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調査レポート
デロイト グローバル ブロックチェーンサーベイ2019
Blockchain gets down to business
ブロックチェーンに精通した1,300名を超えるエグゼクティブを対象に、デロイト グローバル ブロックチェーンサーベイ2019を実施した結果、ブロックチェーンの実用化と成熟が進展している状況が明らかになりました。ユースケースやアプリケーションは多様になり、より広範囲なセクターに導入されています。
ブロックチェーン導入の本格化
ブロックチェーンの最初の提唱者たちがこのテクノロジーの可能性を喧伝し始めたのは10年以上前のことです。以来、ブロックチェーンにいかに対応すべきかについて、多くの業種のリーダーたちは確信を持てていないようでした。しかし2019年に入って、見誤りようのない事象が出現しているようです。ブロックチェーンは現実であり、様々な業種やユースケースにおけるビジネス上の課題に対する実際的なソリューションとして活用できる、という共通認識が生まれつつあります。これは、このテクノロジーの長年にわたる信奉者が抱く、はるかな未来へのビジョンではありません。テクノロジーベースのソリューションに慎重なリーダーたちでさえ、ブロックチェーンが持つ変革的な重要性の大きさを認識し始めています。
ブロックチェーンは、その潜在力を完全に発揮したと言える段階にはまだ達していないものの、デロイトのグローバル ブロックチェーンサーベイ2019の調査に参加したエグゼクティブは、新しく、進化し続けるユースケースについて自信を示しており、 ブロックチェーンを、多くのビジネスプロセスを可能にするコネクティングプラットフォームである、という見方を持っています。前回のサーベイ以降、回答者によると、新たな実用化に弾みがつくにつれて、企業によるブロックチェーン投資額はほとんどのセクターで増加しています。
若い新卒者が働き始めた後、直ちに期待を修正するように、エグゼクティブも、ブロックチェーンの利用可能性についての見解が時間と実用化への検討を経て、有望なもの、そして現実のものへと洗練され、定義されるのを見てきました。我々が2019年に目の当たりにしているのは、有能だが発展途上のテクノロジーだったブロックチェーンがより洗練され成熟したソリューションへと進化を続け、「破壊」という当初の約束を果たす態勢を整えた姿です。
エグゼクティブが直面している問題はもはや、「ブロックチェーンは機能するか?」ではなく、「『我々』はどのようにブロックチェーンを活用できるか?」なのです。
概要およびサーベイ方法
本サーベイは、2019年2月8日から3月4日にかけて、主にブロックチェーンテクノロジーに対する姿勢や投資の全般的な状況についての詳しい知見を得るためのリサーチとして、デロイトがグローバルで実施しました。本文書では、ブロックチェーンをめぐる様々な意見や認識、そして将来発生し得る影響に関する本サーベイの主要部分を公開しています。本サーベイで共有される情報は、収集されたデータや知見全般の一部を要約したものです。
本サーベイは、世界12カ国(ブラジル、カナダ、中国、ドイツ、香港、イスラエル、ルクセンブルク、シンガポール、スイス、アラブ首長国連邦、イギリス、米国)の、米国については年間収益5億ドル以上、その他の国については年間収益1億ドル以上の企業のシニアエグゼクティブ1,386名を対象としています。回答者は、少なくともブロックチェーンを幅広く理解し、自社の投資計画を把握し、それに関して意見を述べることができる方々です。
2019年2月18日から3月8日にかけて、新興のブロックチェーンディスラプター31社のエグゼクティブを対象とした、ブロックチェーンテクノロジーに対する姿勢や投資状況についての調査も実施しました。この調査の回答者が所属する企業の年間収益は、すべて5千万ドル未満でした。
2019年サーベイのハイライト(抜粋)
昨年のサーベイ(Breaking Blockchain Open)ではブロックチェーンの導入が転換期を迎えつつあることが示されました。 「ブロックチェーン・ツーリズム」や探求の段階から、ビジネスでの実用化段階への移行の契機が到来しつつありました。ブロックチェーンの発展を主導していたのは金融サービス、より具体的には金融テクノロジー(フィンテック)セクターでした。他の業界は、ブロックチェーンによるソリューション導入のコストと労力を正当化できるくらいの投資利益率をもたらすユースケースを慎重に探していました。
現在でもフィンテックがブロックチェーンの主導役であることに変わりはありません。しかし、ブロックチェーンに関する取り組みを拡大、多様化させているセクターや組織はますます増えています(テクノロジー、メディア、通信、ライフサイエンス、ヘルスケア、政府など)。しかし、このような進展にもかかわらず、ブロックチェーンの上昇下降サイクルが初めて一巡した今、前進は抑制的であり、当初のブロックチェーンへの熱狂を経て、状勢に変化が見られます。
明るい点は、投資意欲が引き続き強いことです。今回のサーベイでは、今後12カ月間に新規のブロックチェーンの取り組みに500万ドル以上を投資する予定の回答者は40%(前回より1ポイント増加)と安定的に推移しています。また、ブロックチェーンテクノロジーは自社にとって極めて優先度が高いと述べた回答者は53%と、昨年より10ポイント増加しました。さらに、ブロックチェーンのユースケースに説得力があると考える回答者は、昨年の74%から83%に増えています。回答者のブロックチェーンに対する全般的な姿勢は有意に強くなっていることがわかります。
※原著:「Deloitte’s 2019 Global Blockchain Survey - Blockchain gets down to business-」
※注意事項:本誌はDeloitte Insightsが発行した原著を有限責任監査法人トーマツが翻訳し、2019年8月に発行したものです。和訳版と原文(英語)に差異が発生した場合には、原文を優先します。
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