デロイトフットボールマネーリーグ

ニュースリリース

デロイトフットボールマネーリーグにおいてFCバルセロナが初の首位、3クラブ目の首位に

News Information
本ニュースリリースは、デロイトUKが2020年1月14日(現地時間)に発表した内容を翻訳したものです。なお、この翻訳文と原文に相違がある場合には、原文の記載事項が優先します。

2020年1月22日

  • デロイトフットボールマネーリーグ(第23版)において、2018/19シーズンの収益上位20のサッカークラブが明らかに。上位20クラブの合計収益は106億ドルに拡大し、最高額を更新。
  • FCバルセロナが初めてマネーリーグ首位となり、全クラブ中初めて収益9億ドルの壁を突破。
  • レアル・マドリードは収益8億6,400万ドルで2位に後退。首位と2位の差(9,530万ドル)はマネーリーグ史上最大。
  • マンチェスター・ユナイテッド(収益8億1,170万ドル)は3位となったものの、来年のマネーリーグではプレミアリーグのクラブの中で最高の収益を生み出すクラブとしての地位を失う恐れがある。
  • バイエルン・ミュンヘン(収益7億5,310万ドル)は4位を維持し、パリ・サンジェルマン(同7億2,550万ドル)がマンチェスター・シティ(同6億9,660万ドル)を抜いてトップ5入り。
  • トッテナム・ホットスパー(収益5億9,450万ドル)が同クラブとして最高の8位になり、チェルシー(同5億8,530万ドル)およびアーセナル(5億830万ドル)を抜いて、1996/97シーズン以降初めてロンドン拠点クラブの中で最大の収益を上げた。


デロイトのスポーツビジネスグループがまとめた、フットボールマネーリーグ(第23版)において、世界の上位20サッカークラブが2018/19シーズンに上げた収益の総額は史上最高の106億ドルになったことが明らかになりました。

今回のマネーリーグにおける上位5クラブは、FCバルセロナ(総収益9億5,930万ドル)、レアル・マドリード(同8億6,400万ドル)、マンチェスター・ユナイテッド(同8億1,170万ドル)、バイエルン・ミュンヘン(同7億5,310万ドル)、パリ・サンジェルマン(同7億2,550万ドル)となり、この5クラブの収益合計は、10位から20位の11クラブの収益の合計を上回りました。

放映権料は全体の44%を占めており、引き続き最大の収益源になりました。大衆の関心を獲得できるかどうかがマネーリーグの上位クラブ(UEFAチャンピオンズリーグの伝統的な常連チーム)と下位クラブを分ける要因となります。このため、UEFA主催大会(特にチャンピオンズリーグ)に長期間出場できないと収益に大きな影響を与えます。しかし、上位クラブは下位クラブと比較すると放映権料に対する依存度が低いということは注目に値します。

デロイトのスポーツビジネスグループのパートナー、ダン ジョーンズは次のようにコメントしています。
「サッカー業界の成長スピードは引き続き他のセクターを上回っており、マネーリーグ上位20クラブの収益の合計は、今回初めて単年で100億ドルを上回りました。今回のマネーリーグで注目すべきは、高収益クラブが他のクラブを引き離し、『マネーリーグ内のミニリーグ』ともいうべきものが出現する動きが明確になってきていることです」

ニュースリリース全文(399KB, PDF)

正しい方向性

FCバルセロナは初めてマネーリーグの首位となっただけではなく、全クラブ中初めて収益9億ドルの壁を越えました。今年のランキングではスペインのクラブが2年連続で首位と2位を占めましたが、1位と2位は入れ替わりました。レアル・マドリードが2位に後退し、首位と2位の差はマネーリーグ史上最大となる9,500万ドルになりました。

FCバルセロナの収益拡大には、グッズ販売等マーチャンダイジングとライセンシング業務を内製化する決定など、同クラブが業務に対するアプローチを変更させたことが大きく貢献しました。FCバルセロナはクラブのブランド力を認識し、第三者にマーチャンダイジングとライセンシングを任せるのではなく、これらの業務に対する自社のコントロールを強化しました。自社が直接グッズの販売促進や販売方法をよりコントロールできるようになることで、利益だけでなく、売上の計上も可能になりました。

ジョーンズは次のようにもコメントしています。
「FCバルセロナの例は、サッカークラブが市場環境の変化に適応し、放映権料への依存を下げるとともに自社がコントロールできる収益の拡大に注力していることを示しています。FCバルセロナはスポンサー収入等から4億3,760万ドルの収益を上げていますが、この収益は今年のマネーリーグの12位のクラブの総収益に匹敵するものです。FCバルセロナの商業収益は今後も増加することが見込まれ、来年のマネーリーグにおいても同クラブが首位を維持すると考えています。また、近い将来、FCバルセロナはマネーリーグで初の収益10億ドル超のクラブになることでしょう」

同じ傾向が続く

マネーリーグ上位 20クラブ中8クラブがプレミアムリーグからランクインし、最も多くのクラブを輩出しました。

8億1,170万ドルの収益を上げたマンチェスター・ユナイテッドがマネーリーグ3位を維持しましたが、今シーズンのチャンピオンズリーグの出場権を獲得できなかったことから、2019/20シーズンの収益予測は7億2,500万~7億5,000万ドルになる予想です。その結果、マンチェスター・ユナイテッドは来年のマネーリーグで同クラブとしては最低の順位に落ち込む可能性が高くなりました。そうなると、マネーリーグ史上初めて、同クラブはプレミアリーグのクラブの中で最高収益を生み出せない可能性も出てきます。英国でマンチェスター・ユナイテッドに迫る競争相手となっているマンチェスター・シティとリバプールは、2018/19シーズンにそれぞれ6億9,660万ドルと6億8,990万ドルの収益を上げました。リバプールは将来的にマネーリーグの上位5位に食い込むという長期目標を掲げていますが、この目標は非現実的ではなくなりつつあります。このところプレミアリーグで好成績を上げていることに加えて、2019年のUEFAチャンピオンズリーグでも優勝し、この成果をうけて順調に発展していくと特にこの目標の現実感が増してきます。

トッテナム・ホットスパーは今年のマネーリーグで同クラブとしては最高の8位となり、アーセナルおよびチェルシーを上回って、1996/97シーズン以降初めてロンドン拠点のクラブの中で最大の収益を上げました。トッテナム・ホットスパーの収益は5億9,450万ドルに増加しましたが、チャンピオンズリーグの決勝に進み、さらにトッテナム・ホットスパー・スタジアムに移転したことを受けて、放映権料と商業活動が増加したことが収益に貢献しました。

アーセナルは9位から11位に順位を落としました。これは2年連続でチャンピオンズリーグに出場できなかったことが財務的な結果として表れたことを示しています。その結果、マネーリーグ上位10位に占めるプレミアムリーグのチーム数は、去年の6チームから今年は5チームに減りました。

デロイトのスポーツビジネスグループのシニアマネージャー、サム・ボーアは次のように述べています。
「チャンピオンズリーグのノックアウトステージに出場したリバプール、マンチェスター・シティ、トッテナムの活躍もあり、UEFA主催大会への出場とそこでの成績が収益に及ぼす影響は、ロンドンとイングランド北西地域のクラブに顕著に表れています。アーセナルがこれに比例して順位を落としたのは2シーズン連続でチャンピオンズリーグに出場できなかった直接的な結果で、マンチェスター・ユナイテッドにも同じ運命が待っている可能性があります」

世界を見渡す

フランスのリーグ・アン、スペインのラ・リーガ、ドイツのブンデスリーガ、イタリアのセリエAといったプレミアムリーグ以外の他の「ビッグファイブ」のフットボールリーグからも上位20クラブにランクインしました。2018/19シーズンにパリ・サンジェルマンは全ての収益源で驚異的な二桁の成長を遂げ、マネーリーグにおいて2014-15年以降最高となる5位となりました。同クラブは商業活動から4億1,460万ドルの収益を上げましたがこれはマネーリーグ史上で2番目の金額となります。新パートナー5社と契約したことと、グローバルブランド6社との契約を延長したことが収益に寄与しました。

ユベントスの収益は4億520万ドルに増加し、今年のマネーリーグでは10位に返り咲きました。レアル・マドリードとFCバルセロナのフォロワーの合計よりも多くのインスタグラムのフォロワーを抱えるフォワードの魔術師クリスティアーノ・ロナウドが移籍したことで、ユベントスの商業的な魅力が高まりました。その結果、2018/19のブランド認知が高まったことも相まって、商業活動からの収益が増加しました。また、人気プレイヤーを獲得したことからグッズ販売からの収益も増加しました。

ボーアは次のようにも述べています。
「マネーリーグの上位20はほぼ例年通りのクラブで占められており、17位のオリンピック・リヨンと20位のナポリだけが新顔となりました。両クラブともにUEFA主催大会で勝ち進んだことと、2018/19シーズンから収益を上げやすい販売メカニズムがUEFAで新たに施行されたことによって恩恵を受けています。『ビッグファイブ』に所属しないクラブで上位30クラブに入ったのは、23位のアヤックス(2億2,750万ドル)、24位のベンフィカ(2億2,255万ドル)、28位のFCゼニト・サンクトペテルブルク(2億580万ドル)のみであり、UEFA主催大会への出場が収益に及ぼす影響の大きさをより一層示すこととなりました」

今後の展望

過去5年間、上位20クラブの放映権料収益の総額は、年間成長率11%で増加し放映権料は最大の収益源となっています。最大規模のフットボールリーグの放映権料が頭打ちとなったかどうかは議論の分かれるところですが、放映権料収益は究極的には個別クラブがコントロールできないものです。今後の収益成長を差別化するためには、クラブが大きな影響力を持つ収益源の拡大に注力する必要があります。この点に注力しつつも、サッカーの将来的な環境は今までになく予測が難しくなっていることもあり、それが今後の課題となるでしょう。

ボーアは次のように結論づけました。
「2019/20シーズンのチャンピオンズリーグのラウンド16の出場チームは、マネーリーグの上位20と同じように欧州の『ビッグファイブ』リーグのチームと重なります。フットボールの長期かつ持続的な価値を高めるためには、ステークホルダーはフットボールの結果が不確実なものであることの重要性を認識する必要があるでしょう」


注釈:
デロイトフットボールマネーリーグの全結果はウェブサイトからご覧いただけます:
www.deloitte.co.uk/sportsbusinessgroup

デロイトフットボールマネーリーグ2020 順位
※クリックまたはタップして拡大表示できます

このプレスリリースは2020年1月に発行されたデロイトフットボールマネーリーグに基づいたものです。マネーリーグで詳細を示した通り、総収入額は、2018/19シーズンにおける各クラブに関連する会社または団体発表の年次財務諸表から、あるいはクラブから直接入手した数値を使用しました。

サッカークラブの財力や価値を説明する方法は多数存在します。デロイトフットボールマネーリーグでは、最も容易に入手でき比較できる財務実績として収益を使ってきました。

収益には、選手の移籍費用、付加価値税およびその他売上関連税は含まれていません。当社の観点からサッカービジネスのクラブ同士の比較を有意なものとするために、総収益を調整したものも若干含まれています。

デロイトは、マネーリーグのために、各クラブについて財務諸表またはその他の情報源に含まれる情報の検証や監査を実行していません。

国際比較のために、特段の記述がない限りに場合、2018/1シーズンの全ての数字は2019年6月30日まで、2017/18シーズンの全ての数字は2018年6月30日までの1年間の平均為替レート(1ドル=0.7726ポンド; 1ドル=0.8765ユーロ)で為替換算されています。比較の数字は、昨年版のデロイトフットボールマネーリーグからの引用または、関連する年次財務諸表もしくはその他一次情報源からの引用です。

この後、デロイト年次フットボール財務レビューが発行されます。その中では、英国および欧州におけるフットボールの財務環境について詳細分析を提示します。
 

デロイトのスポーツビジネスグループについて
デロイトは過去25年以上にわたり、独自視点でスポーツビジネスに注力してきました。専門的なスポーツビジネスグループとして、スポーツビジネスに大きな付加価値をもたらすことができる専門の人材とスキルを擁し、複数分野での専門サービスを提供しています。ベンチマーキングや戦略的な事業の見直し、業務改善、収益力向上戦略、スタジアム/競技場開発計画、事業計画、市場・需要分析、買収、デューディリジェンス、専門家証人、監査・税務計画などのサービスが含まれており、より多くのクラブ、リーグ、監督機関、スタジアム開発者、イベント主催者、商業パートナー、資本家・投資家と協力してきました。

サービスについての詳細は該当ウェブサイトをご覧ください:
www.deloitte.co.uk/sportsbusinessgroup

<報道機関の方からの問い合わせ先>

デロイトUK 広報担当 George Parrett / Lizzie Tantam
Tel:0207 007 7285 / 0207 007 2911
Email:gparrett@deloitte.co.uk / ltantam@deloitte.co.uk

デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約40都市に1万名以上の専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)、ならびにそのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人のひとつまたは複数を指します。DTTL(または“Deloitte Global”)ならびに各メンバーファームおよびそれらの関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体です。DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。

デロイト アジア パシフィック リミテッドはDTTLのメンバーファームであり、保証有限責任会社です。デロイト アジア パシフィック リミテッドのメンバーおよびそれらの関係法人は、それぞれ法的に独立した別個の組織体であり、アジア パシフィックにおける100を超える都市(オークランド、バンコク、北京、ハノイ、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、メルボルン、大阪、上海、シンガポール、シドニー、台北、東京を含む)にてサービスを提供しています。

Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、税務およびこれらに関連する第一級のサービスを全世界で行っています。150を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じFortune Global 500®の8割の企業に対してサービス提供をしています。“Making an impact that matters”を自らの使命とするデロイトの約286,000名の専門家については、(www.deloitte.com)をご覧ください。