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2018年度 オンタリオ州予算案ハイライト

Canadian tax alert

2018年3月28日

 財務大臣のチャールズ・ソーサは、2018年3月28日午後の立法議会において、2018年度のオンタリオ州予算を発表した。今年度の予算は、医療、育児、教育、在宅医療、メンタルヘルスを重視した赤字予算となっており、以下はその要点である。なお、法人所得税率は昨年度から変更はない。

 

I. 財政および経済の見通し

  • 2017年度の黒字額は、6億ドルとなる見込みである。
  • 2018年度は67億ドルの赤字が見込まれており、今後5年も赤字となる見通しである。
  • 2018年に雇用総数は1.7%増加し、その後2019年から2021年にかけては年平均0.9%で増加する見込みである。それに伴い2021年には、失業率が5.4%まで低下することが見込まれている。
  • 実質GDP成長率は、2018年の2.2%から2021年には1.7%に減少する見込みである。


II. 法人税の改正

  • 2018年よりオンタリオ州のSurtax(税率の上乗せ部分)が廃止され、以下のような所得税区分と税率を適用することが提案されている。

提案されている所得額区分

提案されている税率(Surtaxは廃止)

 $0 to $42,960

5.05%

$42,960 to $71,500

9.15%

 $71,500 to $82,000

11.00%

$82,000 to $92,000

13.50%

$92,000 to $150,000

17.50%

$150,000 to $220,000

19.00%

$220,000 and over

20.53%

 

  • 200ドルを超える税制適格寄付について、還付無しの税額控除であるOntario charitable donations tax credit(OCDTC)の控除税率を増加させ、17.5%が適用されることが提案されている。200ドルまでの寄付については従来通り5.05%の控除税率が適用される

     

III. 法人税の改正

  • 予算は、オンタリオ研究開発税額控除(ORDTC)の控除率を3.5%から5.5%に引き上げることを提案している。2018年3月28日以降に発生した適格研究開発費が対象とされ、ORDTCの資格を既に取得している企業の1百万カナダドルを超える支出が対象となる。
  • 2018年3月28日以降に発生した適格研究開発費について、オンタリオ・イノベーション税額控除 (OITC) を強化することが提案されている。 企業がOITCの適用資格を有し、総収入に対する研究開発費の比率が:
    • 10%以下の場合は、会社は引き続き、8%の率でOITCを利用できる
    • 10%超から20%未満の場合は、会社は総収入に対する研究開発費の比率に応じて、8%から12%の間の率でOITCを利用できる
    • 20%以上の場合は、会社は12%の率でOITCを利用できる。
  • オンタリオ州政府は、オンタリオ州の知的財産を商業化するための税制優遇措置の有効性と実現可能性を模索している。
  • 予算は、個人、慈善団体、非営利団体、プライベート信託、パートナーシップ、およびカナダ人支配企業のみが免除対象となるように、従業員の健康税免除に関する中小企業控除(SBD)の適格基準に従うことを提案している。さらに、政府は、SBDの算定式に関連した連邦の租税回避行為防止ルールを、Employer Health Tax Act(雇用者健康税法)に組み込む予定である。法案が通過すれば、これらの提案された変更点は2019年1月1日から発効する。
  • オンタリオ・インタラクティブ・デジタルメディア税額控除の適用範囲を拡大し、放送業者によって購入又はライセンスされ、放送業者のウェブサイトに埋め込まれた映画やテレビのウェブサイトも適用対象に含めるようTaxation Act, 2007の改正が提案されている。

 

IV. 連邦税改正と並行する税制改正

  • オンタリオ州政府は、高い税率を適用される個人が、低い税率を適用される家族に所得を分散させることで、税金の支払額を抑えるIncome sprinklingと呼ばれるスキームについて連邦予算と同様のルールを自動適用することを提案している。具体的には、現在提案されている連邦改正案が承認されば、一部の例外を除いて、2018年度から、事業活動していない成人家族が受け取る分割所得に対して20.53%の個人所得税を適用する連邦改正を、自動的にオンタリオ州税にも並行して適用することを提案している。
  • オンタリオ州予算では、2018年連邦予算において提案されている受動的投資所得の取り扱いと同様の規定を並行して適用することが提案されている。
  • オンタリオ州予算では、提案されている連邦改正案が承認されれば、株式の買い戻し取引に適用される特定のストップ・ロス・ルールと同様に、「合成持分協定」および「証券貸付協定」を用いた損出しによる取引を規制する連邦改正を自動的に並行して適用することを提案している。

 

V. その他の税制改正

  • オンタリオ州政府は、大麻の合法化に向けた法整備の一環として、オンタリオ州において販売された大麻に係る連邦物品税の75%をオンタリオ州が受領することに関する協定を連邦政府と締結することを目指している。
  • タバコやアルコール飲料等の一定の財の取り扱いと同様に、大麻が合法化された際には、個人消費用の大麻製品の購入には、オンタリオ州では13%のHSTを適用する予定である。
  • オンタリオ州予算では、特定のパートナーシップ及び信託を通じた特定の非登録譲渡から生じる土地譲渡税を、譲渡から30日以内ではなく、当該譲渡が生じた暦四半期の末日から30日以内に支払うことが提案されている。
  • 2017年予算で公表した通り、葉巻を除き、2018年からオンタリオ州のタバコ税はタバコ1本あたり又は1グラムあたり2セント増加する(16.475セントから18.475セントに増加)。
    この増税は2018年3月29日の午前0時1分から有効となる。

 

本内容は、デロイトカナダによって配信されたCanadian tax alert の日本語参考訳です。原文(英語版)は
こちらをご参照ください。

詳細な情報はオンタリオ州のウェブサイトをご参照ください

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