事例紹介

地方創生のための事業プロデューサー派遣事業

事業実施の全体像(平成31年3月時点)

「地方創生のための事業プロデューサー派遣事業(平成28~30年度)」(本事業)では、新規事業創出の専門人材「事業プロデューサー」を公的機関等に派遣・常駐させ、地域が保有する技術力や知的財産を地域の課題に根ざした事業の中で活用することにより地方創生を促進してきました。有限責任監査法人トーマツが採用した「事業プロデューサー」は、デロイト トーマツ グループの組織力や金融機関を含む地域ネットワークを構築・活用しながら、事業の構想、ニーズとシーズのマッチングから事業資金調達、販路開拓まで含めた事業環境創出活動を支援し、地域経済活性化に貢献しました。本稿は、特許庁ホームページ本事業を掲載している事実施報告からポイントを抜粋したサマリ版として、本事業の成果事例の分析を報告するものです。

派遣されている事業プロデューサーおよび派遣先機関

28年度10月より順次派遣を開始し、同年度12月に埼玉、静岡、北九州の3か所への派遣が始まり、平成31年3月の事業終了とともに派遣も終了しました。その間、次の3名の事業プロデューサーが、派遣事業に従事してきました。

鈴木 康之氏 派遣先:一般社団法人 さいしんコラボ産学官(埼玉県)
増山 達也氏 派遣先:公益財団法人 静岡県産業振興財団(静岡県)
近藤 真吾氏 派遣先:公益財団法人 北九州産業学術推進機構(福岡県)

 

地方創生のための事業プロデューサー派遣事業 事業実施の全体像(平成31年3月時点)(PDF, 375KB)

事業成果の全体像

派遣開始からの約2年半の間、各地で地道な活動を続けた結果、3か所とも順調に成果があがりました。
事業実施1年目の平成28年度ははじめの1、2カ月は事業の紹介、地域との信頼関係構築のためのネットワーキングに注力しており、活動期間が実質的には半年未満でもあったにも関わらず、2件の成功事例を創出することができました。

2年目の平成29年度には事業プロデューサーの活動が定着し、1年間をフルに企業への伴走支援に充てることができたため、12件もの成功事例を創出しました。

3年目の平成30年度には、開発に時間を要していた技術開発を伴う案件等が花開き、2年目同様に12件の成功事例を挙げることができました。

 

【個別案件】成功事例の出具合
28年度は地元での信頼関係構築、29年度は多数の成果、30年度は仕上げの年

各年度の事業化・出口の成功事例

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成功事例のイメージ

企業の成長といっても、新商品の開発、売上拡大、活動分野・地域の拡大、知名度の向上、従業員の増加など様々な観点があります。本事業における成功事例の必須とした条件は、知財を使って製品化しただけではなく実際に売上に繋がったか、事業プロデューサーの支援によって経営が次のステージに上がるくらいのギアチェンジを起こすことができたかを重視した。

 

【個別案件】成功とは?
「プロデュースした感」であり、そのイメージは通常の経営改善ではなく、ギアチェンジ

「プロデュースした感」のイメージ

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支援シーズのポートフォリオ構築の考え方

限られた事業期間内にいかに多数の、かつ質の高い成功事例を生み出せるかは、どのようなシーズをどれくらい追いかけるかの戦略で決まります。

出口に近いシーズ、遠いシーズ、どちらかだけを追いかけるのではなく、一つ一つのシーズを見極め、結果が出せるスピードとの兼ね合いで、追いかけるシーズの種類をバランスよく考えることが重要でした。

 

追いかけるシーズのポートフォリオ
結果が出せるスピードとの兼ね合いで、追いかけるシーズの種類を使い分ける

限られた事業期間内での追いかけるシーズの使い分け

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担当事業プロデューサー

鈴木  康之(派遣先:さいしんコラボ産学官)

専門性・実績

  • 企画部門を中心とした行政経験、事業運営実績を豊富に有する。
  • 産業技術総合センター元副センター長、創業・ベンチャー支援センター元所長。組織改革、新規事業の立ち上げ事業の強化に取り組む。
  • 中小企業が開放特許を活用して新商品を開発し、自治体等支援機関が事業化をサポートする“さいたまモデル”を確立、全国へ展開。

 

担当事業プロデューサー:鈴木  康之(派遣先:さいしんコラボ産学官)

増山 達也(派遣先:静岡県産業振興財団)

専門性・実績

  • 地域金融機関における審査や営業、大手企業での銀行立ち上げ等の知見を活かし、地方でのビジネス開発に従事。県内事業者の動向やマッチングに関する豊富な知見を有する。
  • 会社経営者として全国に拠点を有する組織を経営し、地域でのビジネス開発や組織運営に強力な専門性を有する。

 

 

 

担当事業プロデューサー:増山 達也(派遣先:静岡県産業振興財団)

近藤 真吾(派遣先:北九州産業学術推進機構)

専門性・実績

  • 大手自動車会社にて様々な研究開発、国家プロジェクト等に従事。新規事業開発にも長年携わる。
  • 知的財産部にて、発明発掘等の出願業務や特許調査業務に従事。
  • 多数の新規事業開発経験や特許業務経験からビジネス感覚の鋭さ、技術の目利きに優れている。
担当事業プロデューサー:増山 達也(派遣先:静岡県産業振興財団)
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