ナレッジ
Future of Mining
鉱業業界に求められる環境対応とデジタル化への取組み
日本の鉱業業界の事業変化と、企業に求められる取り組みを事例とともに論じます。
鉄鋼・非鉄金属業界向け Newsletter「Next Stage」Vol.19
Future of Mining
本号では「Future of Mining」と題し、Deloitte Globalの調査・レポートを基に鉱山資源開発における事業環境の変化と海外資源会社の先進技術活用事例を紹介し、鉱山開発における将来像及び日本企業へ向けた提言を行いました。
鉱業における事業環境の変化については「世界的な環境意識の高まり」、「労働災害低減に向けた取り組みの強化」、「紛争鉱物の規制拡大」、「優良鉱山の減少」の4つが挙げられます。これらの変化により、耐環境性・安全性のための投資やサプライチェーンの透明性確保が一層要求されています。
このような環境の中、競争力の創出・維持を目的として、海外資源会社ではデジタル技術などの先進技術の活用が始まっています。本号ではIT活用をリードする企業の例としてRio Tinto社の事例取り上げました。
さらに、Deloitte Globalが描くデジタル技術を取り入れた鉱山開発の将来像「Future digital mine」について論じ、最後にこのような環境下で日本企業がとるべきアプローチの1つとして「オールジャパン・デジタル鉱山」を提案しています。(Oil Gas & Chemicals / Mining & Metals Sector Vol.19 2019年2月発行)
【目次】
- はじめに
近年、世界的な環境意識の高まりやITの進歩などを受け、自動車や半導体といった産業において、使用される資源増は増加すると予想されている。一方で世界的な鉱物資源市況は2000年以降鉱物価格が急騰するなど、鉱物資源市況は需給バランス以外の様々な要因が絡み合い、市況動向を見通すことが難しい。これらの課題に対して、海外資源メジャーをはじめとする鉱山事業者は、ITなどの先進技術を適用することで対応していると見られる。本稿では、Deloitte Globalの調査及び発行レポートを基に、鉱山資源開発における事業環境の変化及び、先進技術適応事例を紹介するとともに、鉱業業界における今後のあるべき姿を論じる。 - 鉱業の置かれる環境変化
鉱業業界においては事業環境の変化を迎えており、操業コストの増加や生産性の悪化を招いている。ここでは、4つの環境変化を紹介する。
1.世界的な環境意識の高まり
2.労働災害低減に向けた取り組みの強化
3.紛争鉱物の規制拡大
4.優良鉱山の減少 - 海外資源メジャーの先進技術の適用事例
事業環境の変化に対応するため、海外資源メジャーは先進技術の活用に取り組んでいると窺える。Deloitte Globalの調査に基づき、鉱山開発のバリューチェーン上の各アクティビティにおいて、資源メジャーがどのような先進技術を活用しているかを事例を紹介する。 - デジタル化に向けた取り組み
資源開発において、ITの活用で鉱業業界をリードしている企業の事例とともに、鉱山運営デジタル化推進の取り組みを紹介する。 - 鉱山の将来像
鉱業業界におけるデジタル化は黎明期にあるといえる。そこで、将来の鉱山開発におけるデジタル化はどうあるべきかを論じる。 - 鉱業業界に関わる日本企業に向けて
これまで、鉱業・資源開発におけるマクロな事業環境変化及び、海外資源メジャーを中心とした先進技術の活用事例を紹介した。最後に、非資源国であり、鉱物資源調達先の大部分を海外アセットに頼らざるを得ない日本企業に求められることを論じる。 - おわりに