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グローバル競争を勝ち抜くコスト構造改革
コスト構造を左右する6つのレバーから戦略的コスト構造改革の実現を目指す
コスト構造を左右する6つのレバー:ガバナンス設計、外部支出管理、要求管理、業務提供モデル、プロセス最適化、組織デザインの観点から戦略的なコスト構造改革の実現を目指す。
グローバルでの激しい競争環境に置かれている日本のグローバル企業各社は、欧米トップ企業との収益力の差を取り返すべく、様々なコスト構造改革に取り組んできた。一方で、コスト構造改革は掛け声はかかれども痛みを伴う活動のため、多くの抵抗を生みながらも結果として期待していた効果を出すことは容易ではない。欧米と異なり、日本では法規制によりコスト構造に重くのしかかる労働者の解雇が非常に難しい。また、欧米型の成果主義給与制度や職務給与制度ではなく、依然として年功序列制度が一般的であり、コスト構造改革を推し進めるインセンティブは大きくない。このような背景から、日本企業においては「連続赤字」といった明らかな非常事態でない場合、「常時のコスト構造改革」に成功する企業は多くない。
デロイトがグローバルで調査しているコスト構造改革に関するサーベイ結果(Global Cost Survey)でも、日本企業はコスト削減の目標設定がアジアや欧米企業に比べて低いという事実が明らかになっている。日本企業の取組は部門最適や地域最適に陥ってしまうことが多く、包括的なコスト削減のメカニズムや体系的な進め方に大きな課題があると言える。
故に、コスト構造改革で成果を出すためには、日本企業ならではの難しさを理解した上での戦略的なアプローチと成果につながるプログラムマネジメントが必要となる。
大規模コスト構造改革の推進においては、以下に示す6つのレバーを適切にコントロールしていく必要がある。
戦略的コスト削減の6つのレバー
改革初期段階で、コスト構造改革の道のりに目途をつけて、グランドデザインを描いておくことも重要である。コスト構造改革の成果を実感できるよう、改革効果に至るスピード感を維持しながらも、改革効果の大きい領域を「やりきる」ための綿密なプランニングを進めていくことが重要となる。
また、本当の意味での筋肉質な経営基盤の実現には、目先のコスト削減に留まらず、コスト構造改革を常態化するためのガバナンスや制度・ルール等の設計が必要である。定点的なモニタリングなしには、気づいたときには元通り、という事態にもなりかねない。
日本企業のコスト構造改革は外部購買費や物流費の削減など、個別施策や部門に留まるがゆえに、短期的な取組となり、効果も尻すぼみに終わってしまうケースが多い。一方で、大きな成果を実現している成功企業は、短期施策で取組をドライブしつつ、長期施策を着実に進めているケースが殆どである。弊社は数百を超える組織再編の経験の中で、企業が筋肉質な組織体制へ変革し、中長期的なコスト削減を実現する姿を数多く見てきた。更に、コスト構造改革に関して、グランドデザインから個別施策の計画・実行まで幅広い支援経験を有しており、5年超という長期にわたるコスト構造改革の常態化の支援経験も複数あることから、活動を継続し、着実に効果を創出する難しさを理解した上でのサービスを提供している。
コスト構造改革のフェーズドアプローチ
著者
金田 あづき / Azuki Kaneta
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 マネジャー
新卒でデロイトトーマツコンサルティングに入社、一貫してM&A・組織再編に関連するプロジェクトに従事。
製造業を中心に様々な業界に対し、M&A・アライアンス/組織再編/全社コスト構造改革/BPO活用アドバイザリー等の幅広い経験を持つ。
(2020.10.2)
※上記の社名・役職・内容等は、掲載日時点のものとなります。
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