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費用対効果評価制度の概要と今後の方向性

薬価への調整方法を含めた本制度の解説と2022年度診療報酬改定に向けた見直しの方向性

高額薬剤問題を契機に2016年12月に政府が策定した「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」 を受け、費用対効果評価制度が2019年4月に導入された。本稿では、本制度の内容を具体例(トリンテリックス、キムリア)を用いて解説するともに、2022年度診療報酬改定に向けたの見直しの方向性についても紹介する。

費用対効果評価制度の概要と今後の方向性

免疫チェックポイント阻害薬の「オプジーボ」の登場により、外科手術、化学療法、放射線療法が主流であったがん治療法に免疫療法という新たな選択肢を提供するなど、革新的な新薬の創出は、医療に多大な貢献を与えてきた。 しかし、その一方で、革新的な新薬は総じて高額であることから、医療財政悪化の要因となっており、国民皆保険を維持すべく、政府は、2016 年 12 月に「薬価制度の抜本改革に向けた基本方針」を策定した。

費用対効果評価制度は、この基本方針を受けて2019年4月に導入された制度であり、文字通り、既存薬を対象として費用対効果を評価し、その評価結果を薬価に反映する制度である。

本稿では、この費用対効果評価制度に関して、筆者の厚生労働省在籍時に培った薬事業務経験を活かし、内容を分かりやすく紹介する。また、2022年度診療報酬改定に向け、現在、厚生労働省で制度の見直しが議論されており、改正の方向性についても併せて触れていくこととする。

Life Sciences 費用対効果評価制度の概要と今後の方向性【PDF, 1.57MB】
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