最新動向/市場予測

経営環境の変化に応じた取締役会の課題

~時価総額上位100社の「取締役会の実効性分析・評価」の開示分析~

2015年6月に「コーポレートガバナンス・コード~会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のために~」(以下、「CGコード」という。)が適用され、早3年が経過した。「補充原則4-11-3 取締役会の実効性分析・評価」は日本企業に馴染みがないものであったが、2017年7月時点では71.3%の企業がコンプライしており(東京証券取引所調べ)、日本企業にとっての一定のプラクティスが形成されてきたものと推察されることから、当該開示書類を分析し、日本企業の取締役会が認識している課題傾向を解説する。

本稿のポイント

CGコードが導入され、適用初年度から取締役会の実効性分析・評価を実施していた多くの企業にとっては、3回目の取締役会の実効性分析・評価となる。初年度においては課題を認識することに主眼を置き、2年目においては、初年度に認識された課題に対する改善状況を確認することに主眼を置いてきた企業も多かったのではないだろうか。

今回の調査結果では、時価総額上位100社のうち多くの企業が、企業価値の向上の観点から取締役会における「戦略議論の拡充」に課題を認識しており、この議論を有意義なものとするために資料及び説明の明確化や、社外役員等に対する議題内容の事前説明といった運営・サポート体制もあわせて改善しようとしている傾向がうかがえた。

取締役会の実効性分析・評価を実施するにあたっては、他社が開示している課題の事例なども参考にしながら、自社の取締役会の目指す役割を踏まえた現状の課題を「仮説」として設定し、評価項目に織り込むことで、形式的な対応ではなく、より「実効性」のある取組みにつながるものと思われる。

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