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新しいテクノロジーを活用した未来の労働環境

Future of Work:テクノロジーを活用した働き方の未来 第5回

仕事、労働力、労働環境を含むテクノロジーにおける仕事の未来は、変革の最中にあります。テクノロジーやビジネスのリーダーは、どのように戦略、設計、コラボレーションを行えばよいのでしょうか。今回はテクノロジーを活用した未来の労働環境について具体的な考え方を説明します。

Workplace:場所中心から人間関係中心へ

仕事(業務)と労働力は、柔軟な労働環境によって進化します。現在の労働環境が固定化されているのであれば、コラボレーションを向上させ、各部門の労働者が協業できる新しいテクノロジーを活用した仮想的な労働環境に進化させる必要があるかもしれません。

必ずしも対面での接触やオフィスが不要といっているわけではありません。実際、テクノロジーチームと業務チームは、これまでよりも物理的な距離が近くなる必要があるかもしれません。ビジネス価値の共同創造を推進するためのコラボレーションとイノベーションを促進するために、柔軟な労働環境を設計することが必要です。柔軟な労働環境を検討する際には、リーダーは働く場所、コラボレーションのしやすさ、組織カルチャーについて意識することが重要です。

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コラボレーションしやすい場の提供

業務チームとテクノロジーチームのコラボレーションは、役割、作業範囲、活動内容に応じて、バーチャルでも対面でも行うことができます。リーダーはコラボレーションを通じて、チームワークやコラボレーションを促進する場の重要性を感じながら、個人ワークの必要性を改めて認識することになるでしょう。

リーダーは、多様性などを考慮しながら柔軟でバーチャルな労働力を活用しながらイノベーションを生み出せる場とはどのようなものか、慎重に検討する必要があります。

 

生産性、創造性、価値を向上させるコラボレーションツールと実践

ビデオ会議、オンラインコラボレーションプラットフォーム等のツールは、グローバルベースでシームレスにコラボレーションする組織にイノベーションをもたらしました。今後はテクノロジーの進化に伴い、コラボレーションツールは不可欠なものとなり、組織全体がそのツールに依存するようになるかもしれません。リーダーは、チームのニーズを先取りし、コミュニケーションを促進させ、より有意義なコラボレーションを可能にするツールを常に取り入れ、最終的にチームが新しい価値を生み出すことが求められます。

コラボレーションを促進するためには、実践も重要です。例えば、デイリースタンドアップミーティングやスクラムミーティング、継続的な改善とフィードバック等のアジャイル手法は、コラボレーションを促進するのに効果的です。また、ペアリング、ローテーションプログラム、コンフリクト解決や成長に向けたマインドセットのためのトレーニングも、リーダーが重視すべき実践項目です。

 

魅力的な組織カルチャーの創造

優秀な人材を継続的に獲得し、維持するためには、組織に魅力的なカルチャーが必要です。グローバルCIO調査では、組織に深く根ざしたカルチャーが、デジタルの先駆者的な組織にとって重要な差別化要因であることが示されました(1)。しかし、2019年のデロイトグローバル人的資本動向調査では、多くの参加者が有意義な仕事の提供 (47%) やポジティブな労働環境の維持 (41%) など、組織カルチャーや経験に関連する属性について、組織を 「やや効果的」 または 「効果的ではない」 と評価しました(2)

リーダーは、望ましい成果を実現するために、企業カルチャーを育成・管理することが求められます。Future of workにおいて、特にインタラクティブな業務プロセスが必要となるテクノロジー領域では、コラボレーション、共感、創造性などのカルチャーがより重要になる可能性があります。従業員、特にミレニアル世代とZ世代からの圧力もあり、社会的理念が、組織カルチャーにおいて重要な役割を果たすようになってきています。ある調査に参加したCIOの42%は、従業員からのプレッシャーが大きな動機付けになっていると回答しています(3)

ビジネス戦略をサポートする組織カルチャーを開発する際、リーダーは、現在の組織カルチャーが新しいビジネス戦略と一致しているか、特定のポリシーが成長を妨げていないかを確認することが必要となります。

今回は、新しいテクノロジーの活用の観点から、未来の労働環境の在り方の変化を述べました。次回は、Future of Workにおけるビジネス戦略の考え方についてご説明します。

 

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