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Chemicals5.0 on the rise~欧州にみる化学事業の戦略未来図~

石油化学業界における今後の成功への2つの鍵

石油化学分野の成長率は上昇傾向にあります。このトレンドの中で、企業は石油化学品事業の成長に向けた長期戦略の策定と事業モデルの開発を迫られています。(化学業界向けNewsletter「扉」Vol.32)

Chemicals 5.0 on the rise~欧州にみる化学事業の戦略未来図~

化学製品においても持続可能性と循環性が求められるようになり、顧客による需要の促進・形成が進められています。このような顧客中心の新環境で成功するためには、化学企業は持続可能性を高め、水素社会を受け入れるだけでなく、より機敏かつオープンな状態になり、革新的なソリューション開発を行う能力を構築していく必要があります。
尚、本レポートは、Deloitte Globalが発行した「Chemicals 5.0 on the rise- Europe as a strategic blueprint for the world -」を和訳したものです。原著は以下リンクよりご確認いただけます。https://www2.deloitte.com/global/en/pages/energy-and-resources/articles/future-of-chemicals-industry.html

(プロセスユニットニュースレター「扉」Vol.32 2022年3月発行)

 

【目次】

1.はじめに

数十年に亘り化学品事業は、石油・ガス産業のポートフォリオにおける重要分野として位置付けられてきたが、化石燃料の需要は低下し供給原料の消費パターンに変化が生じている。そのような中にあっても石油化学分野の成長率は上昇傾向にあり、一層重要性を高めている。このトレンドの中で、今後、石油・ガス業界の企業は、モビリティ主導の製品群(ガソリン、ディーゼル、ジェット燃料など)を中心とした資産構成、およびバリューチェーンの変革に加え、石油化学品事業の成長に向けた長期戦略の策定と事業モデルの開発を迫られている。

 

2.石油・ガス産業にとって重要性を増す化学品事業

ネットゼロに向けた競争下では石油・ガス需要の圧迫が想定される一方、化学品分野は高い成長が期待できる。ただし化学品分野においても、従来通りのビジネスでは将来的な成長は見込めないかもしれない。昨今の市場変化から、今後の石油化学品事業に求められる要件を論じる。

 

3.既に差し迫っている石油化学品事業の戦略転換

既に劇的なゲームチェンジが起こっており、単純に現在のビジネスアプローチを拡張するだけでなく、変革と並行した成長が求められる。今後の石油化学品事業がこれらの複雑性を乗り越えるために求められる、カーボンニュートラルおよびサーキュラーエコノミーへの転換について論じる。

 

4. 顧客起点で始めるダウンストリーム価値の獲得

今後の石油化学品事業が顧客価値を獲得していくために重要となるのが、デジタル化である。

デジタル化は2つの方法で、化学業界の価値創出に寄与している。1つは、効率的かつ効果的な顧客接点の確保であり、もう1つは、顧客から見て「目的に合致している」価値を生み出すような、新しいビジネスモデルの実現である。そこで、現在の化学業界でのデジタルを用いたベストプラクティスと、顧客価値を提供し、収益を創出する(新たな)ビジネスモデルの変革について論じる。

 

5. ニューノーマル:将来の成功への2つの鍵

化学企業が成功するためには、安全性とコスト効率性の高い製品製造と、顧客志向のイノベーション開発・価値提供のポートフォリオ構築に加え、2つの新分野における競争力・能力・適性を高めることが求められる。1つはコンソーシアムの活用、そしてもう1つは、高い感度を持った上での顧客期待への対応である。ここでは、その背景や対応事例を紹介する。

 

6. 「何を」だけでなく、「どのように」と「誰が」が聞かれている

石油・ガス企業にとって、石油化学・化学事業の重要性が高まっており、この大規模な変革により、ビジネスモデル・オペレーション・資産・スキルに関する根本的な課題が発生している。

この変革によってビジネスモデルやオペレーションが影響を受けることを、多くの企業は認識しているものの、「どのように」変革をおこなうのか、「誰が」変革を担うのかに関しては、まだ十分に注目されていないと言える。労働力を活用し変化のスピードに順応するためには、企業文化を変化させることに加え、新たな働き方が求められることとなる。

 

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