Posted: 02 Mar. 2022 5 min. read

【LGBT+座談会】個々の持つ「違い」を当たり前に認識できる組織へ

2021年12月14日開催

開催レポート

 

LGBT+を切り口に、デロイト トーマツ グループのリーダーとメンバーが想いを語り合う「Rainbow Table(LGBT+座談会)」第2回を開催(第1回のレポートはこちら)。

大久保 理絵(デロイト トーマツ グループ DEIリーダー/デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員)、山本 奈々(デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員)、上坂 健司(デロイト トーマツ コーポレートソリューション Human Resourcesディビジョンリーダー/職務執行者 パートナー)およびデロイト トーマツ内のAlly(*1)ネットワークである、Deloitte Tohmatsu Rainbow(*2)メンバーと共に、Allyを増やすにはどうしたらよいか、具体的なアクション、理想のインクルーシブな職場、社会とはどのようなものか、というテーマでディスカッションを行いました。

※所属・肩書・氏名などはイベント開催当時のものです。

(*1)Ally(アライ):LGBT+の理解者、支援者

(*2)Deloitte Tohmatsu Rainbow(DTR):デロイト トーマツ グループ内のEmployee Resource Groupの一つ。誰もが自分らしく輝ける世の中を創ることを目指し、LGBT+の活動を支持・支援する、全社的なAllyネットワーク

※画面左上から時計回りに、 大久保 理絵、山本 奈々、上坂 健司、竹川、天野

(以下、ディスカッション概要 ※一部抜粋、敬称略)

 

「違い」を「価値」に変えていくためのDiversity, Equity & Inclusion推進

大久保:以前に比べ「Equity」という言葉は浸透してきたかと思いますが、デロイト トーマツ グループでは、「One-size-fits-all」はなく、それぞれの「個」が価値発揮をできるようにという方針のもと、Diversity, Equity & Inclusion(DEI)の取り組みを推進しています(詳細はこちら)。

LGBT+に関しては、(1)インクルーシブな環境整備、(2)ネットワーキング&コミュニケーション、(3)ソーシャルインパクトという3つの観点から施策を推進しており、その取り組みの中に、Allyメンバーから構成される「Deloitte Tohmatsu Rainbow」(DTR)というネットワークがあります。

 

Allyネットワーク参加メンバーの想い

大久保:まず、AllyネットワークであるDTRの活動のきっかけ、想いについて教えてください。

- 竹川:海外留学中にLGBT+当事者の方と仲良くなり、抱えている悩みに触れ、Allyとしてサポートできることがないか考えるようになりました。

フィリピンに留学した際には、LGBT+当事者の先生から授業でLGBT+について教えてもらい、アメリカではLGBT+のパレードなどイベントにも参加しました。セクシャリティについてはオープンに話されない方も多いかもしれませんが、対話を通じて、当事者の悩みを理解し、Allyとして活動していきたいと強く思ったことが、DTRに参加するきっかけとなっています。

- 天野:DeloitteのAsia Pacificメンバー向けのオンラインイベントに参加したことが大きなきっかけです。日本からの登壇者が自身のデロイトにおけるカミングアウト・トランジションを経て、本当の自分でいられることの素晴らしさについて話し、全世界のメンバーから支持されている姿を見て、その登壇者が立ち上げたDTRに参加してみたいと思いました。また、私自身、メンタルに障がいを抱えており、マイノリティとして、より働きやすく、生活しやすい環境をつくっていきたいと考え、参加しています。

 

「違い」に「気づく」ことができるようになるために

大久保:デロイト トーマツ グループのHuman Resourcesディビジョンのリーダーを務める上坂さんに、Allyをどう増やしていけばよいかというところについて是非お伺いしてみたいと思います。

- 上坂:「多様性を受け入れる」ことは、簡単なようでとても難しいことだと思っています。単に上から理解をするようにと押し付けては駄目で、一人ひとりが「違い」の理解を深めていくことが重要です。

最初から100%の理解を求めるのではなく、少しずつ20%、30%のところから理解の部分を増やしていく必要があって、そのためには地道な草の根的な活動も必要と考えています。上からの一方的なアナウンスや発信だけではなく、多様性を身近にしていくためにどうするか、日々悩み、考えています。

- 大久保:上坂さんは今日ご参加の中で一番大きな組織のリーダーですが、何か発信する際に気を付けていることはありますか。 

- 上坂:はい、リーダーとして発信する側なので、自己満足で終わってしまうことのないよう、「発信主義」から「着信主義」になる必要性があると思っています。メンバーが思うことと私が考えることのギャップも理解する必要があって、そのような部分も含めて多様性だと理解しています。

- 大久保:山本さんが所属するHuman Capitalでは、ダイバーシティに関するコンサルティングサービスも提供していますよね。

- 山本:「自分事化」ということが、とても難しいと感じています。個人としては、友人にLGBT+当事者の方がいて、明るくカミングアウトしているので自然に個性として受け入れられて、あまり自分の中にハードルはありませんでした。ただ、組織として取り組みを進めようとすると、実際はLGBT+当事者が身近にいたとしても気づいていないことが多くあると思います。そのため、「本当はあなたの隣にも当事者がいるかもしれない」という意識を持ってもらうことがとても大事だと思っています。ただ、声高に主張してくださいというものでもなく、人によってはオープンにしたくない人もいて、望むことや考えがそれぞれ異なります。そのような状況について、一人ひとりがどこまで自身に関係することとして捉えられるかが重要だと考えています。先ほど上坂さんからもあったように、草の根活動もとても大切だと思います。

「気づき」から「自分事化」をはかるために

大久保:DTRメンバーのみなさんは、気づいていない人が「気づく」ためにどうすればよいと思いますか。また、「自分事化」するためにはどうすればいいと思いますか。

- 天野:「自分が知らないだけで、実は当事者が周りにいるかもしれない」という想像力を普段からはたらかせることは、とても大事だと思います。

- 竹川:大切な友人が当事者で、一緒に行動してみると、見えている景色が全然違うことに気づきました。私は何も考えずに女性トイレに入りますが、トランスジェンダーの友人は心の性に準ずるトイレを使用することが出来ません。そのことで悩んでいる人もいるということを初めて知りました。同性カップルだと、同棲したくてもなかなか家を見つけることができないという話もメンバーから聞いたことがあります。当事者と触れ合うきっかけは大事だと思いました。

- 大久保:1つでも実体験を聞くと、自分の意識も変わりますね。

「個人が希望する場合、メールの署名等に性自認について記載をするというのはどうでしょうか。(*3)」とアイディアをいただきました。社会に対して訴えるのは勇気がいりますが、その影響は大きく、会議で発信したり、署名を入れたりするのはとても良い案ですね。

(*3)近年では、自身が使用してもらいたい自認する性のPronoun(代名詞)について、「She/her/hers」「He/him/his」「They/them/theirs」といった形で明示する人々も世界各地で増えてきており、例えば、SNSでも自己紹介欄に登録することができるようになっている

- 天野:性自認に関する記載が難しくても、例えば、メールの署名の末尾に「I am an ALLY (LGBT+コミュニティを応援します)」と記載するだけでも良いと思います。Allyであることの表明は当事者の方にとって大きな支えになりますし、その表明が更にAllyの輪を広げていくことにつながるのではないかと思います。

- 山本:デロイト トーマツ グループ内で配布されている、オリジナルのAllyステッカーもありますよね。私もPCに貼っていて、メールも含め、自分の立場を伝えられるツールがあると良いと思います。

- 大久保:私もAllyステッカーをなるべく多くの人に見てもらえるように会社の入館証に貼っています。

 

属性にとらわれず、全員が「違い」を持っているという認識を持つことから始まる

大久保:インクルーシブな職場はどう作っていけるか、理想の職場、という観点ではどうでしょうか。

- 山本:「LGBT+」「女性」といった属性に限らず、人はそれぞれ「違う」という認識を持つことが一つのゴールではないかと思っています。価値観や人生における物事の優先順位などについては、仕事や家庭など、それぞれ状況や人によってグラデーションがあり、全員異なるものですよね。そのような「違い」は無限に種類があるので、全てを理解することは難しいかもしれません。また、「LGBT+」と一言でいっても、性自認と性的指向は異なる概念ですし、例えばオープンにしている人、そうでない人と、その中にも細かい違いがありますし、最終的には個々人の違いに帰結すると思うので、その「違い」があることを日々認識できる状態をつくれると、LGBT+に限らず、色々な観点からインクルーシブな職場が実現できるのではないかと思っています。

- 大久保:インクルーシブな職場について、日本企業全体の温度感はどうですか。

- 山本:ダイバーシティ推進、女性活躍推進という観点では、「頭ではやった方が良いと解っているものの、それをやると何か良いことはあるんだっけ」というご質問もあります。今までの成功体験で企業経営が上手くいっているという思いもあるので、わざわざ変革が必要なのか考えてしまうところがあるのかもしれません。若い世代や人事の方は推進しなければという意識は強いのですが、社内でも対立構造になってしまうこともあります。

- 大久保:私も最近、他の企業の方とダイバーシティ推進に関するディスカッションを行ったのでとてもよく解ります。自分の腑に落ちている言葉でないと説得はできないので、「なぜDEI推進を実施するのか」ということを、自分の言葉で考えることが大事だと思います。

- 上坂:先ほど山本さんからもありましたが、「みんなが違う」ということだと思います。見えるものと見えないもの、表面・内面に関係なく、多様性、違いを受けて入れていくことです。まずは20%、30%解ろうとするということを一人ひとりが意識することで、我々が実現しようとしている理想に近づけると思います。

 

第1回に続き、第2回のLGBT+座談会でも、個の持つ「違い」をまず認識することの重要性について声が挙がりました。デロイト トーマツ グループでは今後もLGBT+をはじめ、一人ひとりの様々な「違い」について #Equity の概念をベースにサポートや対話を重ね、真の #Inclusionや #Wellbeingへつなげていきます。

>Rainbow Table(第1回)「『違い』を知り、誰もが働きやすい環境をつくっていくために」

ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンに関する情報はこちら

プロフェッショナル

大久保 理絵/Rie Okubo

大久保 理絵/Rie Okubo

デロイト トーマツ グループ CTO(Chief Talent Officer)、DEIリーダー

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員。長年にわたり一貫してオペレーション改革コンサルティングに従事。業務、組織、ITの総合的なオペレーティングモデルの設計を強みとし、ロボティックプロセスオートメーション、シェアードサービスセンター構築、アウトソーシングアドバイザリーを含む豊富なサービス提供を行っている。製造業を中心に、通信、IT、金融、物流、公共など幅広い業界での経験を持ち、特に米州、欧州、アジアなどの海外現地法人を含んだグローバルレベルの変革も数多く手掛けている。 デロイト トーマツ コンサルティングのエシックスサブリーダー、DEIリーダーを歴任し、2021年に、デロイト トーマツ グループのDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)リーダーに就任。Deloitte Asia Pacificとも連携しながらグループ全体のDEI推進を精力的に牽引している。   関連サービス ・アナリティクス & コグニティブ(ナレッジ・サービス一覧はこちら) ・Diversity, Equity & Inclusion(取り組みなどの詳細はこちら) >> オンラインフォームよりお問い合わせ

山本 奈々/Nana Yamamoto

山本 奈々/Nana Yamamoto

デロイト トーマツ コンサルティング 執行役員

人事中計の策定、要員・人件費計画の策定および最適化マネジメント、要員・人件費計画策定プロセスの高度化、人材のトランジション実行支援、組織・人事戦略策定、同一労働同一賃金、人事制度設計等、組織・人事関連のコンサルティングに幅広く従事。 共著書に「要員・人件費の戦略的マネジメント ~7つのストーリーから読み解く」「“未来型”要員・人件費マネジメントのデザイン」(労政時報)がある。 関連するサービス: 人材変革(Workforce Transformation)(ナレッジ・サービス一覧はこちら)   >> オンラインフォームよりお問い合わせ

上坂 健司/Takeshi Kosaka

上坂 健司/Takeshi Kosaka

デロイト トーマツ コーポレートソリューション 職務執行者 パートナー

1988年サンワ・等松 青木監査法人(現 有限責任監査法人トーマツ)に入社し、監査業務に従事。2013年から人事本部所属となり、人材育成及び人事業務に従事。2017年DTCS HRディビジョンリーダー就任。

執筆者

Diversity, Equity & Inclusion チーム

Diversity, Equity & Inclusion チーム

デロイト トーマツ グループ

「Diversity, Equity, & Inclusion(DEI)」を自社と顧客の成長を牽引し、社会変革へつなげていくための重要経営戦略の一つとして位置付けているデロイト トーマツ グループにおいて、ジェンダーやセクシャリティ、人種・民族、宗教や言語を含めた文化の違い、障がいなど、様々な「違い」を強みとするための施策を、経営層と一体となり幅広く立案・実行しているプロフェッショナルチーム。 関連するリンク デロイト トーマツ グループのDiversity, Equity & Inclusion