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【保険ERM】 保険データアナリティクスとERMの強化

A little less conversation, a lot more action(2017.07)

保険制度は大数の法則を拠りどころとしています。ビッグデータ時代の幕開けは、保険会社に新たな可能性を引き出します。同時に、データアナリティクスの巧拙が今後の活動の明暗を分ける要素ともなります。デロイトEMIA(欧州・中東・アフリカ)が保険会社におけるデータアナリティクスに関する示唆の多い調査レポートを出しました。「議論は少し減らして、もっと行動を」とるべき時期にあると提言しています。

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<概要>

従来、保険会社は異なる部門に所在する自社のインフラを使用してデータの収集、管理をしてきたが、データアナリティクスに実際に使用される範囲は、準備金積立や価格設定などの一部に限定されていた。
レポートでは、データ環境の大きな変化を取り込み、データアナリティクスを中核的能力に変えていくために、次の視点が重要だと指摘している。

  1. 全体的アプローチの採用 - 保険会社は今もなお家内工業的な欠点から抜け出せておらず、散発的な戦術的要点のアナリティクスに基づくソリューションを縦割り方式で実施している。このような状況から脱却して、組織全体にわたって機能する持続可能なアナリティクスの能力を構築することに取り組む必要がある。
  2. エコシステムの活用 - データソースとデータ量が加速度的に増加し、技術が一段と急速に進歩していると同時に、データ、技術および人材の提供業者によって構成される巨大なエコシステムが存在している。保険会社が単独で運用するよりもこれらの業者を活用することによって、より迅速で、費用効率が高く、かつ低リスクに進めうるといった視点も重要である。
  3. 変革管理の最優先化 - アナリティクスを成功させるために不可欠となるカルチャーの変革に一層徹底的に取り組む必要がある。

本レポートでは、保険会社における現状の課題と、データアナリティクス活用についての方向性(インサイト主導型組織)を下記の通りまとめている。

保険会社とデータアナリティクス‐議論より行動

<補足>

インサイト主導型アプローチ

アナリティクスの成功はソースシステムからデータを収集し、そこからアナリティクスのソリューションを導き出すIT駆動型プロセスによってもたらされると仮定するため、アナリティクスの真の潜在力を認識でずにいる。こうした考え方の問題点は、意思決定プロセス、ビジネス価値およびアナリティクスのインサイトが切り離される可能性がある。現実に、アナリティクス戦略と事業戦略が完全に整合していると感じている回答者は、今回の調査では11%にすぎなかった。組織全体にわたる整合性を推進するには、ビジョンを一新し、サービス、商品および業務に対するインサイト主導型に変革していく必要がある。このため、現在多くの保険会社が事業のビジョンに責任を負い、それを主導する最高データ責任者(Chief Data Officer: CDO)の役職を導入している。過去10年間、保険業界ではCDO(または最高アナリティクス責任者など類似の役職)を任命する例が次第に増加している。

パープル・チームの組成

アナリティクスのプロジェクトまたは戦術的なアナリティクスの変革イニシアティブを実施するために、レッド(技術系)およびブルー(ビジネス系)のスキルを有する者を適切に構成させたパープル(技術とビジネス感覚を併せ持つハイブリッド型スキルを有する)・チームの創設に注力する必要がある。ただ、適切な質のアナリティクスの人材を引き付けるのは非常に困難な状況にある。これらの需要の高い個人が要求する主な事項は、高給、経営幹部の支援、好ましい組織設計、イノベーションカルチャー、および資金の供給などである。これらの要求事項は伝統的な保険のビジネスモデルに適合しない部分が多い。長期的に人材を誘因し、引き止め、引き付けるのに成功するには、適切な要素に動機付けられることが重要といえる。例えば、イノベーションや思考に充てる自由な時間への権利を付与することは魅力的な条件となりえる。

デジタル革命が保険市場、ビジネスモデルを大きく変える時代になっている。ビジネスモデルを戦略的に変革していくためには、それを支える人的資本の確保が不可欠となる。データアナリティクスを活用し、テクノロジーの進歩によって変化する顧客ニーズを的確に戦略に組み入れていくためには、それを可能にする人的資本を整備しなければならない。変化に対応できる有用な人材を戦略的に組織に供給するための人事部門の役割は、カルチャーやエンゲージメント(企業愛着心)を左右することとなる。(前掲のレポート「保険ERMを支える人的資本の変革」とリンク)

<データアナリティクスの活用とERM>

過去のデータから導き出された法則性を使って危険のプールを創り、保険制度を安定的に運営してきた時代は、過去の出来事は将来も繰り返される(リスクは繰り返す)、ことを前提にしている。ただ、リスクは変質し、新たなリスクが登場する現代、リアルタイムで利用可能となったデータも多い。データアナリティクスが戦略と結びつき、分析から得られるインサイトの活用を模索する時代に入ったといえよう。戦略推進とリスク管理の統合的管理(ERM)のさらなる挑戦が続く。

保険ERM態勢の高度化支援サービス

デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

保険ERM態勢高度化支援サービス
(ブロシュア、PDF、384KB)

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(ブロシュア、PDF、212KB)

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