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2019年度 ブリティッシュ・コロンビア州 予算案ハイライト

Canadian tax alert

2019年2月19日

    財務大臣のキャロル・ジェームズは2月19日火曜日にBC州2019年予算を発表した。今回の予算はNDPが2017年に政権を取ってから2度目の予算となる。バランスの取れた予算であり、2019年~2020年にかけて若干の黒字を予定する予算となっている。

    当該予算にて説明されている経済の見通しと税務のハイライトは以下のとおりである。
 

経済見通し

    財務省による2018年のGDP成長率見積りは2.2%のまま変更はない。雇用と輸出は予想よりも好調であり積極的な投資も行われたものの、2018年の第1四半期の財務省が予想したように、年間を通じて住宅と消費がやや減速した結果となった。財務省の予想によれば今後の成長率は前回の予想よりも増加し、2019年が 2.4%(前回予想1.8%)、2020年が2.3%(前回予想2.0%)である。予想が上方修正された主要因は、最近合意されたカナダ、米国、メキシコ協定とLNG Canadaプロジェクトの最終意思決定によるものである。
 

個人所得税の改正

個人所得税の税率は変更無し
    2019年予算では、個人の所得税に適用される税率に変更はない。連邦税とBC州税の合計の最高税率を、アルバータ州、オンタリオ州と比較して下表に記載している。

連邦税と州税の最高税率一覧表

 

BC州

アルバータ州

オンタリオ州

通常の所得および利息

49.80%

48.00%

53.53%

キャピタルゲイン

24.90%

24.00%

26.76%

税制適格配当

31.44%

31.71%

39.34%

税制不適格配当

44.63%

42.30%

47.40%


新しいBC Child Opportunity Benefit
    現在の制度であるEarly Childhood Tax Benefitは6歳以下の子供にしか適用されないが、これが新しい制度であるBC Child Opportunity Benefitに置き換えられ、2020年10月1日以降18歳以下の子供に適用される。

    第一子は最大$1,600、第二子は最大$1,000、それ以降の子供は最大$800を受給できる。受給額は世帯所得が$25,000を超えると超えた額の4%減少していくが、いったん第一子で$700、第二子で$680、それ以降の子供で$680で減少が止まる。しかし世帯所得が$80,000を超えると、超えた額の4%が受給額からさらに減額される。例えば、子供一人の家庭の場合は所得が$97,500を超えると受給額がゼロになり、子供二人の家庭は所得が$114,500を超えると受給額がゼロになる。

他の個人所得税の改正
    州政府は個人所得税に関して以下を発表している。

  • Annual climate action税額控除(Carbon taxの影響を緩和するための税額控除)の最大額が徐々に増額される。現在は大人一人当たり$135、子供一人当たり$40であるが、2019年7月1日には大人$154.50、子供$45.50、そして2020年7月1日には大人$174、子供$51、2021年7月1日には大人$193.50、子供$56.50となる。
  • 現在Employer health taxと並行して適用されているMedical service planの保険料は、2020年1月1日に廃止される。
  • BC州の学生ローンの利息は、予算発表の日を以て廃止された。本改正は、学生ローンを負っている全ての者に適用される。
     

法人税改正

法人税率は据え置き
    BC州の法人税適用税率につき、2019年度予算では変更は盛り込まれなかった。2019年1月1日よりBC州で適用される連邦税・BC州税合算税率とアルバータ州、オンタリオ州のそれぞれ連邦・州税合算税率との比較は下記比較表のとおりである。

連邦税および州税合算税率

 

BC州

アルバータ州

オンタリオ州

一般に適用される税率

27.0%

27.0%

26.5%

製造業に適用される税率

27.0%

27.0%

25.0%

中小企業に適用される税率

11.0%

11.0%

12.5%


中小のベンチャーキャピタルにかかる税額控除施策の強化
    2019年予算では、中小のベンチャーキャピタルを通じた投資に対し適用できる税額控除適用枠が倍増する。2019年2月19日以降、当該投資スキームにかかる税額控除適用枠は12万カナダドルまで増加する。

    2019年予算では2019年2月20日以降、さらなる制度の刷新と強化が盛り込まれている。

  • 当該制度を適用可能な会社が税額控除を申請できる最大金額が10百万カナダドルに増額される。
  • メトロバンクーバーおよびビクトリア首都地域以外における制度適用対象会社として高度な商業化というファクターが追加される。
  • 当該制度の適用後2年間に既存ビジネスのスケールアップが見込まれる会社が制度適用対象中小企業、制度適用対象法人と認められる。
  • もし当該制度適用から3年後ではなく、2年後に適用を中止した場合、政府から要求される補填を会社が減額要請することが可能となる。
  • 非課税口座からなされた株式取得は税額控除として適格になり、また非課税口座への資金移動も認められる。

    2019年3月2日より対象会社が発行する転換株式を保有している場合には、その所有者も当該制度の適用可能性がある。

税額控除適用の拡大
    前述の内容に加えて、2019年度予算では、以下がアナウンスされている

  • 2019年1月29日に発表されたBC州のマイニングスルー税額控除の永続的活用が確認された
  • BC州の炭鉱開発税額控除を永続的に活用できにすることが提言された。
  • 2019年度起業家訓練プログラム等にかかる税額控除の利用期限の延長が提言された。
  • 新規炭鉱引当金の税額控除が一年延長され、2020年まで認められる。

売上税改正

    BC州売上税率(PST)とその免除についての改定は提案されておらず、これまで通り維持される。また、タバコ税についても改定は提案されていない。唯一、税率変更が提案されているのは自動車燃料税で、2019年7月1日以降、トランスリンクサービス区域の無鉛ガソリンと無鉛ディーゼルの自動車燃料税率が、1リットル当たり17セントから18.5セントに引き上げられる。

    その他、行政措置として、BC州Provincial Sales Tax Actに新しい規定の設定が提案されている。本規定により、BC州売上税を回収するにあたって、代理人または請求代理人を使用できるようになる。 納税者は、回収、申告および納税を行う請求代理人を指定できる。 この規定は、物品サービス税(GST)の規定とよく似ている。これにより、代理店と協業しているベンダーが、同様の方法でGSTとPSTの義務を合理化することが可能になると期待される。その他の技術的改正としては、小規模供給業者の適格性の条件、免税が文書化されていない場合に納税を確実にするための遡及的改正、および販売促進分配金の納税の時期の変更が挙げられる。

    本内容は、デロイトカナダから配信されたCanadian tax alert の日本語参考訳です。原文(英語版)はこちらをご参照ください。詳細な情報はブリティッシュ・コロンビア州のウェブサイトをご参照ください。

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