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静脈産業に求められる変革

電炉メーカーの今後と静脈産業における役割

静脈産業の現状と、その中での電炉メーカーの重要性を論じています。

鉄鋼・非鉄金属業界向け Newsletter「Next Stage」Vol.18

静脈産業に求められる変革

本号では「静脈産業に求められる変革」と題し、金属素材業界の中で重要な位置づけであるスクラップ原料に悪影響を及ぼす課題の抽出と、解決に向けた施策の提言を行いました。

世界経済で経済成長と環境負荷軽減の両立が求められる中、欧州ではサーキュラーエコノミーを双方の両立のための施策としてだけでなく、静脈産業と官民が一体となった競争戦略としても位置付けています。日系金属企業においても、動脈産業だけでなく、静脈産業を含めた戦略構築が求められています。

金属産業の中でも、原料を金属スクラップに依存する電炉メーカーは、静脈産業と動脈産業をつなぐ最も重要な立ち位置にいます。今回はこの電炉メーカーが置かれている環境を整理・分析した結果、電炉メーカーに悪影響を及ぼす喫緊の課題として、金属スクラップの「規格の運用ルール未整備」と「選別技術の適用遅れ」の2点があることを明らかにしています。

これらの課題について、これまでの分析と、海外事例との比較をしたうえで、金属素材業界がとるべき施策について「規格の運用ルールの厳格化」と「先進技術導入による付加価値向上」を提言しております。
(Oil Gas & Chemicals / Mining & Metals Sector Vol.18 2018年9月発行)

【目次】

  • はじめに
    欧州は2010年より環境負荷低減と経済成長を両立させる仕組みとしてサーキュラーエコノミー(循環経済)を促進させている。この施策は環境負荷低減と経済成長という一見相反する2つの目的の両立だけでなく、新興国との価格競争を避け静脈産業が官民と一体となった競争戦略としての意味合いもある。
    日系企業が海外で戦っていく上で動脈面を重視した戦略だけでは厳しい戦いを強いられることが予測され、今後は、静脈面も含めた戦略構築が求められることは間違いないであろう。
  • 静脈産業の現状・動向
    静脈産業のバリューチェーンと静脈産業の企業規模比較、国内主要金属スクラップ市場のマテリアルフローから、静脈産業の現状を見ていく。
  • 電炉メーカーの置かれている環境
    金属スクラップ市場において、電炉メーカーは最大消費量を誇るエンドユーザーであり、言うなれば金属産業の動脈と静脈を繋ぐ重要な「繋ぎ目」の役割を担っている。
    この静脈産業の要となる電炉メーカーの置かれている環境を、PEST分析を活用して整理していく。
  • 海外事例から見る示唆
    電炉メーカーのPEST分析によって見えた課題に対して、海外での取り組み事例を見ていき、今後の電炉メーカーや金属スクラップに期待されることを考察していく。
  • 金属スクラップ市場への提言
    これまでの課題分析や欧米との比較により、日本の鉄鋼業界全体として取るべき施策を提言する。
  • おわりに

※同業企業・学生の方のお申込みはご遠慮いただいております

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