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日系素材メーカーへのベンチャー活用に向けた処方箋
日系素材メーカーのベンチャー活用事例を解説
Oil Gas Chemical & Mining Metals Sector 特別号
日系素材メーカーへのベンチャー活用に向けた処方箋
エンドマーケットの変化に伴い、日系素材メーカーは最新技術の獲得や新規ビジネスの参入にベンチャーを活用したいという意向が強くなっています。本ニュースレターでは、海外素材メーカーのベンチャー投資・活用と比較しながら、日系素材メーカーのベンチャー活用の現状を分析しています。その上でベンチャー活用における段階の分類と、段階ごとの課題、対応策について論じました。
まず、ベンチャー活用の現状については、ベンチャー活用で先行している海外素材メーカーをベンチマークとして、「①ベンチャー活用の目的」「②ターゲットとしているマーケット/事業領域」「③活用先ベンチャーの所属地域」の3点から日系素材メーカーの実態の分析を行いました。
次に、ベンチャー活用における段階については、「①マネジメントの本気度」「②仕組み/制度設計」「③スキル/経験」の3つの要件の高度化具合から、ベンチャー活用の成熟度を4つのSTAGEに分け、その詳細およびSTAGEごとのベンチャー活用における課題とその対応策について論じています。最後に、STAGE間に存在する壁と、それを乗り越えSTAGEを上げるための取り組みについて論じております。
(Oil Gas Chemical & Mining Metals Sector 特別号 2019年6月発行)
(目次)
はじめに
これまでに引き続き、多くの日系素材メーカーが安定した経済成長を享受している。好調な今こそ将来の企業成長に向けて、更なる事業拡大や高収益事業の創出に取り組んでいるところである。ヘルスケアマーケットや次世代モビリティマーケットでは素材技術を軸としたイノベーション創出や高収益化が当初の想定よりも困難になってきており、最新技術を活用する必要が出てきているとの声も多い。この最新技術の活用について、ベンチャーを取り込み自社の強みとして獲得したいとの意向が強い。このようなエンドマーケットの変化に伴い、近年日系素材メーカーでもベンチャーを活用したいとの意向が多くなっている。そこで、今回は日系素材メーカーのベンチャー投資/活用の現状、および投資/活用拡大に向けた処方箋を、外資系素材メーカーのベンチャー投資/活用との比較を通して解説していく。
日系素材メーカーのベンチャー活用の現状
日系素材メーカーによるベンチャー活用の動きは活発化しているが、まだスタートしたばかりであり、先行している外資系素材メーカーから学ぶことは多い。本章では、ベンチャー活用で先行している外資系素材メーカーをベンチマークとして、「①ベンチャー活用の目的」「②ターゲットとしているマーケット/技術領域」「③活用先ベンチャーの所属地域」について日系素材メーカーの実態と比較し、違いと理由について解析を行う。
日系と外資系素材メーカーの差
日系素材メーカーは外資系素材メーカーに比べ、ベンチャー活用の歴史が浅く、且つグローバルで戦うにはより厳しい環境下にいることから、“実行”に対してこれから様々な壁が立ちはだかることが想定される。ただし、日系素材メーカーの中でもベンチャー活用の経験の差がある。そこで、日系素材メーカーのベンチャー活用の成熟度をレベル分けし、各ステージ別に必要な“学び”を解析していく。
ベンチャー活用を行う上での、STAGEごとの課題とその対応策
先行している外資系素材メーカーがベンチャー活用を行う中で顕在化した課題を抽出し、それらへの対応策を紹介することで、ベンチャー活用の担当者が直面する現実の課題の解決に対して考察していく。
ベンチャー活用のSTAGEをあげるための取り組み
ベンチャー活用をより効果的なものとするためには、本稿におけるベンチャー活用のSTAGEを引き上げることが重要である。それにあたって、各STAGE間にそれぞれ存在している固有の壁について概論を述べる。
STAGEごとの壁とその乗り越え方
各STAGE間に存在する壁についての詳細と、またそれをどのように乗り越えていくべきかについて解説する。