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中堅化学企業の成長戦略と事業再編の行方
化学メーカーの成長戦略と事業再編の行方
化学業界向けNewsletter「扉」Vol29
中堅化学企業の成長戦略と事業再編の行方
世界的な脱炭素社会のトレンドが、素材・化学産業のパラダイムシフトを加速させることが見込まれます。各社経営陣は、激変する事業環境の中で持続的な成長・企業価値の向上につなげる為の成長戦略を迅速に策定・実行する事が重要となります。
本レポートでは、中堅化学企業を対象として成長性・収益性に焦点を当て調査・分析するとともに、今後取りうる戦略オプションと必要とされるケイパビリティを「中堅化学企業の戦略方向性」として提示いたしました。
(プロセスユニットニュースレター「扉」Vol29 2021年8月発行)
【目次】
1. 2つのメガトレンドと素材・化学企業への示唆
新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大、2050年カーボンニュートラル実現という2つのメガトレンドがある。これらは、素材・化学企業に、コロナ禍・カーボンニュートラルという外部環境への対応と自社の持続的な成長の両立を同時に迫るものであり、各社経営陣にこれまで経験したことのない難題を突き付けている。本稿では素材・化学企業の中でも中堅化学企業に焦点を当て、激変する事業環境下での業界の現状・課題について論じると共に、課題解決の為の戦略の方向性や化学業界再編動向・再編時代に求められるケイパビリティを示していきたい。
2. 中堅化学企業の定義・現状
デロイトトーマツ コンサルティング/プロセスセクターにおいては、年間売上高1,000-4,000億円規模の化学企業を中堅化学企業と定義している。この定義に基づき中堅化学企業各社の事業ポートフォリオを分析し、3つに類型化した。更に、経営の型ごとの業績傾向を把握・分析する為に中堅化学企業各社を定義に基づき分類し、過去5年間の売上高成長率・営業利益率を分析した結果について論じる。
3. 中堅化学企業の戦略方向性
前述の内容を元に、今後中堅化学企業各社が取りうる3つの戦略オプション(①他社との統合・事業再編②M&Aを通じた事業強化③デジタル改革による競争力向上)について順にしていく。
4. 中堅化学企業の事業再編の行方
前章において、化学産業において統合・再編の動きが活発化している点を論じてきたが本章においては、今後事業再編の機運が高まる分野と目される医薬品・農薬分野に焦点を当て事業再編の行方を示していきたい。
5. 化学再編時代に求められるケイパビリティ
化学企業の外部環境が大きく変化する中で、何よりも事業の出発点となる「戦略」が重要となってくることは疑いのない事実である。特に中堅化学企業においては、「全社・事業・製品視点での事業ポートフォリオ戦略立案・実行能力」が必要不可欠となる。来るべき「化学再編時代」において、中堅化学企業に求められるケイパビリティについて説明していく。