延税金資産など又は再評価に係る繰延税金負債など、その内容を示す科目をもって表示する(税効果適用指針第63項並びに財務諸表等規則(以下「財規」という。)第32条の3及び第52条の2参照)。

税効果会計基準一部改正は、平成31年3月期から適用する。そのため、3月決算の上場会社においては、表示については平成30年6月末に終了する第1四半期から適用されるため、留意が必要である。なお、平成30年3月期の期末から早期適用することもできる(税効果会計基準一部改正第6項参照)。

※続きは添付ファイルをご覧ください。

(547KB, PDF)
お役に立ちましたか?