調査レポート

2024年グローバルコーポレートダイベストメント調査

不確かな状況で可能性を切り開く新たな力

本調査レポートはダイベストメント(事業売却)の最新トレンドとともに、その企業成長における役割の変化について取り上げています。サステナブルな成長ステージに向かうため「事業ポートフォリオの見直し」や「ノンコア事業の切り離し」が戦略等の一つとして検討されることが多いですが、それらを実現する手段として「ダイベストメント」は有効な打ち手の一つとなり得ます。

本調査レポートは、2024年にデロイトがグローバルで調査・執筆・発行をした「2024 Global Corporate Divestiture Survey」の日本語版です。タイトルにも使われている「Divestiture」(日本語版では「ダイベストメント」として邦訳)は、会社の株式を売却するシンプルな取引ではなく、会社の中の事業の一部や子会社を分離/切り出して(Separation/Carve out)、売却(Divestment/Divestiture)するような取引の事を指しています。

日本では「事業売却」という言葉が最も近い用語かもしれません。このような事業の分離を伴う取引に関する調査レポートがグローバルで調査・発行されるという事は、この類の取引の特殊性・複雑性を示唆するものでもあり、実務上においても一般的なM&Aとは異なる要素を多分に含んでいます。

本調査レポートにおいては、売り手の約半数が「ダイベストメントを決定してから契約を締結するまでの期間が約7カ月から12カ月である」という調査結果になっています。日本においては「すり合わせ」「合意形成」を重要視し、意思決定を丁寧に行う背景があることから、場合によってはさらに期間を要する可能性もあります。この期間の長さは「ダイベストメント」の特徴の一つといえるかもしれません。取引対象となる事業範囲・地域等が広範に及ぶ場合には、契約締結後の実際の分離・切り離し実務にさらに期間を要します。それだけにダイベストメントに向かうための準備は重要であり、準備が不十分であったり、緊急対応的にダイベストメントを実施したりすると、対象事業がもつ本来の価値を棄損してしまう事にもなります。

本レポート内においては、ダイベストメントを進めるにあたって5つの重点領域が整理されています。

2024年グローバルコーポレートダイベストメント調査[PDF, 2.66MB]

何に重点的に取り組むべきか

  1. ポートフォリオの見直しとダイベストメントへの準備を早めに行う
    ダイベストメントの可能性についてポートフォリオの個々の事業を少なくとも年2回戦略的に評価している回答者の割合は60%となり、2022年の調査結果(55%)からわずかに増加しました。
  2. 取引に関係する社内のステークホルダーの一体化と調整を行う
    半数を超える回答者が、現在ステークホルダー間の調整は適切に行われていると考えていますが、回答者の約3分の1は、直近の取引の完了に予想以上の時間がかかった原因のひとつとしてステークホルダー間の調整を挙げています。
  3. 分離コストと期待を管理する
    回答者の多く(89%)が、ダイベストメントを実行するためにダイベストメント対象事業の収益の少なくとも4%のコストをかけると回答し、半数を超える回答者が収益の少なくとも6%のコストをかけました。より複雑なクロスボーダーのダイベストメントでは、収益の20%から25%ものコストがかかる場合があります。
  4. テクノロジーを積極的に利用する
    自社が「テクノロジーに精通している」または「テクノロジーに非常に精通している」と回答した割合は経営幹部層以外では63%だったのに対し、経営幹部層では50%を下回りました。しかしながら、現在の備えという点で、テクノロジーに関する精通度や成熟度を向上させることはダイベストメントの結果改善に役立つということに回答者の大多数(86%)が同意しています。
  5. 真の価値創造の可能性を求める
    ダイベストメントの準備ができている企業は、買い手、ダイベストメント対象の事業、そして企業そのものといったあらゆる面で、価値創造を見出していると考えられます。調査では3分の1を超える回答者が、直近のダイベストメントの完了に予想以上の時間がかかった主な理由のひとつとして、事業の価値創造の機会の準備に時間がかかったことを挙げました。

ご関心がおありの方は、ぜひ、当ページよりレポートをダウンロードし、詳細をご参照ください。

※本レポートはDeloitte Global が2024年3月に発行した内容をもとに、デロイト トーマツ ファイナンシャル アドバイザリー合同会社が翻訳したものです。和文版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先します。

原文(英語)は下記からご覧いただけます。
2024 Global Divestiture Survey 

お役に立ちましたか?