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IASB、特約条項付の債務の分類に関するIAS第1号の修正を最終化

IAS Plus 2022.10.31  

IASBは、企業が報告期間後12か月以内に遵守しなければならない条件がどのように負債の分類に影響するかを明確にする、「特約条項付の非流動負債」(IAS第1号の修正)を公表した。本修正は、2024年1月1日以後開始する事業年度に発効する。

国際会計基準審議会(IASB)は、企業が報告期間後12か月以内に遵守しなければならない条件がどのように負債の分類に影響するかを明確にする、「特約条項付の非流動負債」(IAS第1号の修正)を公表した。本修正は、2024年1月1日以後開始する事業年度に発効する。
 

背景

2020年1月、IASBは、IAS第1号「財務諸表の表示」を修正する「負債の流動又は非流動への分類」(デロイト トーマツのWebサイト-※1)を公表した。本修正は、企業が特定の状況において債務及び他の金融負債をどのように流動または非流動に分類するかを明確化した。本修正は、2023年1月1日以後開始する事業年度に発効し、早期適用は認められる。

2020年12月に、IFRS解釈指針委員会は、企業が特定の事実パターンに本修正をどのように適用するかに関する非公式のフィードバック及び質問に対応し、暫定的なアジェンダ決定を公表した。暫定的なアジェンダ決定に対するフィードバックを検討後、フィードバックにより、2020年修正を開発した際にIASBが具体的に検討していない状況に関する情報を提供されたため、委員会はIASBに本事項を委ねた。

この新しい情報に対応して、IASBは、決済を少なくとも 12 か月にわたり延期する企業の権利が企業が報告期間後に条件を遵守することを条件としている負債の(流動または非流動の)分類、表示及び測定に関してIAS第1号を修正することを決定した。

対応する公開草案(デロイト トーマツのWebサイト-※2)が2021年11月に公表された。受け取ったフィードバックを再審議した後、IASBは修正案を最終化した。
 

主要な変更点

「特約条項付の非流動負債」(IAS第1号の修正)における修正は、以下のとおりである。

  • 特定の状況において企業がどのように債務及び他の金融負債を流動または非流動に分類するのかについて、「負債の流動又は非流動への分類」により導入された要求事項を修正する。
    企業が報告日以前に遵守することが要求される特約条項のみが、負債の流動または非流動への分類に影響を与える。さらに、企業は、特約条項付の非流動負債が12か月以内に支払いを要することとなるリスクを財務諸表の利用者が理解することを可能にする情報を開示することが要求される。
  • 2020年修正の発効日を2024年1月1日以後に延期する。

    IASBが2021年11月の公開草案に含めていた以下の3つの提案は、最終化されなかった。
    ・企業が、財政状態計算書において、特約条項付の非流動負債を区分して表示しなければならないという要求事項
    ・企業が、報告期間の末日後に特約条件を遵守すると見込んでいるかどうか、及びどのように遵守すると見込んでいるかを開示しなければならないという要求事項
    ・企業が負債の決済を延期する権利を有していないいくつかの状況の明確化

    これらの場合に関する公開草案に対するフィードバックは、IASBがこれらの修正案が不要であり、コストがかかりすぎであり、目的を達成することができないと結論付けることに導いた。

 

発効日

本修正は、2024年1月1日以後開始する事業年度に発効する。本修正は、IAS第8号に従って遡及的に適用され、早期適用は認められる。


さらなる情報

IASBのプレス・リリースの日本語訳(ASBJのWebサイト)
 iGAAP in Focus 財務報告「IASB、特約条項付の負債の分類に関するIAS第1号の修正を公表」 (デロイト トーマツのWebサイト)
• IAS Plusのプロジェクト・ページIAS第1号ー特定条項付の債務の流動または非流動の分類(IAS Plus-英語版)

 

※1》IFRS in Focus「IASB が、負債の流動又は非流動への分類を明確化するためにIAS第1号を修正」(デロイト トーマツのWebサイト)
※2》IFRS in Focus「IASBは、特約条項付の負債の分類に関するIAS第1号の修正を提案する」(デロイト トーマツのWebサイト)

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