今治.夢スポーツが生み出す社会的インパクトの可視化

SROI（社会的投資収益率）分析とは

SROI分析とは、ステークホルダー参加型の評価手法であり、事業実施により生じる社会的・経済的・環境的変化を、市場価値に当てはめて変化の価値を定量的に可視化するものである。分析結果は、ステークホルダーへの事業成果の説明や、リソース配分や事業内容の見直し、外部からの寄付や投資の要請のための活動効果のアピールとして使用するなど、幅広い目的に利用することができ、これまで政策評価や非営利事業におけるプログラム評価として開発や実践が進んできた。

SROI分析結果サマリー

今治.夢スポーツは「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会創りに貢献する」ことを企業理念として掲げ、サッカークラブ運営事業、育成・普及事業、ホームタウン活動、アースランド・野外教育・その他の活動を実施している。

今回のSROI分析では、各事業のロジックモデルを作成し、事業活動による社会への効果を体系的に整理し、定量化した。

サッカークラブ運営事業に関しては、現時点では分析に必要なデータが取得できていないなどの理由から、本分析において一部の活動を評価対象から除外している。加えて、新型コロナの影響により2021年の試合来場者数が大幅に減少しているにもかかわらず、SROIは1.0倍を上回る結果となっている。今後、分析の対象となる活動を拡大し、また試合来場者数が回復した際には、更なるインパクトが期待できるのではないかと想定される。

育成・普及事業は、巡回サッカー教室やアカデミー生・スクール生との活動を評価対象としており、受益者の数も多いことから、SROIは1.8倍とホームタウン活動に次いで高い結果となった。

ホームタウン活動においては、予算規模が小さいものの、他事業よりも社会的投資効率が高く、SROIは2.6倍と分析された。今後予算規模を拡大することで、さらなる社会的インパクトを見込めることが判明した。

アースランド・野外教育などに関しては、新型コロナの影響に加え、現時点では分析に必要なデータが取得できていないなどの理由から、一部の活動を分析対象外としたことから、SROIは1.0倍と分析された。今後事業が進むにつれて関与者が増えれば、SROIの向上が期待される。

本分析では、今治．夢スポーツの活動によるアウトカムの直接的な受益者を対象に分析を実施した。今後の展望として、アウトカムの直接的な効果に留まらない間接的、波及的な効果についての検討や、分析対象とする活動の拡大、発展途上の事業の成長によって、スポーツビジネスの持つ潜在的・顕在的価値をさらに見出すことができると考えられる。