金融犯罪コンプライアンスにおける高度アナリティクスとイノベーション

現在、金融サービスセクターは、デジタル化が進む経済につけ込む方法を見つけた巧妙な犯罪者がもたらす課題の増大に直面しています。問題の加速をもたらした一因はCOVID-19のパンデミックです。人工知能（AI）および機械学習（ML）、アナリティクスおよびロボティック・プロセス・オートメーション（RPA）への投資を増やすことにより検知を強化しようという取り組みは、効果をもたらしています。しかし、金融サービスセクターにとって、金融犯罪を含む様々なリスクに適切に対処しこれに歯止めをかけること、そして重要なステークホルダーとの間に構築した信頼を維持することを確保するためには、取り組むべき作業がまだ数多く残っています。

この白書は、現在も続いているUOBのAIマネー・ローンダリング対策ソリューションの行程について、概念実証（POC）段階から本番稼働段階までを考察し、現行の銀行業務への統合に向けて、いかにモデルを段階的に調整してきたかを説明します。また、UOBによる高度アナリティクス、AI/機械学習、ロボット工学への投資の正当性を概説し、これらが大きな混乱を低減するのにいかに役立ったかを示します。

金融犯罪と闘うために革新的テクノロジーを活用してきたUOBの変革ストーリーを共有することは、導入プロセスや経験した課題に関する洞察を提供してくれます。また、テクノロジーのガバナンス、ソリューションへの信頼を構築するために必要なステークホルダーとの関わり、そしてこれらを通常業務環境に統合する方法を明らかにします。

デロイトとUOBは、2018年と2019年の2度にわたり白書を発行してきました。第1巻では、「マネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策への人工知能（AI）活用例」と題した最初の白書では、金融機関（FI）が実効性のあるFCC管理を行うためのイノベーション活用方法について考察しました。そして「金融犯罪コンプライアンスの未来」と題した第2巻の白書では、AI、機械学習、RPA、自然言語処理（NLP）を金融犯罪リスク管理に組み込むFCCの将来像を描きました。