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インド製薬産業の現状と展望

その特性、動向ならびにトピックス

インドの医薬品産業は堅調に成長する一方で、インドにおける医薬品のビジネス環境には、独自の特許制度の運用や産業特性、ならびに社会環境を背景とするリスク要因も存在します。独特の展開や環境変化の認められるインド医薬品産業の特徴と動向の概略を紹介します。

概要

本レポートでは、インド国内における医薬品市場の成長の要因となる人口動態の要素から、市場を取り巻く規制の存在、特許行政や薬価統制といったインド独自の動き、マーケットにおけるインド国外からの参入企業について解説します。
インドにおける製薬ビジネスの過去と現在を概観し、企業リスクやリスクマネジメントの視点から未来への展望へと繋げます。

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市場と産業

インドにおける2017年の医薬品市場は約190億米ドル(約2兆円)と推定され、2013年以降約12%の年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)を記録しています(「図1-1:インド医薬品市場」、「図1-2:インドならびに世界の医薬品市場の成長」参照)。

インド医薬品市場の成長は今後も続き、2020〜2021年にはその規模が300〜350億米ドルに達し、単独で世界で5〜6番目に大きな市場となるとの予測もあります。

順調な経済成長(2005年以降概ね各年5〜10%のGDP成長率)、国民所得の増大と中間層の拡大、医療制度の整備や疾病構造の変化等がこの背景にあると考えられます。

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制度と動向

医薬品に関する規制は1940年ならびに1945年医薬品、化粧品法に原形が規定され、随時改定されます。

内閣は30を超える省庁から構成されており、保健家族福祉省、化学肥料省(医薬品局)、商工省(医薬品輸出促進協議会等)、特許庁等がそれぞれ医薬品に関連する管轄行政分野を展開する。複雑な機構、行政諸手続上の非効率性や一貫性の欠如、技術の進歩や複雑化に迅速に対応できずにに膠着化する諸規則等の側面が指摘されることもあります。

規制対応とリスク

複雑な社会構造や行政機構、また頻繁な改訂や大規模な変化、欧米に見られない独自の業界構造や制度運用等を背景に、インドにおける規制対応とリスク管理の必要性は総じて高いと考えらます。


インドにおけるコンプライアンス関連事例は多岐にわたっており、またインド独自の事象が含まれていることがひとつの特徴かと認識されます(「図7-2:インドにおけるリスク対応とコンプライアンス管理の例」参照)。それぞれのリスク領域分野において適切な事例抽出と現状認識を
行い、効果的かつ実効的な対応プランを整備すること等により、戦略的に企業のリスク回避可能性の高まる分野と推測されます。

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おわりに

今世紀初頭には安価な医薬品製造と国内における市場成長ポテンシャルを双極とした比較的明快な特徴で、世界から認識されていたインド製薬産業は、新たな特許行政や価格規制動向に加え、世界のジェネリック
医薬品事業環境の変化や発展途上国をめぐる国際環境の変化等により、複雑性を増していると考えられます。

また経済が成長し国外との交流機会が増加する中、内外からのインドに関連する各種分析や報告も増加しており、その動向や特徴はより世界に認識されやすい状況となっている。このような環境下でインド製薬産業が
自国の市場動向や輸出、特許等の国外との関係構築、また他の発展途上国との関わりにおいてどのような展開を見せるのか、その方向性が継続的に注目されます。

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