クラウドテクノロジーが
垂直化する今、企業のDXを
成功へ導く内製化とは?

7割以上のエンジニアがSIer所属の日本、DX内製化は自社のみでは困難

変化と不確実性の時代に企業が競争優位を構築するためには、ビジネス戦略とテクノロジー戦略の融合、すなわちデジタル変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)が不可欠である。グローバルでは企業のDXが進んでおり、過去の重厚長大なオンプレミスの自社システムから脱却し、「自社の今の事業に必要なものを必要なだけ」という考えでクラウドを用いている。これによりビジネスの本質的な価値に時間とリソースを割くことができ、ビジネススピードを加速させている。

一方日本企業は、デロイト トーマツの「Tech Trends 2021」でも指摘されている通り、DX推進を阻む3つの壁が存在しており、遅れをとっている。

1つめはレガシー技術の残存である。経済産業省が2019年に「2025年の崖」と表現した既存システムの肥大化による運用コストの増大は、日本企業のIT投資を鈍らせる足かせとなってきた。企業の多くは「運用のための運用」に、人的リソースとコストを割き続けてきたのである。2つめは失敗できない文化、施策をすぐに始められない予算承認プロセスといった企業カルチャーの問題だ。



そして3つめはデジタル人材の不足。日本国内では7割以上のエンジニアがSIerに所属しており、ビジネススピードに対応するため開発の内製化を目指すとしても、中長期的観点で大きな時間とコストを割く必要が生じる。

この3つの社会構造上の問題から、DX推進を難しくさせているのが日本の現在地だ。

デロイト トーマツ グループは、この問題を解決するため様々な取り組みをしている。そのうちの1つが、企業のコーポレート機能の業務複雑化に伴う人材不足をデジタル技術と専門家による統合サービスで解決するCorporate as a Service(CaaS)の提供だ。これにより従来のBPO(Business Process Outsourcing) では十分に対応できなかった、高度な専門性が求められるコーポレート業務も含めたコーポレート部門のDX化を促進している。

このCaaS関連領域で自社のアプリ開発や、クライアント企業のクラウド活用を促進し、日本企業のコーポレート部門のデジタル変革を推進しているのが2021年に生まれたデロイトトーマツ ウェブサービス(DWS)だ。

同社はクラウド・コンピューティング、特にAWS(Amazon Web Services)のクラウド・インテグレーションに強みを持つ。AWS導入支援・構築・運用代行およびAWSリセール、企業のDX実行支援などを行っている。AWS認定パートナー(APNアドバンスドコンサルティングパートナー)で、代表の国本廷宣は「2021 Japan APN Ambassadors」に認定され、国内外のAWS公式エバンジェリストとしても活動中だ。



デロイト トーマツ ウェブサービス(DWS)株式会社 代表取締役 国本 廷宣

「私たちはCaaSのみならず、企業のビジネス戦略とテクノロジー戦略の融合を目指すために、単なる導入支援にとどまらない、企業におけるDX、そして“開発の内製化”を伴走しながらサポートする仕組みを提供しており、そこが最大の特徴です」

「開発の内製化」に欠かせないDevOpsがビジネスを変革させる

最新のデロイトによる「Tech Trends 2022」では、DWSの得意分野であるクラウドは垂直化(Cloud goes vertical)していくと指摘されている。一部のテック企業を除き、これまでDXといえば、オンプレミスからクラウドテクノロジーへ移行するなどITのニーズを満たすことが中心だった。この部分(ITというホリゾンタル)はすでに満たされ、シャワーのようにセクターごとの戦略・運用ニーズを満たすことへと移行フェーズに来たという。ビジネスプロセスはクラウドによって大きく変革され、より俊敏で効率的になっていく。 AWSやAzureなどのクラウドジャイアントやSaaSベンダーらは、モジュール化された業界特有のビジネスサービスを提供し、企業がそれらを簡単に採用・構築できるようにしている。このトレンドが勢いを増せば、アプリケーションの導入は組み立てプロセスが重視されるようになるだろう。つまり、数あるモジュールを組み合わせる編集的な「使いこなし力」がものをいう時代だ。

「企業がDXを推進し、顧客価値を探求していく上では、デジタルの“使いこなし力”が求められます。そのためには、これまでのように時間をかけて大規模システムを導入・運用するのではなく、短期間で改善を繰り返し、本当に自社と顧客にとっての最適解を導き出すアジャイル的な発想が必要です。このカルチャーが企業にあって、はじめて俊敏に動ける組織が生まれるのです」

このように国本は話すが、冒頭に記載した通り日本には3つの課題から「内製チームのみ」でDXを推進・実行していくことは困難だ。そこでDWSは、DXプロフェッショナルチームとして全領域でDX実行を支援していくのだという。ポイントは大きく2つに分けられる。(1)はまさにクラウドの導入支援であり、(2)はビジネスそのものの改善だ。

(1)AWS専門家によるベスト・プラクティス提供・実践
・AWSクラウド導入・活用
・AWSマイグレーション
・AWSレビュー最適化立案

(2)フィードバックループによるビジネス改善
・アジャイル/DevOps内製化支援
・AWSリセール(再販)監視・運用



ここで国本は企業がDXを推進するにあたり、特に重要なのが(2)のビジネス改善であり、その中にある「アジャイル/DevOps内製化支援」だと話す。「DevOps(デブオプス)はビジネススピードを加速化させるカルチャーとプラクティスです。DX実行で欠かせないのが開発の内製化です。製品価値の可視化から、DWSチームが伴走して支援し、ワンチームとしてプロダクト開発を実現します」



「アジャイルな組織を実現する際に必要となるカルチャー指針は、いくつもありますが代表的なものを挙げると“顧客中心の計画とアクション”、“チームでのビジネスゴール共有と認知”、“チームにおける製品への明確な責任”、“横断型で自立したチーム構造”などがあります。こうしたカルチャー指針実現のためには、失敗をおそれず発言、行動する心理的安全性を保障する必要もありますし、1人ひとりが事業を自分ゴト化する必要もあります。自分ゴト化すると、それまで線を引いていた人が、線を越えて発言が増える。そうすると、組織が活性化します」

国本は「DX(デジタル変革)」とは「カルチャー変革」だと考えているという。

「企業のDNAに結び付けてトップにメッセージを発信していただく。それを起点に組織横断で軸となるものを築き上げる。包括的にカルチャーを変えて、実行まで支援できるのが、デロイト トーマツ グループの強みであるとも考えています」

国本はDX推進のためのアジャイルな組織づくりに必要な道具がDXやクラウドだと話す。



「デジタル変革に限らず、変化には戸惑いが生じます。トップが変革を覚悟することで、組織の隅々まで変わる覚悟を持ってもらう。DXやクラウドテクノロジーは手段であって目的ではありません。ビジネススピードが加速する中、お客様へより良いサービスやプロダクトを提供するため、企業が変わらなければならない時期があります。より良く変わるための手段がDXでありクラウドなのです。これらツールを自社の変革のために上手に使いこなせるようになる、それが内製化です」

国本が内製化支援で伴走した企業の多くは、これまでベンダー頼りであった開発の内製化を実現させているという。「3年かけて完全外注から完全内製へシフトさせた実績もあり、これはどの企業にも転用できるノウハウだと自負しています」。

デロイト トーマツの「堅牢な信頼性」があって、シェルパとしての役割が果たせる

国本がDWSを率いる以前から、デロイト トーマツはAWSを含めた企業のクラウド導入支援を行ってきた。その責任者でもあるデロイト トーマツ コンサルティング(DTC)の執行役員・藤顕信はDWSにより「これまで以上に一気通貫のサービスができる」と喜ぶ。藤はITロードマップ策定から開発・導入・運用計画まで20年以上にわたるグローバルでのコンサルティング支援実績を持つ。



デロイト トーマツ コンサルティング パートナー 藤 顕信

「デロイト トーマツのカルチャーとして新しい仲間が増えたり、組織が変わったりしてもインクルーシブに物事を考えていこうというものがあります。私たちDTCとDWS、そしてグループもそのような関係性が出来ています。DWSによって、ノウハウ・実務能力が一気に強化された。現場力のあるメンバーが揃うことで、より高みを目指せます」

一方で国本もDWSがデロイト トーマツの一員だからこそ、堅牢な信頼性を持てると話す。

「企業のカルチャーを変えていく上で、私たちに求められるのは相手の気持ちにどれだけ真摯に寄り添い、サポートできるかでしょう。そしてクライアントはデロイト トーマツという堅牢な信頼性を土台に、相談する気持ちになってくれるのではないでしょうか。仮に私たちが独立系のベンダーであれば、すぐサービスやソリューションを売るといったことをしてしまうかもしれません。しかし監査法人もグループにいるデロイト トーマツは、経済価値だけでなく、社会価値や持続性も重視します。本当に必要なものを考え、相手にとって不要なものは自社の利益になろうとも提案はしません」

藤もデロイト トーマツの良さは長期的な視座に立って社会的なアジェンダを解決しようとするスタンスだという。

「例えばデロイト トーマツは、DXにおける地域の人材不足を解消するための官民連携プラットフォームであるArea Digital Transformation Organization(ADXO)を構築しています。社会的なアジェンダに対して、今すぐ手に入る/儲かる短期的視点ではなく、長期的な目線で向き合えるのは、他社にない強みです。それが信頼性にもつながっています」



国本は、デロイト トーマツの信頼性を土台にDWSで日本企業のDX推進、そして成長に寄与したいと話す。 「私はクラウドテクノロジーが登場した時、iPhoneが登場した時と同じくらいの衝撃を受けました。これは世界が変わると。実際、いまの世界はクラウドによって大きな変革期を迎えています。クラウドは単なるオンプレミスの代替ではありません。ビジネススピードが加速する今、柔軟かつ俊敏に動くために欠かせない経営戦略の1つ。クラウドをベースに私たちは日本企業のカルチャーを変えて競争力を高めるサポートをしていきたい」

デロイト トーマツは上流か中流といった部分的な考えではなく、経営コンサルティングにおけるテクノロジー領域の実践型サービスを全体として提供していく――。デロイト トーマツのインクルーシブな風土の実現は、日本企業のDX推進を支援する点においても活かされている。



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