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【保険ERM】カルチャーに関する経営情報

個別要素から全体像へ(2017.01)

組織のリスクカルチャーは、ERMの実効性を考える上でとても重要です。本レポートでは、リスクカルチャーと密接に関わる組織のカルチャーに関する有意義な経営情報を収集するための8つの原則を示します。

今回紹介するレポートでは、カルチャーとリスクカルチャーを以下のとおり位置づけています。

<カルチャー>

組織内で仕事がどのようになされるかに影響する価値、信念および行動の体系をいう。

<リスクカルチャー>

全員が、リスクに対する組織のアプローチを理解し、自らが行うすべてにおいてリスク管理の個人的責任を負い、他の者が自身の模範に従うよう促すことをいう。

8つの原則

カルチャーに関する有意義な経営情報を収集するために、以下の8つの原則があります。

1. 企業の目標カルチャーを基準とする測定
良好な行動を明確にし、尺度や指標を選定し、実際の行動を評価する必要があります。

2. 可能な限り客観的な姿勢
主観的尺度やバイアスを生み出す可能性がある尺度に頼らず、評価にあたっては可能な限り客観的な姿勢でいる必要があります。組織外部の視点も取り入れることも必要です。

3. 多様な情報源から入手
少ないデータに依存すると均衡がとれなくなる虞があります。内部データだけでなく、外部データも活用して、多様な情報源からデータを入手する必要があります。

4. 下位カルチャーに関する情報の把握
組織の下位では別のカルチャーが存在することがあります。例えば、国際的な活動をする企業の国別カルチャー、事業分野毎のカルチャー、特殊能力を持った専門家のカルチャー、スタッフ層が影響を受ける中間管理職のカルチャーなどです。取締役会や上級経営者は下位カルチャーを考慮に入れる必要があります。

5. 証拠に基づく分析と提言の組み込み
情報は、指標の羅列ではなく、分析を行い提言とともに、取締役会や上級経営者に提示される必要があります。このような情報は図式やダッシュボードの形で示すと有益な場合があります。

6. 対象者に合わせて調整
組織内には様々なグループがあり、それぞれのグループにはより詳細でグループ固有の情報が提供される必要があります。

7. カルチャーの変化のペースを考慮
カルチャーの変化のペースに合わせて定期的にカルチャーを評価する必要があります。また、戦略変更や新CEOの就任により目標カルチャーが変化した場合にも、カルチャーの再評価が必要となります。

8. 適切なガバナンスと組織能力による支え
カルチャー経営情報の設計、監視および分析に関する適切なガバナンスの取り決めが必要です。また、カルチャー経営情報を編集するチームは、適切な人材と知識を利用できる必要があります。

 

原題:Management Information on culture(PDF)

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デロイト トーマツ グループでは、保険ERM態勢に関し、基礎的な情報提供から、各社固有の問題解決まで幅広く関わり、Deloitte Touche Tohmatsu Limited(DTTL)のグローバルネットワークを駆使し、最新の情報と豊富なアドバイザリーサービスを提供します。

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(ブロシュア、PDF、384KB)

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