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「決算デジタルトランスフォーメーションと未来監査」について講演

「BeyondTheBlack TOKYO 2021」で協賛・登壇しました

COVID-19を契機として、上場会社を中心に決算業務の変革(トランスフォーメーション)や決算業務のデジタル化(DX)等への対応への意識が高まっている状況がみられます。競争力強化(効率化)、ESG経営推進(紙の削減、リモートワーク、ガバナンス強化等)を達成しさらなる企業成長を遂げるという目的に向かって、決算及び監査領域のデジタル化の推進も重要な取り組みであると考えられます。そこで「BeyondTheBlack TOKYO 2021」のデロイト トーマツのセッションでは、「決算デジタルトランスフォーメーションと未来監査~決算DXの進展と監査における取り組み~」と題し、決算業務のデジタル化や監査のあり方の現状と展望について解説しました。

BeyondTheBlack TOKYO 2021

決算デジタルトランスフォーメーションと未来監査~決算DXの進展と監査における取り組み~

日時:2021年8月18日(水)16:15~16:45
講師:デロイト トーマツ グループ シニアマネジャー 公認会計士 森宗太郎
デロイト トーマツ グループ 公認会計士 大谷佳代子
受講料:無料

 

決算デジタルトランスフォーメーションと未来監査~決算DXの進展と監査における取り組み~

平時と有事における決算現場の課題

決算業務の従前からの課題の一つ、効率化においては、スプレッドシートやチェックリストの一部標準化は進んだもののまだまだ属人的であり、担当者個々人による決算作業の違いが発生していたり、決算関連資料が分散して管理されていたりといった課題がある。さらに紙や手作業の多さもまだまだ残る。また、紙の資料や証憑が多いことや、決算作業やマネジメントへの報告を優先するため、資料の準備に時間を要し、結果として監査対応が遅延するといった課題がある。ガバナンスに関しては、特に海外子会社においてコミュニケーションの壁や異なる会計システムの使用などにより、効果が限定的になる傾向にある。

一方、COVID-19という有事では、前期のような大きな混乱はなく決算・監査業務の遅延は少なかったが、まだまだ以下の3つの課題がある。
1点目はリモートワーク対応が求められるものの、タスク管理、決算照合作業のためのデジタルツールが未導入のため、一定程度の出勤を余儀なくされた、または紙ベースの承認が基本であったため、メール等で暫定的に承認せざるを得なかったといったリモートワークのインフラ未整備。2点目は、海外駐在員がCOVID-19の影響を受けて帰任する中、海外子会社の管理・モニタリングが難しくなり、決算パッケージが提出されるまで決算状況を適時に把握できないという問題があった。3点目は監査対応で、膨大な紙の資料の取扱いや、ほぼ対面のコミュニケーションであった外部監査をどのように進めていくか模索し、質問対応等に通常以上の時間を要した。

COVID-19における決算業務については、日本CFO協会が行った調査や、当社内で行ったアンケート結果からも、紙の書類や証跡のデジタル化の遅れ、テレワークを想定したルールの未整備、決算資料の入手方法の多様化に課題を感じるという回答が見られた。

決算業務のデジタル化の必要性

業務効率化、リモートワーク対応、ガバナンス強化への課題は、デジタルツールを活用し決算プロセスをデジタルトランスフォーメーションすることで、大きな効果を期待できる。

例えば、業務効率化ではテクノロジーを利用した業務標準化や自動化、ガバナンス強化についてはダッシュボードを用いてリアルタイムでの子会社管理や承認履歴の一元管理可視化を実現できるだろう。リモートワーク対応では、作業進捗や個人別タスクの可視化、証憑の一元管理、ツールを用いた資料授受なども期待できる。

日々の決算業務のタスク管理にはBlackLineといったツール活用も有効である。ダッシュボードで状況をリアルタイムかつ一元的に管理できるため、業務の効率化につながるほか、クラウドのシステム上で作成者と承認者を明確に表示することで、内部統制上のエビデンスにもなり、ガバナンスの強化にもつながる。デジタル化や自動仕訳を行う自動化ツール組み合わせて活用することで、より効果的なリモート環境を構築することも可能である。

監査業務のデジタル化の状況と事例

COVID-19の影響の長期化や、働き方改革という観点からも、リモートワーク環境の構築を今後一層進めていく必要がある。また、決算業務のデジタル化が進むにつれ、未来の監査そのものもダイナミックに変化することが想定される。

監査業務にも関連するInnovationに向けた取り組みとして3つの事例を紹介する。
1つ目と2つ目は、監査資料授受の完全リモート化による「リモート監査」の事例だ。
1つ目は、リモートデスクトップツールの利用により、企業の閲覧用PCに監査人がリモートアクセスし、基幹システムのデータを閲覧・出力し、監査人のPC環境に移行し監査手続きを実施する事例だ。
2つ目は、クラウド型決算プラットフォームBlackLineの利用により、共通プラットフォーム上で監査人と企業がコミュニケーション・資料の授受・進捗管理等を一元化し監査手続きを実施する事例だ。
以上の2つの事例の効果として、監査チームは企業のPC環境に安全にアクセスし監査に必要な情報を入手することができ、企業は監査資料の準備・送信のためのスタンバイの時間を軽減できる。
3つ目は、デジタルプラットフォームの共有化と連携の事例だ。
監査の残高確認手続にオンラインシステムを導入することで、監査チームは進捗状況・差異情報を視覚化し一元管理でき、企業は対応する際の工数を削減できる。

未来の監査は、決算業務のデジタル化にあわせ、ダイナミックに変化する

リモートワークを推進し、監査手法を高度化、進化させるためには、企業、監査法人双方の決算業務のデジタル化が必要不可欠である。今こそ、企業には次世代を見据えた決算プロセスの構築を進めていただきたい。

プロフェッショナル

土畠 真嗣/Shinji Dobata

土畠 真嗣/Shinji Dobata

有限責任監査法人トーマツ パートナー

監査・保証事業本部 監査アドバイザリー事業部 内部統制・経営体制アドバイザリー部 部長を務める。 大手グローバル製造業の監査業務、決算早期化、海外子会社管理、決算領域のデジタル化等のアドバイザリー業務に従事。デロイトの日系企業サービスグループのグローバルオフィスでタレント担当及びインド・韓国の日系企業サービスグループリーダーも兼務。シンガポール駐在経験あり(2009~2013年)... さらに見る