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金融犯罪コンプライアンスの未来

デジタルとフィジカルが融合した世界におけるイノベーションの説得力ある活用

デロイトとユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)が共同作成したこの白書は、テクノロジーによる創造的破壊がいかに金融犯罪コンプライアンスを変えてきたかを考察しています。そして銀行業界にとって、サービス提供や消費者行動の変化に対するコンプライアンス能力を強化することが最も重要であることを指摘しています。

金融サービスセクターは、コンプライアンスの難しい課題-常にコンプライアンスを念頭に置きながら収益性を管理すること-に取り組まなければなりません。新規参入者との競争の激化は、金融機関が新たな商品やサービスを生むようなイノベーションを加速する必要性も高めています。顧客を獲得し維持することの重要性は不変です。しかし、銀行間競争における本質の進化と、より革新的なビジネスモデルが求められる第4次産業革命の到来が相まって、金融犯罪コンプライアンスの未来の限界は押し広げられ続けています。

金融犯罪は金融機関にとって大きなリスクであるため、コンプライアンス能力を構築し直す必要があるか熟考することは当然必要となります。金融犯罪に対する防御を続けるためには、金融機関がイノベーションによって自らの能力を研ぎ澄ませることが引き続き重要です。

この白書では、まず金融犯罪との闘いにおける金融サービスセクターの役割の重要性について説明します。次に、金融犯罪コンプライアンスにおけるテクノロジーの活用がもたらす多岐にわたる機会と検討事項をリストアップします。

マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策への人工知能(AI)活用例(原題:The case for artificial intelligence in combating money laundering and terrorist financing)」と題した前回の白書1(第1巻)で、デロイトとUOBは、金融犯罪コンプライアンスの実効性を高めるためのイノベーションの活用について考察し、見解を共有する行程を開始しました。UOBが規制テクノロジー(RegTech、レグテック)ソリューションプロバイダーと協力してマネー・ローンダリング防止システムの概念実証(POC)を開発し、銀行内のサンドボックス環境でそれをテストした事例を参考に、人工知能(AI)、機械学習(ML)、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)の活用が分析されました。パイロットプログラムは成功し、結果として疑わしい口座や取引の識別の正確性は向上しました。このソリューションによって誤検出のアラートを減らせたことで、UOBのコンプライアンス担当者は疑わしい事案の調査を合理化し、より価値の高い作業に時間を使えるようになりました。

本書は、UOBが金融犯罪のコンプライアンスに取り組んできた軌跡を紹介する第2巻となります。

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