ニュースリリース

デロイト トーマツ調査、日本企業のコンタクトセンター 単なる応答率重視から顧客ロイヤルティ重視への転換が課題

日本版グローバルコンタクトセンターサーベイ結果公開。日本では未だ応答率が最重要指標に挙がり「個客」視点の戦略へのアップデートが必要。顧客属性に応じた対応チャネル使い分けも課題

2021年8月5日

デロイト トーマツ グループ(東京都千代田区、グループCEO:永田高士)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に伴う非対面での活動の増加により顧客接点としてますます重要度が高まるコンタクトセンターについてデロイトがグローバルで行っている調査を、日本企業における課題との比較も含めてまとめた「日本版グローバルコンタクトセンターサーベイ」を本日公開しました。

この調査はデロイトが2013年以降隔年で行っており、前回より日本企業も対象として調査しています。今回は2020年12月から2021年1月にかけて、世界の多様な業界のコンタクトセンター幹部を対象にその役割や課題、COVID-19の影響などについて調査を行っています。

日本版 調査結果のポイント

単なる応答率重視から「個客」視点の戦略へのアップデートが必要

コンタクトセンターにおける重要戦略として筆頭に上がったのは、海外・日本ともに「顧客体験(CX)の向上」(海外企業54%、日本企業45%)であったが、CX向上のために重視する評価指標(KPI)では海外が顧客ロイヤルティ指標を一番に重視(海外企業42%、日本企業4%)するのに対して、日本企業は応答率を依然重視(日本企業40%、海外企業6%)している結果となり、多様化する顧客ニーズを踏まえた「個客」視点の戦略へのアップデートが日本企業に求められることが明らかになった。


顧客属性に応じたチャネルの使い分けが重要に

顧客・企業双方のニーズの高まりをうけ、グローバル全体ではノンボイスチャネル(電話以外での対応)の活用が積極的に進められており、海外企業では電話対応比率が現状62%、2年後には50%にまで低下する見込みとなっている。一方、日本では現状78%と依然高く、2年後の見込みでも60%までの減少に留まる。電話からノンボイスチャネルへのシフトに成功している企業は、各チャネルでどのような顧客・用件を対応すべきかチャネルの役割を定義し、顧客属性に応じた問合せ導線を設計しており、こうした取り組みが日本企業での課題とみられる。

 

在宅勤務はBCP(事業継続計画)からCX(顧客体験)・EX(従業員体験)向上の手段へ

COVID-19流行下でのBCP対応として、日本でも在宅勤務の導入が進展し、日本企業の自社運営センターにおける在宅勤務者の割合は26%まで増加した。 COVID-19収束後も、従業員体験(EX)の向上による優秀な人材の確保や、繁閑に応じた人員配置による繋がりやすさ改善等を目的として、在宅勤務の活用が拡大していく見込みである。

 

クラウド化の適用範囲が拡大

日本企業におけるクラウド化は加速している。コンタクトセンターシステムについてクラウドを導入済、または今後2年間で導入予定の企業が67%あり、前回調査時の43%から大幅に増加。クラウド化するソリューションの適用範囲も拡大している。



【調査結果の詳細】
図1 コンタクトセンターにおける重要度の高い戦略目標とCXにおいて重視するパフォーマンス評価指標

画像をクリック、またはタップすると拡大版がご覧いただけます

コンタクトセンター戦略において、「顧客体験(CX)の向上」を最重要と位置付ける企業がグローバル全体で49%(日本45%、海外54%)と最も多い。CX向上の重要性は日本企業・グローバル全体問わず共通認識となっているが、その実現に向けては差が出ている。

米国を中心とした海外企業では、簡単な問合せはセルフサービスを活用し、空いた人員はより付加価値の高い対応に専念するといった、メリハリのある運用が進んでいる。また、KPIとして顧客ロイヤルティ指標を用いる企業が約40%と最多になっており、顧客が企業に対してロイヤルティを感じられる体験を提供できたかを重要視している。

日本企業においても、セルフサービスの拡充やマルチチャネル化の流れは加速している。一方、KPIは応答率を重視する企業が40%と最も多く、「CXの向上=応答率の改善」と捉える傾向も確認できる。

顧客ニーズが多様化し、パーソナライズされたCXが求められる中、顧客価値の提供方法も様々である。応答率を改善するだけでは、顧客一人ひとりのニーズへの対応は充分とはいえない。顧客ロイヤルティをより意識した戦略へのアップデートが、日本企業の課題であるといえる。

 

図2 問い合わせチャネル構成比の推移
 

画像をクリック、またはタップすると拡大版がご覧いただけます

グローバル全体でマルチチャネル化が継続的に進展しており、現在は、コミュニケーションの主軸が電話からノンボイスチャネルへ移行する過渡期にあるといえる。海外企業においてはノンボイスチャネルの積極的な活用により、2年後の電話での受付件数が、問合せ全体の50%を下回る見込みとなっている。


図3 電話から、低コストまたは利便性の高いチャネルへの切り替え状況

画像をクリック、またはタップすると拡大版がご覧いただけます

前回調査以降、多くの日本企業はリアルタイムチャットを中心としたノンボイスチャネルを積極的に拡充し、Eメールを除くノンボイスチャネルでの対応比率は、現在の4%から2年後には19%まで拡大する見込みである。一方で、電話からノンボイスチャネルへの切り替えに成功していると回答した企業は、2年前の16%から現在の17%までほとんど増加しておらず、日本企業はチャネルシフトに苦戦している。

CXを損なうことなく、ノンボイスチャネルの利用を顧客へ促すためには、チャネルごとに利用を促すべき顧客属性と用件を戦略的に定義し、定義に応じた適切な問合せ導線を設計することが重要である。例えば、ECサイトにおいて、ロイヤルカスタマー向けの購入ページでは電話問合せボタンを表示し、その他のページではチャットへの入口を表示するといった取り組みも見られる。 

 

その他、在宅勤務の導入状況、クラウド化の状況に関する詳細結果や、グローバルの結果などについての詳細は、以下リンク先をご確認下さい。

2021 グローバルコンタクトセンターサーベイ

 

<報道機関の方からの問い合わせ先>

デロイト トーマツ グループ 広報担当 高橋
press-release@tohmatsu.co.jp
Tel: 03-6213-3210

デロイト トーマツ グループは、日本におけるデロイト アジア パシフィック リミテッドおよびデロイトネットワークのメンバーであるデロイト トーマツ合同会社ならびにそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人、DT弁護士法人およびデロイト トーマツ コーポレート ソリューション合同会社を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは、日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査・保証業務、リスクアドバイザリー、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、税務、法務等を提供しています。また、国内約30都市以上に1万名を超える専門家を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)とは、デロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)、そのグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびそれらの関係法人(総称して“デロイトネットワーク”)のひとつまたは複数を指します。DTTL(または“Deloitte Global”)ならびに各メンバーファームおよび関係法人はそれぞれ法的に独立した別個の組織体であり、第三者に関して相互に義務を課しまたは拘束させることはありません。DTTLおよびDTTLの各メンバーファームならびに関係法人は、自らの作為および不作為についてのみ責任を負い、互いに他のファームまたは関係法人の作為および不作為について責任を負うものではありません。DTTLはクライアントへのサービス提供を行いません。詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。

デロイト アジア パシフィック リミテッドはDTTLのメンバーファームであり、保証有限責任会社です。デロイト アジア パシフィック リミテッドのメンバーおよびそれらの関係法人は、それぞれ法的に独立した別個の組織体であり、アジア パシフィックにおける100を超える都市(オークランド、バンコク、北京、ハノイ、香港、ジャカルタ、クアラルンプール、マニラ、メルボルン、大阪、ソウル、上海、シンガポール、シドニー、台北、東京を含む)にてサービスを提供しています。

Deloitte(デロイト)は、監査・保証業務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリー、リスクアドバイザリー、税務およびこれらに関連するプロフェッショナルサービスの分野で世界最大級の規模を有し、150を超える国・地域にわたるメンバーファームや関係法人のグローバルネットワーク(総称して“デロイトネットワーク”)を通じFortune Global 500®の8割の企業に対してサービスを提供しています。“Making an impact that matters”を自らの使命とするデロイトの約312,000名の専門家については、(www.deloitte.com)をご覧ください。