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米国金融システム不安のシナリオ
リスク管理戦略センター(CRMS)からの2023年3月のインサイト
有限責任監査法人トーマツ リスク管理戦略センターは、2023年3月に「米国金融システム不安のシナリオ」と題した資料を公開しました。詳細については、PDFをダウンロードしてご覧ください。
■本資料のサマリー
- 2023年3月中旬に、米国の中堅地方銀行の破綻・清算が続いた。いずれも暗号資産関連企業やスタートアップ企業との取引が多い銀行であり、長期金利上昇による含み損拡大と、これに伴う風評等による預金流出が直接の原因。
- 米国の政府中銀は、一部破綻銀行の預金全額保護と、FRBによる銀行向けの新たな資金供給プログラムの実施を決定、また米国の金融システムは健全であるとの声明を公表することにより、危機の伝染を防ぐ手立てとした。
- 本金融システム不安の背景は、住宅ローン担保証券などの信用リスク顕在化に起因する2008年の世界金融危機とは異なり、金利上昇による銀行保有米国債等の含み損の拡大、想定以上に足の速い顧客預金流出にあり、各銀行のALM運営や資本戦略にも課題があったことが背景。
- 破綻・清算となった中堅地方銀行固有の課題でもあり、リスク管理の進んだ大手金融機関に同様の脆弱性があるとは考えにくく、この金融不安は数週間でいったん沈静化するとみる。
- ただし、他の同様のリスクをはらむ中堅地銀等への波及は考えられるほか、税金を投入しない預金全額保護や破綻処理にはおのずと限界もある。また今後他の銀行が流動性確保のためによりハイリスクな資産を売却することでリスク資産価格が急落するなど、危機拡大のシナリオも考えられる。この米国金融システム不安の動向には予断を持たず、想定されるシナリオに基づいた予防的リスク管理が求められよう。
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